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カーシェアリングがもたらすインパクト

日本経済新聞11月30日の記事より。

クルマの買い手が2030年に企業が5割超になるという。ビジネス誌や経済新聞を読んだ時に気をつけるべき読み方の一つが、タイトルの意味を考えることだ。今回の記事の場合は、

1.どの市場の話をしているのか

2.何割が5割に増えるのか

ということである。記事を読み進めてみると、「PwCコンサルティング(東京・千代田)がまとめた予測では、30年には世界で売れる新車の52%が主に法人が所有する「商用車」となり、個人が持つ「乗用車」を初めて抜く」とあり、世界市場が対象だとわかる。ここで、読み方として日本市場ではなく、世界市場を頭にイメージしなければならない。

で、グラフを見ていくと、企業の購入台数は変わらないが、シェアリングが大幅に増加すると予想していることがわかる。

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企業がシェアリングする場合、その相手は、法人と個人が考えられる。法人の購入台数は変化していないことから、企業がシェアリングする相手は、法人ではなく個人だと予想される。

では、個人消費者はシェアリングに大きくシフトするのだろうか。東京や大阪など、クルマの所有コストがかかり、移動代替手段(タクシーや電車)の選択肢が多い場合、シェアリングに傾くことは考えられる。しかし、地方の移動代替手段の選択肢が多くない場合は、クルマは移動の生命線であり、生活必需品である。一人一台クルマを保有する世界であり、その必要性はスマホと同様である。我々がスマホを誰かとシェアリングしようとする考えがないのと同様で、地方においては現在のままでは、シェアリングにはシフトしないと考えられる。

一方、自動運転を前提とすると話は変わる。自動運転の場合は、自分でクルマを所有する必要はなく、必要な時にクルマを必要とする場所へクルマを呼び出せばよい。そして使用後は、他の誰かがそのクルマを使えばよいわけで、シェアリング需要は都市部であれ、地方であれ拡大すると考えられる。

このように考えていくと、今回の記事の予測の精度が高くなるかどうかは、自動運転の普及スピードが2030年まででどこまで加速するかに依存することになる。個人的には、2030年はまだ自動運転がそれほど普及するとは考えていないので、本記事の予測は当たらないと考えている。

もっとも、大切なことは記事の予測が当たるか当たらないかではない。毎回、ビジネス誌や経済新聞で記事を読むたびに、何も考えずに読むことではなく、この記事で書かれていることは論理的に正しいのか、正しくないのか、自分の頭を動かして記事を読むことである。

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名古屋商科大学ビジネススクール 教授。専門は、経営戦略、マーケティング、デジタルマーケティング、ラーメン。日経COMEMOキーオピニオンリーダー
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