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素材・化学メーカーの取締役に求められるスキルとは

今回から数回はスキルマトリックスで取締役に求められる素養を業種別に取り上げていきたいと思います。それぞれの業種で取締役を目指している方は特に参考にしていただけたら幸いです。

スキルマトリックスについては以下の投稿を参考にしてください。

今回は素材・化学メーカーです。この業種で今年の株主総会招集通知でスキルマトリックスを公表しているのはワコールホールディングス、三菱ケミカルホールディングス、積水化学工業の3社です。

まずこの3社に共通して要求されているスキルは以下の4つです。
・経営経験
・財務・会計
・法務
・国際性

経営経験、財務・会計、法務については企業の基幹的な機能ですので、取締役に求めるのも自然でしょう。また国際性についてもこれらのメーカーの競争が国内に閉じているわけではなく、海外展開を積極的に行っていることを考えると違和感はありません。ちなみにそれぞれの企業の海外売上高比率は以下のとおりです。
・ワコールホールディングス:28%
・三菱ケミカルホールディングス:42%
・積水化学工業:25%

次に3社中2社が要求しているのは以下の2つです。
・人材開発
・研究開発

これらは製品開発、ひいては企業の競争力に直結するものです。最初3つが「守り」に関するものであるならば、残りの3つは「攻め」に関するものです。これらの巧拙が企業の収益力を大きく左右するだけに、それを監督する人材を取締役会に置くのも重要と言えます。

最後に個別企業特有の要求スキルについても触れておきたいと思います。ワコールホールディングスは「文化芸術/社会的視点」を要件としています。この3社の中では一般消費者に近い女性用下着という製品を扱っており、流行や社会的ニーズの把握は必須です。一方、積水化学工業は「品質管理」を要件としています。このスキルに関しては中期経営計画において「CS(顧客満足)品質での際立ち」を持続的成長の礎に据えていることと関連していると考えられます。2年前から企業規模を問わず起きている品質不正が暴露され、日本の品質神話が瓦解する中、このスキルを含めたことは株主に対する心強いメッセージとなったはずです。

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黒田 一賢(株式会社日本総合研究所 スペシャリスト)

日本サステナブル投資フォーラム運営委員 青山学院大学非常勤講師 近著に『ビジネスパーソンのためのESGの教科書 英国の戦略に学べ』 ※執筆者の個人的見解であり、日本総合研究所の公式見解を示すものではありません。

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