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在独おじさんは『悪役令嬢転生おじさん』が観たい

日本国外のアニメ専門配信サービスといえばクランチロールですが、ドイツではADNの存在感が増しつつあるのかもしれません。

ソニーG傘下のアニメ専門配信サービス、クランチロールが大勢力なのは、サービスが提供されていない日本国内のアニメファンでも日本で年間大賞の発表イベントなどで知っている人がいると思います。ソニーの総合エンタメ企業化は着々と成功を積み重ねているように見えます。

筆者はドイツ在住なので、日々、クランチロールを愛用してきましたが、最近、アニメーション・デジタル・ネットワーク(ADN)のサブスクに加入しました。価格はクランチロールと同じ、月額6.99ユーロからです。2ヶ月ほど視聴してみた結果、違いが見えてきました。。。

そもそも、このADNという配信サービスですが、フランスの同名企業がドイツで展開しているものです。クランチロールがソニーにより買収されて、現地企業クランチロール、ワカニム、ADNの経営母体が統一された際、ワカニムはクランチロールに吸収されて消滅しましたが、独立したのがADNでした。その後、2023年にドイツでのサービス提供を発表し、開始時点での配信タイトルは20件にとどまっていました。その後、旧作だけでなく、新作も毎シーズン10タイトルほどとサービスを充実させてきました。もちろん、クランチロールはその数倍の新作を毎シーズン投入しているので、その差は歴然です。

筆者の目に止まりだしたのは、Xでのドイツ語公式アカウントの対応がきっかけでした。一般のアニメファンからのリプライに対応しており、なんとなく「顔が見える」サービスだなと思ったものです。クランチロールは基本的に告知しかしません。コミュニティの醸成に力を注いでいるようでした、折しも、クランチロールが各話コメント欄を閉鎖し、ファン同士の交流という観点ではネガティブな対応と受け取られていました。

そして、筆者はADNのサブスクに加入することになったのですが、一番の理由はクランチロールが配信しないタイトルがあったからです。それは『青のミブロ』だったわけですが、ゴルフをテーマにした『とんぼ』もドイツではクランチロールではなくADNで配信されており、ようやく視聴することができました。今シーズンは『悪役令嬢転生おじさん』を楽しんでますが、日本とサウジアラビアの合作アニメ『アサティール2』もこのADNで配信されています。いずれもクランチロールでは配信されてません。

実際に視聴してみて、クランチロールとの違いを感じたのがドイツ語字幕でした。とはいえ、ドイツ語字幕自体はおそらくクランチロールとそれほど違いは感じられません。翻訳者もEDのテロップを見る限り、共通の名前が確認できます。決定的に違うのは、OPとEDのスタッフ名の有無です。実は、クランチロールでは、OPとEDに表示される日本語の職域名+スタッフ、声優の名は翻訳されません。これがADNの場合は、主要な人物に限られますが、この職域名+スタッフ、声優の名前が翻訳されています。もちろん、コアなアニメファンはどこかしらで情報を仕入れて、把握しているのかもしれませんが、一般の視聴者にといって、どういうスタッフ・キャストが参加していたのかが分かる、というのはある意味で画期的なことかもしれません。というのも、視聴者はこれまでキャラに感情移入したり、ストーリー展開に注目してたりと、どちらかというと表面的な部分に限定した楽しみ方だったものが、スタッフやキャストが分かることで、別のアニメの楽しみ方が増えるわけです。

だらだらと書いてしまいましたが、まだまだADNは弱小勢力ですが、クランチロールとは違った別のアプローチを試みているように筆者は感じています。今後の成長を楽しみにしています。


タイトル画像:筆者宅にてADNのTOPページを撮影。


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