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どうして、会社組織の人事制度や働き方に求められるものが変わってきたのか?

最近、いろいろな方から「ティール組織」や「OKRによる目標管理」「ジョブ型雇用」などについて質問を受けることがあります。

そして、異口同音に「なぜ、このような制度が求められるようになったのか、どうして必要なのか。」ということについても同時に聞かれます。

特に僕の場合、エンジニアのいる組織ではなんで、これほどまでに権限委譲や透明性、多様性が大事にされるのかということもセットで聞いていただきます。

よく使われる表現としては、「不確実性の時代」であるから、「先が見えない競争環境であるから」「人材市場が活況であるから」などがその理由としてあげられることでしょう。

ですが、このような見方というのは「組織」と「コンピュータ」を区別してしかみることのできないためにおこることのような気がしています。

僕の見え方は次のようなものです。

旧来型の組織では、仕事における大部分は同じ職能の人々によって行われる「ルーティン化可能な」「一様性の高い」「専門知」でした。

たとえば、パワーポイントがないときは、製図を行い、 OHPに投影する資料を作る職人が各社にいたりしました。あるいは、印刷物が必要だったら、活字を拾って文字を組み込み、わら半紙に活版印刷する必要があったでしょう。

ところが、これらは順番に自動化され、誰でもできるようにデモクラタイズ(民主化)されてきました。このようにして、様々な事業の様々な部署のルーティン作業が、「コンピュータ」が代替できるようになっていったのです。

その結果、人間に残る仕事はAIなどの話をするまでもなく、現時点でもクリエイティビティと抽象的思考能力を求められるものになってきたのです。

よく、AIが発展すると半分の仕事がなくなると嘯かれることがあります。現実には、この200年スパンで考えると、50年間に半分以上の仕事がなくなるという現象は常に起き続けているので、ことさらに危機感を煽る必要もありませんし、ことさらに変化しないという必要もありません。これまでどおり、当たり前のように仕事は機械に置き換えられていくのです。

そのように考えると、50年前の部長の仕事を一人がコンピュータを使って行うというくらいには変化してきたとみるのは自然ではないでしょうか。

ソフトウェアも機械も常に「具体的な事柄」から自動化し、「抽象的な事柄」を人間の仕事に変えていくものなのです。

つまり、かつての部長が他部署と調整しながら、成果を出すために抽象的な仕事を権限を任されて行ってきたのと全く同じことが、現代のメンバー社員に求められていくことになります。

当然同じようなことを反復する能力よりも様々な人とコミュニケーションをしながら物事を進めていく必要に迫られてきます。故に多様性が重視されるようになるのです。

このような局面では、
- 官僚的職能別組織全体論的多様性のあるチーム
- コマンド&コントロールの目標管理権限委譲と透明性のあるOKR型目標
- メンバーシップ型ロイヤリティを重視する人事制度は、ジョブディスクリプション型エンゲージメントを重視する人事制度に
が必要になってきます。こういうコンピュータという補助線を入れると、働き方の変化は、甘えでも根性がないからでもなく、単に必然に見えてこないでしょうか。

いまだにコンピュータとソフトウェア、そして事業と組織は関連の薄いものだと捉えられている気がします。コンピュータと人を別物として世界を見ると、世の中の変化の必然が見えなくなってきます。

組織論を語るとき、それはソフトウェアアーキテクチャを語ることになります。ソフトウェアアーキテクチャについて語るとき、それは組織論を語ることでもあります。



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エンジニアリングと組織の関係について、より多くのビジネスパーソンに知っていただきたいという思いで投稿しております!

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広木大地(日本CTO協会理事/レクター取締役)

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