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優良顧客として注目するLGBT消費者の所得と購買特性

最近では、日本でもLGBT(性的少数者)であることをカミングアウトする人が増えている。企業も、従業員の性的マイノリティを尊重することに加えて、顧客としても重要視するようになってきている。

世界の先進国におけるマイノリティ認知の動きは、人種問題→移民→女性の社会進出→障害者の差別禁止→LGBTの容認、という流れで来ており、LGBTフレンドリーなブランドイメージを作ることは、有能な社員を獲得したり、新たな顧客層を開拓することにも役立つ。

企業がLGBTとの関わりを深めていこうとしている背景には、彼らの所得水準や購買意欲が、一般の消費者よりも高いこともある。

LGBTの所得に関する統計値は、調査の方法や対象先によっても異なっているが、米国大手の生命保険会社、プルデンシャルが調査したところでは、米国世帯の平均年収は約50,000ドルであるのに対して、LGBT世帯は61,500ドル。さらに子供のいるLGBT世帯では 71,100ドルとなっている。

LGBTの所得水準が高い要因としては、都市部で独立した仕事に就いている割合が高いことや、将来への不安から、経済的な自立や貯蓄への関心が強いことなどが挙げられている。そのため、金融機関や保険会社、小売業やサービス業にとっても、LGBTは今後の優良客となる可能性が高い。

そのため企業広告の中でも、LGBT向けにアプローチする内容が、海外では増えてきている。マクドナルドが台湾で公開したCMでは、McCafe店舗の中で、父親と無言で対面する息子が「我喜歡男生(僕は男性が好きです)」と、ゲイであることを告白する。父親は、強いショックを受けて何も語れないまま席を立つが、冷静さを取り戻した後、コーヒーカップの側面にペンで「我接受你喜歡男生(私は、お前が男性が好きだということを受け入れる)」というメッセージを書き入れる。

この映像は、台湾McCafeで販売された「對話杯(対話カップ)」という商品のプロモーションを目的として、2016年に公開されたものだが、マクドナルドがLGBTを支持するメッセージとして、消費者からも好意的な反響を得ている。その後の台湾では、2019年に同性婚を認める法律が成立して、LGBT消費者向けのマーケットが伸びはじめている。

企業がLGBTに対して好意的なメッセージを送ることは、性的マイノリティの該当者だけでなく、人権問題に関心を抱いている人達にも好意的な印象を与えられる効果がある。性的指向の問題だけはなく、多様な価値観や生き方を認め合うことが、新たな文化を生み出すことにも繋がる。

今後は、性別を意識させないユニセックス型の商品が増えていくとみられ、美容用品、化粧品、衣類、下着、靴などの分野でも、男性用・女性用の境界線は次第に消えていくだろう。

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JNEWS編集長(井指 賢)

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