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不在オフィスの費用対効果とオフィスホテリングへのリニューアル

コロナ感染対策から在宅勤務を導入する企業では、オフィスの実稼働率は下がっており、家賃を無駄に払い続けている状況である。これを転機として感染が収束した後にも、通勤と在宅勤務制度を併用することで、オフィスの費用対効果を見直す企業は増えてくることが予測されている。

大企業の中でも、今後は「在宅勤務」を標準の勤務体系として、それだけでは補えない業務を「通勤」で対応する雇用体系に改める動きは加速してきている。

新型コロナウイルス感染拡大を機に普及した在宅勤務の定着に向けて、企業が制度の見直しに動き始めた。資生堂や富士通が業務の成果で評価する人事制度に本格的に移行する。在宅勤務に限定した社員の採用を始める企業も出てきた。在宅勤務の広がりで、出社して働いた時間を前提とする日本型の雇用制度が変わり始めた。(日経新聞2020/6/8)

1週間の就業体系を「通勤と在宅勤務のシフト制」とするだけでも、オフィス面積を縮小することができ、その分のコストを在宅勤務手当などに充てて、社員のモチベーションを高めることが可能だ。

たとえば、1週間を「通勤4日+在宅勤務1日」で従業員全体の勤務シフトを作ると、オフィス面積の20%を縮小することが可能になり、毎月1000万円の家賃を払っている企業では、月額200万円、年間で1200万円のコストを削減することができる。さらに在宅勤務を週2日に増やせば、家賃の40%を節約することも可能になる。

このような考え方は、日本支社を設けている外資系企業ではコロナ危機の前から浸透しており、都心の一等地にオフィスを設ける一方で、オフィス面積は社員数の5~7割程度に抑えているケースが少なくない。もともと、海外本社とのコミュニケーションをオンラインで行っている外資系企業にとって、在宅勤務は馴染みやすいためである。

【企業内コワーキングオフィスの仕組み】

 在宅勤務を導入する欧米企業は、従業員1人当たりのオフィス面積を削減して家賃や光熱費などの経費を減らす一方で、自宅でリモート環境を構築するための在宅勤務手当を支給することが進んでいる。情報漏洩防止の観点からも、在宅勤務で使うPCや通信料金は、会社が負担すべきものであり、その費用を捻出するためにも、オフィス家賃を節約する努力は必要になってくる。

その上で、オフィスの使い方は、従業員に限定した企業内コワーキングスペースのような形へと進化してきている。他の社員との打ち合わせや対面コミュニケーションが必要な場合に、オフィス内の希望スペースを事前予約して使用するスタイルで、「Office Hoteling(オフィス・ホテリング)」とも呼ばれている。

SpaceIQ」は米国で開発されている、オフィス・ホテリングの管理プラットフォームで、オフィス内の座席レイアウトをコワーキング用の配置に図面化した後にナンバーリング(座席番号化)して、社員の利用予約を受け付けられる機能を提供している。

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企業内コワーキングオフィスを実現させるには、単にデスクの座席やミーティングルームの予約受付をするだけでなく、座席番号毎に社内システムの利用権限を付与して、誰がどの時間帯にどのスペースを利用しているのかを経路検索できるようにする必要がある。

そこから収集したオフィスの利用データを元に、人間関係のストレスも配慮して、稼働率が低いスペースのレイアウト変更を行うことが、オフィスの費用対効果を高める上での急所になっている。米国の大都市では、オフィス家賃が高騰していることから、このようなワークプレイス・オペレーションについての需要が高く、Nasdaq、Slack、WeWorkなどの企業も、SpaceIQのプラットフォームを導入している。

新型コロナの影響により、不特定多数の利用会員で共有するシェアオフィスに対する需要も大きく変化しており、オフィスの役割自体を見直す転換期が訪れている。ただし、社員やチームのメンバーが対面して打ち合わせや共同作業を行える場所として、「オフィス」のニーズが完全に無くなってしまうことはなく、在宅勤務と連携した新たなワークプレイスの場として、進化していくことになりそうだ。

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