
日本人がセックスよりも気持ちいいと感じること
TENGAが調査した「2019年マスターベーション世界調査」 (各国とも調査対象者は18~54歳までの男女)というものがありまして、その中に「もっとも快いと感じるのはどれか?(Please rank how pleasurable each of the following activities?)」という質問の国際比較調査結果がとても興味深いのでご紹介します。
選択肢についてランキングしてもらったもので1が「もっともそう思う」というものになります。
米国・英国をはじめとする欧米諸国も中国・韓国も1位は「セックス」であるのに対して、日本だけなぜか「美味しいものを食べる」が1位です。
日本人にとって最大の快楽は「食」なんですね。
ちなみに、1/7にツイートしたこちらが、1/9現在「9300いいね」以上を獲得し、バズりました。
これは!
— 荒川和久@「結婚滅亡」著者 (@wildriverpeace) January 7, 2020
TENGAが実施した「2019年マスターベーション世界調査」(どんな調査やねん! )によると、最も快いと感じるのはどれかをランキングしてもらった所、欧米も韓国もセックスが1位なのに、日本だけ「美味しいものを食べる」。いや確かにそうだわwww。
日本人はモテよりメシ! pic.twitter.com/QmWSpEm7Uy
と同時に「わかる」という感想も数多く寄せられています。「この表を刺身にして朝まで居酒屋で語りたい」なとの意見も多くありました。
また、ランキング順から深読みして、日本人は「美味しいものを食べる」→「愛する人と共に時間を過ごす」→「抱きしめる」→「笑う」→「セックスする」という恋愛のステップを踏んでいると読み解く人もいました。興味深いですが、まあ、ランキング順とステップとの間に因果関係はないのですが…。
それを言ったらアメリカ人は「セックスする」→「愛する人と共に時間を過ごす」→「マスターベーションする」といかにも変態な感じになってしまいます。
欧米人の快楽が「誰か他者と一緒にやること」が上位になっているのに対して、日本人が「単独でも楽しめること」であることも示唆に富んでいます。一人であることを楽しめることも日本人のいいところです。
「だから少子化になるんだよ」という声もありましたが、随分と無粋だと思います。少子化は日本に限らず、全世界的にそうです。欧米だってじきに日本並みの合計特殊出生率1.5以下になりますから。
拙著「ソロエコノミーの襲来」にも書いたことですが、未婚ソロ男のエンゲル係数は高いです。家族が24-25%であるのに対して30%食費に使います。下手すると実額で4人家族以上食費かかってます。特に、調理食品、飲料、酒、外食は圧倒的に1人の独身男が4人家族以上にお金を支払っています。これらのメーカーの方々、もう主顧客層は主婦ではなくソロ男なんです。
彼らがなぜ食費にお金を使うのか?
その要因のひとつが僕が定義した「エモ消費」です。
エモ消費については以前こちらの記事↑にも書きましたが、簡単に言うと、精神的充足や癒しのために消費をすることです。モノ消費の所有価値ではなく、コト消費の体験価値でもなく、心を満足させるために消費をする、いわば精神価値消費がエモ消費です。
こちらのプレジデントでも記事化されています。
独身は既婚者に比べて幸福度が低いのですが、そうした家族のいない欠落感を埋めるために、食はもっとも手っ取り早い「幸福感」獲得の手段です。
よって、TENGAの調査結果に対しても「確かにその通りかも」と納得してしまったんですが、この調査は特に独身者だけに限定しているわけではないので、だとすると、そもそも「食の快楽こそが日本人の中心」であって、恋愛やセックスなどの快楽は、むしろ「食の快楽」の代替に過ぎないんじゃなかろうか、とも思うわけです。
魚類を生で食べるという冒険心などその最たるものですし、フグを安全に食べるために一体何人の料理人が死んでいったことでしょう。カレーライスにしろラーメンにしろ、他者の国の料理を日本独自にアレンジしてしまうし、バレンタインにチョコ、ホワイトデーにマシュマロ?、クリスマスにケーキやチキン、正月に餅、節分に恵方巻き、端午の節句にちまきや柏餅などなど、とにかく時節のイベントに全部食べ物を合わせるのも日本流。
あまり知られていないことですが、世界で一番早く外食産業が栄えたのはフランスではなく日本で、1600年代です。明暦の大火で江戸が焼野原になった後、再開発のために全国から大工など職人衆が集結、一旗あげようと農村の次男坊、三男坊も集結、それらに対して商いしようと商人も集結。江戸は自炊をしない男だらけの町になり、そのニーズに対して生まれたのが、惣菜煮物を扱う店であり、居酒屋であり、蕎麦などの屋台だったのです。そこから今に続く寿司・天婦羅などの食文化が生まれました。
「美味しいものを食べる」ことが最大の快楽。
日本人で良かったと思いませんか?