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紙出版も増加のサプライズ、2019年マンガ市場と「鬼滅」現象

■出版市場は堅調(ただしデジタルを含む)
 1月24日に全国出版協会と出版科学研究所が、2019年の国内出版市場が1兆5432億円だったと発表しました。数あるコンテンツ関連でもとりわけビッグな市場です。
 今年はちょっとしたサプライズもありました。0.2%と小さくはありますが、前年比で市場が増加したことです。市場拡大は、デジタル出版の市場統計も始めて以来初になります。一般的には衰退しつつあると見られがちな出版業界ですが意外に堅調なのです。

 理由はあります。統計にデジタル市場を含んでいるためです。紙の市場は前年より4.3%減っていて、23.9%増と驚異的な伸びを見せたデジタル出版が伸びを支えました。
 出版業界は縮小しているのでなく、産業構造の変化こそがトレンドだと判ります。

■トレンドを先取りしていたマンガ市場
 こうしたトレンドは、いま始まったことではありません。出版界のなかでもいち早くデジタル化が進むマンガ市場では、もっと早くから起きています。
 紙とデジタルを合算した2018年のマンガ市場は4414億円で1.9%増。一昨年にすでに増えています。さらに2014年は4456億円で、過去5年間の市場規模は安定しているのです。

 むしろ2019年のサプライズは、このマンガ市場がさら頭を抜けて大きくなったことです。デジタル市場は29.5%増の高い伸び。さらに紙市場(単行本・雑誌)も前年比で4%増と増加に転じました。2002年以来17年連続で販売金額が減少続けてきたので、実に18年ぶりの反転です。
 今回の発表では細かい数字は明らかでないのですが、2019年のマンガの市場はざっくり5100億円を超えそうな勢いです。2019年はマンガ出版にとって“飛躍の年”だったのです。

 なぜ市場が急拡大したのでしょうか? デジタルについては2018年4月の海賊サイト「漫画村」の閉鎖がしばしば理由に挙がります。2017年、18年初頭に「漫画村」の広がりで成長スピードが鈍った一方で、閉鎖後に市場拡大に加速がつきました。

■マンガ出版は紙も増加のサプライズ、裏に『鬼滅の刃』
 紙(単行本)では、『鬼滅の刃』の大ヒットが理由とみていいでしょう。『鬼滅』の爆発的な売れ行きは昨年秋よりしばしば聞かれました。2019年初めに累計300万部台だった発行部数は、9月の発表では累計1000万部に、12月の発表では累計2500万部まで驚くほどの勢いで積み重なります。一年間で軽く2000万部以上を売った計算です。
 不足も話題になりました。気になって僕はこの週末に本屋をいくつかみてみましたが、どこも棚に並んでいるのは限定された巻のみ、最新18巻は見当たりませんでした。

■アニメ化の売上げ効果は、いまでも健在
 突然の売上げ急伸は、テレビアニメ化が理由です。2019年4月から半年間放送されたことが新たなファンを掴んだためです。放送後から売上が爆発しました。
 さらに「『鬼滅』では、デジタル以上に紙(単行本)が賑わっている」との声が聞こえてきます。人気を支えるキッズ層がデジタル購入に必要な電子決済手段を持たないため、紙に需要が向かっているのだとか。関連性の証明は十分でないですが、興味ある指摘です。

 『鬼滅』ヒットは、アニメ化が原作の売れ行きに大きな効果が与えることにあらためて脚光を当てました。昨今はアニメ化されたから、必ずしも売上げが爆発的に伸びるわけではありません。もちろんアニメのヒットの大きさ異なりますし、もともと原作が大ヒットしているケースも多いです。
 それでもよい作品だけれど十分に知られていない、さらに広がりの余地がある。そんな作品はアニメ化で、驚くほどそのポテンシャルを伸ばすことが出来る。『鬼滅の刃』はそれを証明しました。

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ジャーナリスト。アニメーションを中心にエンタテイメント産業について、見て、聴いて、そして伝えています!
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