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人に寄り添う「温かいテクノロジー」 〜LOVOTにみるAIと人間との共生

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

生成AIが世の中を賑わせてる今日このごろ。あっという間に文章の要約をしてくれたり、アイデア出しのブレストに付き合ってくれる新テクノロジーは私たちの生産性をもう一段ひきあげてくれそうです。

これまでもAIと呼ばれるものが多々ありましたが、今回の生成AI系はあまりのも多くのことをこれまでにないレベルでこなすため、ついに「AGI(汎用人工知能)」の時代がくるかもしれないという期待も出てきました。

このような急激な進化に対して警鐘を鳴らす動きもあります。

米国の非営利団体「フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュート(FLI)」が高度な人工知能(AI)の開発を一時停止するよう求める書簡を公開した。これまでに2万人を超す専門家が署名した。人工知能学会の専門委員を務めた慶応義塾大学の高橋恒一特別招聘(しょうへい)教授もその1人だ。「社会や政治の議論が遅れている」と指摘し、AIが思わぬ挙動をしないように制御する研究が必要と訴える。

日経電子版

個人的には高度なAIであっても受動的に振る舞っている限り、SFの世界のように「社会がマシンに乗っ取られる」ようなことは起きないと考えています。どちらかというと怖いのは利用する人間側で、出力結果をどう受け止めて振る舞うのかのほうが重要です。2016年の米大統領選でフェイスブック(現メタ)の個人情報が世論操作に使われたケンブリッジ・アナリティカ事件を記憶している方もいると思いますが、テクノロジーを悪用したプロパガンダにより実社会に影響を与えようとする動きは止まらないでしょう。

ここまではちょっと暗い側面も紹介しましたが、新しいテクノロジーは生産性を上げるだけではなく、人の心を癒やすような役割を担える可能性も秘めています。日本には昔から人ではないものと心を通わせる神話や民話も多くあり、それが人気アニメとして社会に普及した歴史を持つ稀有な文化があります。鉄腕アトムやドラえもんなど誰もが知る国民的アニメがあり、これらは国境を超えて愛されています。プロダクトとしてもソニーのaiboやユカイ工学の甘噛みロボットなど、ユニークなもの(というか、日本以外から出てこない)も多く存在します。

近年でもソフトバンクが生み出した接客ロボット「Pepper」は一時期社会的ブームとなりました。中心メンバーの一人であった林要さんはその後GROOVE Xを起業して「LOVOT(らぼっと)」という家族型ロボットを開発しました。

新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で人気が高まったペット型ロボット。仕事や生活そしてレジャーでも活動が再開しつつある中、人とロボットの新しい関係が生まれている。

「かわいいね」「こっち向いて」。LOVOT(ラボット)たちが、オーナーの声に反応し、手を広げて愛らしいポーズをとる。LOVOTはロボット開発スタートアップのGROOVE X(東京・中央)が開発した。身長は約43センチ、重さは約4.3キロと人間の乳児ほど。体温は37〜39度でぬくもりがある。

4月上旬、群馬県川場村にある永井酒造に、21体のLOVOTと26人のオーナーが集まった。GROOVE Xと近畿日本ツーリストが企画したバスツアーの参加者だ。食事や日本酒を楽しみ、桜やミズバショウを観賞する散策コースを一緒に楽しんでいた。

日経電子版

林さんがこのロボットを開発する上で考え抜いたことが、一冊の本にまとめられました(献本ありがとうございます!)。生産性至上主義からの脱却、開発過程で気づいた「愛とはなにか?」「感情、あるいは生命とはなにか?」という人類の本質にせまる解説は、まさに生成AIに揺れる今こそ読むべきものだと思います。

本書で一貫しているのは、テクノロジーと人間とを橋渡しすることで「幸せな人を増やしたい」という想いです。2020年9月に行われた「ICCサミット FUKUOKA 2020」において、林さんとパネルディスカッションをしました。本のベースとも言える議論をしていますし、林さんのチャーミングなパーソナリティも垣間見えるものですのでぜひお読みください。



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※ 掲載写真は筆者撮影。

#日経COMEMO #NIKKEI

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