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10年後の中国に旧来の銀行は存在しているのか

銀行行く機会ってめっきり減りましたよね。店舗行くのって年に1回かも。けっこう前に読んだ記事ですがこれまだ覚えてます。

大学時代の友達が、日本のとある大きな銀行で働いてるんですが、この前話したときに「まわりの同期がどんどん転職していく」って話してました。

そして、日本より進んでいる中国では事態はもっと深刻です。銀行の生き残りについてのコラムと議論があったので紹介します。

■その前に中国の銀行について簡単な説明

初めて中国に来て銀行に行ったときに、とても印象深かったのは、一般人の利用にとても親切なことです。土日も休まずにやってます。もちろん時間と場所によって混んでて並ぶ時はありますが、人数が多いからしょうがないんだと受け止めてました。

でも最近あまり窓口に行かないですね。全部携帯で済みますのでまったく必要がなくなりました。

中国にはけっこう複雑な分類でたくさんの銀行があります。国有銀行も6つあって、一番大きな「中国工商銀行」は2019年Fortune Global 500の26位。そんな業界一位でも苦しんでいます。(中国の銀行の歴史と種類についてもめっちゃ面白いので、今度別noteでアップします)

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先日、中間決算報告を発表した上場銀行6社の資料によると、国有6銀行は半年で合計3.5万人をリストラしたとのこと。業界トップの「中国工商銀行」は最も多い1.4万人超えをリストラ。

中国銀行協会の話によると、大規模リストラの80%は一般窓口の銀行員とのこと。AI技術を使ったマルチスマート端末の設置と顔認識技術などで、人間より効率よくサービスできるそうです。

ちなみに「中国工商銀行」は中国全土におよそ1.6万の支店を持ってるので、平均すると1ヵ所で1人減る感じですね。

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そんな苦境の銀行ですが、日本と比べると、中国の銀行はかなり積極的に技術の進化による変化に対応している気がします。オンラインも、携帯アプリも、かなり前から、そこそこいい感じに開発されていて安全の面でもきちんとやってます。それでも厳しい。。

■ビジネスモデルは後退、銀行は追い詰められています

ところで銀行っていつからあるんですかね。むしろ今まで同じモデルでやってこれたことが凄いと思う。旧来の銀行は大きく2つの課題に直面してると分析されてました。

1.銀行に対する顧客の期待が変化

モバイルインターネットの時代では中国の普通のお客さんが必要とするサービスは「支払い」「貯蓄」「財務管理」だけでは全然足りません。「 より便利で、より速く、より効率的な金融サービスを低コストで」が必要。

さらに顧客は、金融サービス以外にももっと実用的な利用方法、パーソナライズされたサービスを手軽に受けることを望んでいる。

2.新たな競争相手の出現

銀行のライバルは他の銀行ではない。ライバルはテクノロジー企業。 強力で大規模で包括的な中国および外国の技術の巨人が金融サービスに進出してきている。

中国のTencent、Alibaba、JDなどはすでに金融サービス分野に参入していて、技術力と莫大なユーザー数、そして究極の顧客体験を提供する力がある。そしてこの巨大IT企業はプラットフォーム戦略をとれる。Ant FinancialとJD Financeの成功は、銀行に衝撃を与えた。

■では銀行はどうすればよいのか?

当然ですが、中国のテック企業に比べ銀行の技術レベルは遅れています。特に銀行の既存のITシステムのほとんどは前世紀の中頃から後半にかけて構築されたものがベース。

それらを長期にわたってメンテナンスしてきたが、ITシステムは非常に肥大化し、非効率的で、保守にも莫大なコストがかかっている。しかし新しいシステムの再構築にもまたコストがかかり、既存の銀行の安定性に予測できない影響を与えるリスクがあってドラスティックな更新が難しい。(日本もそうですよね)

現在の銀行の頼りは「金融ライセンス」と「顧客取引データ」の2つ。国の規制によるところもあるけど、ライセンスとデータによって生じる金融業界の障壁は、社会と消費者にとってはただ不便でコストなだけ。

まず「金融ライセンス」については近年、規制が緩和されている。比較的オープンな西欧諸国では、金融テクノロジー企業が金融ライセンスを申請する多くのケースがあり、金融規制が比較的厳しい中国でも、テンセントの「Webank」とアリババの「MYBank」は銀行免許を取得しています。どんどん伸びてるし、金利もかなり良い。

ただ「顧客取引データ」は銀行の最期の砦。 顧客の金融取引データはまだしっかりと把握されており、共有することを許可していません。ただこれも海外では、英国のオープンバンキング、欧州連合のPSD2、米国の財務データ共有ガイダンス、およびオーストラリア、シンガポール、韓国、日本、香港などの国と地域は、それぞれの国家条件に備えています。中国は今後どう規制緩和していくのか。

顧客の期待の変化、銀行以外ライバルとの競争、時代遅れのITシステム、銀行を守っていた規制の緩和などで銀行は追い詰められました。 将来の金融データ共有の時代に適応して更に発展するのか、このまま衰退していくのか。

ユーザーからしたらもっと便利になって欲しいですね。そして中国の変化から日本の未来を推測したいと思います。

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(参考資料)


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