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大学進学時の文理選択を重要視しないことは深く同意!それは、そのまま私達ビジネス・パーソンの約束にもしないと!


何故か、12月になると受験の思い出が…

師走になりましたね。ということは、一般受験生には勝負の時が近づいています。そして、いつも私は、この頃になると、高校受験・大学受験の思い出が、頭の中に発生します。

特に、大学受験は、日本では、文系・理系の選択があります。私は、「物理系」の進学コースを選択したので、公立の共学の高校でしたが、3年生の在籍のクラスは、男子しかいない「男子クラス」に在籍していました。

当時は、この「文系・理系」の選択に、何の違和感も覚えず、普通に勉強し、普通に大学に進学したつもりでした。

AI時代になり、確かに、学ぶことが変わり始め、文系・理系の境界も

そこに来て、この後藤健夫さんの記事は、考えさせられるものがあります。

AI時代になったということは、私たちの日常に、今まで以上にAIという科学技術が溶け込み始めました。

これからは、文系の方も、今後の研究ではAIという科学技術を使うでしょう。理系の方も、AIに自然言語という、プログラムのような人工言語でない言語を多用することになり、文系的な素養も求められます。

つまり、AI時代になり、文系の人は理系の知識が、理系の人は文系の知識が、今まで以上に求められることになるのでしょう。

これは、ある意味、学問の体系が、AI出現前に構築されたものであり、AI時代に相応しい体系でない可能性があるかもしれないことを、示唆しているのかもしれません。

試験に向き合っている風景

理系の私がおすすめする、文系のためのSTEM素養

この後藤健夫さんの記事には、

これからは幅広い教養やSTEM素養を求められるのにもかかわらず、一般選抜の合理性で文理選択をすることはどうなのだろうか。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO85197290T01C24A2KNTP00/?type=my#AAAUAgAAMA


という記述があります。理系の私も、今の文系の方には、このSTEM素養はお勧めする教養のひとつです。

STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を組み合わせた言葉です。STEM素養とは、これらの分野における基礎的な知識と、それらを活用して問題を解決する能力を指します。

具体的には、以下のような能力が含まれます:

  • 科学的な思考方法を用いて現象を理解し、仮説を立てて検証する力

  • デジタル技術を理解し、適切に活用できる能力

  • 工学的な視点で問題を分析し、解決策を設計する力

  • 数学的思考を用いてデータを分析し、論理的に推論する能力

そして、今STEM素養が現代社会で重要視されています。それは、以下のような理由からでしょう。

第一に、急速なテクノロジーの進歩により、社会のあらゆる場面でデジタル化とAI化が進んでいます。これらの技術を理解し、適切に活用できる能力は、現代社会を生きる上で不可欠となっています。

第二に、気候変動や人口問題など、現代社会が直面する複雑な課題の解決には、科学的知識と論理的思考が必要不可欠です。STEM素養は、これらの課題に対する解決策を考え、実行する上で重要な基盤となります。

第三に、グローバル化が進む経済において、イノベーションが競争力の源泉となっています。STEM分野の知識と skills は、新しい製品やサービスを生み出すイノベーションの基礎となります。

第四に、労働市場においても、STEM関連の職種が増加傾向にあり、これらの分野での素養を持つ人材への需要が高まっています。将来の職業選択の幅を広げる上でも、STEM素養の習得は重要な意味を持ちます。

このように、STEM素養は現代社会を理解し、その中で活躍するために必要不可欠な能力として、その重要性が増しています。

実は、ビジネス・パーソンにも、「文系」「理系」の壁を壊す必要、いや約束が求められている

このように、受験生の「文系」「理系」選択について、考えてきましたが、私達ビジネス・パーソンにおいても、今までの「文系」「理系」の壁を壊す必要、とりわけ「文系」的デスクワーカーが、STEM素養を求められているシーンは多いのではないでしょうか?

いくつか、よくあるビジネスの場面で、STEM素養が必要な具体例を考えてみましょう。

データ分析と意思決定の場面


営業担当者が過去の売上データをExcelで分析し、季節変動や顧客層ごとの傾向を把握して、次四半期の販売戦略を立案する必要があります。この際、数学的思考(Mathematics)を活用して、平均値や成長率を計算し、グラフを作成して視覚化することで、より説得力のある提案が可能となります。

ビジネスの場面では、文系・理系に関係なくデータ(数)に向き合う

デジタルツールの活用場面


人事部門の担当者が、従業員の勤怠管理システムやタレントマネジメントシステムを使用する際、システムの仕組みを理解し(Technology)、適切にデータを入力・出力して分析する必要があります。また、システムのアップデートやカスタマイズの要望を、IT部門に正確に伝えるためにも技術的な基礎知識が重要です。

問題解決の場面


総務部門の担当者が、オフィスの省エネ対策を立案する際、電力使用量のデータを収集・分析し(Science)、費用対効果を計算しながら、最適な解決策を設計(Engineering)する必要があります。

プロジェクト管理の場面


企画部門の担当者が、新規プロジェクトの工数を見積もる際、過去のプロジェクトデータを分析し、リソースの配分を最適化するために、数理的な思考(Mathematics)と論理的な設計(Engineering)の能力が必要となります。

マーケティング施策の立案場面


マーケティング担当者が、WebサイトのA/Bテストを実施する際、科学的な仮説検証の手法(Science)を用いて、どの要素がコンバージョン率に影響を与えているかを分析し、効果的な改善策を導き出す必要があります。

予算管理の場面


経理担当者が、部門予算の策定や管理を行う際、スプレッドシートを使用して(Technology)複雑な計算を行い、将来予測のモデルを構築する必要があります。その際、数学的な知識と論理的思考が不可欠です。

業務改善の場面


業務効率化を担当する社員が、RPA(Robotic Process Automation)の導入を検討する際、現行の業務プロセスを論理的に分析し(Engineering)、自動化可能な範囲を特定して、適切なツールを選定するための技術的知識(Technology)が必要となります。

このように、現代のビジネス環境では、職種や部門を問わず、様々な場面でSTEM素養が必要とされています。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、これらの能力の重要性は更に高まっていくと考えられます。

AI時代、受験勉強も、社会人の働き方も変革が起こる

AI時代は、このように受験生の「文系」「理系」の選択論にも、そして社会人の働き方にも、大きな変革を与えています。これからは、それらの変化を、前向きにとらえ、自分の変革を行うことが重要なことになるのかもしれませんね。

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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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