見出し画像

料理芸術の鑑賞対象(ソフト-料理人の所作 1/2)

前稿では、料理芸術の鑑賞対象として付帯物(環境)の中でハード面、レストランの建築外観や内観、そして食器について、どのように鑑賞するのかということを検討してきた。本稿では、ソフト面、特に、料理人の所作について鑑賞法を検討していきたい。

料理人の所作

料理人は厨房で調理をしているが、厨房には大きく2種類がある。それはオープンキッチンかクローズドキッチンだ。オープンキッチンは、客席から厨房が見えるものであり、調理プロセスを見せる造りになっている。一方でクローズドキッチンは、厨房が壁にさえぎられていて中の様子は客席からは見えない。

フランス料理店はクローズドキッチンであることが多く、大箱のフランス料理店は、正に戦場のような様子なのだという。映画やドラマでも、大量のオーダーをこなす戦場のような風景をご覧になった方も多いかもしれない。日本料理店でも、花板、脇板がカウンターで仕事をしている場合が多いが、焼き方、煮方などは裏の厨房で仕事をしていることが多く、その部分はクローズドだ。

一方、寿司店の場合、料理人の所作を目の前で楽しむことができる場合が多い。一流店の場合、流れるような無駄のない動きで握りを作ってくれる。

無駄を排除した所作の美しさ

大阪北新地にあるMichelin一つ星の「ほし山」では、店主星山さんが寿司を握ってくれる。まだ若いが非常にしっかりしていて、その動きには淀みが一つも感じられない。

画像1

寿司は一般的に7手で握られると言われていて、その手数は少ないほど良い。というのも、魚は人間よりもはるかに体温が低く、人の手が触れれば触れるだけ、まるで火傷をするかのように身が痛んでいくからだ。だから、料理人はできる限り少ない手数で、寿司を握ろうとする。そこに考え抜かれた所作、プロセスが生まれ、無駄のない動きが完成するのだ。

名古屋丸の内にある「あま木」は、本当に数多くの寿司を楽しませてくれる名古屋を代表する名店だ。こちらもMichelin Plateを獲得している。あま木の店主天木さんのサクに対する包丁の入れ方などは、見ていて武芸を感じる。無駄のない動きで、どこに包丁を入れるべきなのか、所作が非常に美しい。

画像2

このように料理芸術の鑑賞対象として、今回「料理人の所作」を挙げた。では、これら「所作」は芸術として鑑賞対象になるのだろうか。稿を改めて「所作」という無形の行動が芸術鑑賞の対象となりうるのかを検討していきたい。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

3

牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

名古屋商科大学ビジネススクール 教授。専門は、経営戦略、マーケティング、デジタルマーケティング、ラーメン。日経COMEMOキーオピニオンリーダー

COMEMO by NIKKEI

日経が推す各業界キーオピニオンリーダーたちの知見をシェアします。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 はじめての方へ→ https://bit.ly/2DZV0XM 【...
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。