Netflix「地面師たち」を見て、コンテンツ体験について考えたこと
Netflixドラマで話題となっている「地面師たち」を見ました。
評判通り面白くて、一気見してしまいました…
実際に起きた地面師詐欺の事件をもとにした、生々しく記憶に訴えかけるストーリー展開、シーン描写。
ネタバレし過ぎない程度に、Netflix・地面師たちから考えた「優れたコンテンツ体験」について書いていきたいと思います。
ポイント①やはり「生々しさ」が人を惹きつける
Netflix作品はテレビ局ではできない、生々しいコンテンツをづくりが特徴だと言われます。
その通りで「地面師たち」は、Netflixでしか実現できない最たる作品だと感じました。
地面師たちに描かれる、
・金
・女
・暴力
などの人間の欲を描いたシーンは、なかなか民間のテレビ局では描ききれないだろうな…と感じました。
資本主義のど真ん中で起こる大手不動産会社の出世競争、人間の欲を「生々しく」描いているところに、惹き込まれる要素があるなと。
金、土地など、人の欲望が最も現れる領域で、その欲が顕在化された人間シーンを生々しく描き切っていることに、地面師たちが他の作品と違う惹きつけられる要素があると感じました。
生々しさを支える、実存の事件
地面師たちは、実存の事件をもとにされています。
こちらの積水ハウスの事件が元のようです。
鑑賞中も、見ていると過去のリアルな事件どうだったのかな…と調べたくなってしまいます。
良いコンテンツは、ジャーナリズムに支えられている
実存の出来事を、裏側も含めて事細かに調べて表現に落とし込むこと。
Netflix作品ならではの面白さは「取材力・ジャーナリズム」に支えられているのではないでしょうか。
これは、宇多田ヒカルの歌詞をモチーフに生み出されたNetflixの名作品『First Love 初恋』でも感じました。
First Loveを手掛けた寒竹ゆり監督のインタビューでも、
登場人物や登場シーンと関連する、脳外科医の家族特徴、自衛隊、宇宙などについて徹底的に調べ上げたことが発言されていました。
Netflixの作品が面白いのは、表現の自由さだけではなく、撮影予算が違うため「徹底した調査」に投資ができることにあるのだと考えています。
SNS投稿も含めてコンテンツ化
「地面師」の存在と重ね合わせたコピー「こいつら全員 土地狂っている」を軸に繰り広げられるSNSキャンペーンの巧みさにも注目です。
Netflixの公式アカウントのキャンペーンがこちら。ドラマの象徴シーンがシェアされる工夫が垣間見れます。
例えば、上記のキャンペーンからシェアされているセリフ
ドラマ内で何度も出てくるピエール瀧の言葉
「もうええでしょ!」
ドラマのセリフがSNS+リアルな生活に浸透させるよう工夫がされています
SNSで作品に関するクチコミを閲覧する中で、見返したくなったり、切り取って誰かに伝えたくなる仕掛けは、Netflixは上手ですよね。
良いコンテンツは、日常と繋ぎ込まれる
地面師たちの鑑賞前、中、後と、没入する体験設計を整理してみました。
Netflixのコンテンツ体験が素晴らしいのは、
・他の人と意見交換したくなる
・何度も見返したくなる
といった仕掛けが「作品の外」に設計されていることなのだと考えています。
既に私は、鑑賞後に「もうええでしょ!」と言いたくなっていますし、時々シーンを見返すことになると思います。
そして、ハラハラ、ドキドキ、没入して鑑賞した後にキャスト陣によるアフタートークを見ると妙に安心感を覚える体験も素晴らしかったです。
地面師たちからの学びをまとめます。
ブランドがコンテンツマーケティングに取り組む際には、
・取材力、ジャーナリズムをもって細部の描写にこだわる、生々しく
・SNSはメインコンテンツの拡張手段と捉えて日常とつなぎこむ
この2つを取り入れていきたいと考えています。
ということで、「地面師たち」は、作品が素晴らしいことはもちろんのこと、良いコンテンツ体験ってなんだろう?を考える機会にもなるはずですので、まだ見ていない方はぜひ!