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「個人を掛け算したチームで圧倒的な成果を上げる」ー【COMEMO KOLインタビュー】三浦孝文さん

日経COMEMOのKOL(キーオピニオンリーダー)三浦孝文さんは、D2Cとクックパッドの人事部門を経て、現在はオイシックス・ラ・大地で人材企画室室⻑として活躍しています。「チームで成果を上げる」ために、これまで三浦さんが取り組んできたことや、新しい時代のチームマネジメントについてなど、その背景にある思いとともにお話をうかがいました。

【COMEMO KOLインタビュー】は、キーオピニオンリーダーの思いやルーツ、人となりを紹介する連載です。取材には、日経とnoteによる学びのコミュニティ「Nサロン」のメンバーを招待。実際の取材現場体験を通してビジネススキル向上の機会を提供しています。


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三浦孝文さんのプロフィール
1987年大分県別府市出身。2010年関⻄学院大学を卒業、モバイル広告会社D2Cで社会人生活をスタートし採用全般を担当。14年、クックパッド採用グループに中途入社、子会社の独立を見届けた16年末に退職。17年1月よりオイシックス・ラ・大地の人材企画室室⻑を務める。

▼本日より「NIKKEI STYLE 出世ナビ 【フロンティアの旗手たち】」で三浦さんの連載が開始しました。


ー人事の仕事についた経緯を伺えますか?

最初は、新卒で入ったD2Cで、人事部門を配属希望の1つとして出したことがきっかけでした。インターネット広告の会社で新卒6期生として入社しましたが、上には5期生までの先輩がいて、同期も10人いる環境でした。その中で、広告会社に入ったものの、自分が一番広告のことをわかっていない。どうすれば自分を周りと差別化できるだろうかと考えていました。

大学時代は体育会にいたので、常に「チームで勝つ」ということに意識を向けてやっていましたから、人の採用や成長支援、評価などを通じて組織のパフォーマンスを上げる人事の仕事は面白そうだと感じて希望を出したということもありました。

人事への配属が決まり、その後は自由にいろいろなことにチャレンジさせてもらいながら、経験を積むことができました。うまくいったことも、うまくいかなかったこともありましたが、上司や同僚の方のおかげで自分としては充実していると感じていました。

ただ当時は、組織全体や会社の事業を成長させるための人事とは何かを考えたりすることはありませんでしたから、転職し人事の経験を積むにつれて、後に自分がやったことが会社の業績や価値にどの程度つながったのかと、反省するところもたくさんありました。

ー人事の仕事の面白さはどのようなところですか

人事の役目は、会社が掲げるミッションやビジョンに、いかに最短距離でたどり着くかを考えて、「組織と人」という側面から、パフォーマンスを最大化するために必要なことを仕掛け続けることだと思っています。

直接的に利益を上げるような活動をするわけではありませんが、「個人やチームが結果を出して、お客様が喜んでくれる」ための採用や教育、結果に報いる評価制度や働き方の支援を考え、実行していきます。自分がお客様やクライアントに何かをやるのではなく、個人やチームに何かを仕掛けることで圧倒的なパフォーマンスを生むことを考えます。また、人事の仕事は「人」が相手になりますから、これが正しいという明確な答えがないと思っています。

例えば、目標を立てて、その目標に向かって頑張ったのに、「出た結果はこれだけだから給料はこれだけね」と言われても、論理的には理解できても感情的には納得できないことがあるはずです。結果として出ている数字を見なければならない一方で、「上司との相性が悪く本来のパフォーマンスが出ていない」「家族の育児や介護で大変」など、その人の個人的なバックグラウンドに対してどう寄り添うかという「感情」にも向き合わなければなりません。

どうすればより良い状態に個人やチームをできるのか、答えがない中で永遠とトライしている感じです。論理と感情を常に考えながらやることが、自分としては面白いし、人事の仕事のやりがいになっています。

ー人事の仕事をする上で心がけていることがあれば教えていただけますか?

人事部門で社会人人生の9割近く働いてきて、特にここ1、2年で明確に意識して考え、実行するようになったことですが、その施策によって「会社はどんな成長をするのか?」「個人やチームにどんな効果が出るのか?」ということを、しっかりと狙ってやっていかなければならないと思っています。

「今年は何人採用できました!」ということは、それだけでは実はどうでもいいことです。それよりも、その採用によって入った人材が「どのようなパフォーマンスを出したか?」「どのような貢献・利益をもたらしたか?」「その人はどのように成長したか」が大切です。

「人事」は「経営」と連動していて、会社の規模が大きくなればなるほどこの連動も大きくなっていくものだと感じています。会社の規模が小さければ、経営者のひと言で、チームもメンバーも動きます。でも従業員が数千人規模の企業ともなれば、経営者の声が届かないということも、当然起こってきます。

そのような中でも、それぞれの部門の人材が、解決しなければならない課題にしっかりと向き合って、解決のために動けるようにすること。そのための仕組みづくりと当事者として課題解決に入り込む「人事」ということを、強く意識しています。

人事のあり方は、会社の年数やフェーズ、業界によって変わると思いますし、今回のコロナのような「環境」下でも変わっていくものだと思っています。

ー人事の仕事に求められることは変わってきていると思いますか?

社員個々をしっかりと見ていかなければいけない、ということの高まりは感じています。インターネット、SNSなどの影響もあり、個人が個性を発揮できる場がどんどん増えていますから、働き方も含めた多様性を受け入れなければならないと感じています。

「多様性」という言葉でひとくくりに言っても、これは社員1人1人をどう見ていくかを考えていかなければならないということですし、一方では「うちはこういう会社なんですよ」というメッセージも伝えていかなければなりません。

社員個々を見ながらも、会社がどこに向かっているのかを見失わないようにして、その2つをどうつないでいくかを考える。そのようなことを意識する機会は増えた気がします。

個人的には雑談などを積極的にして、例えば、家族の話や自宅の仕事環境の話、愚痴やストレスまで、よく聞くようにしています。どんなことでテンションが上がってどんなことでテンションが下がるのか、何が得意で何が苦手かなども含めて、1人1人のもっている個別の前提を細かく見て、理解することが大切だと思っています。

ーオンライン時代になり「個人で上げる成果」に注目が集まっていますが、これからの時代に「チームで成果を上げる」ために必要なことは何ですか?

みんながオンラインで働くようになると、「チームでやるよりも一人でやったほうが早い」という動きが出てきてしまうこともあるかもしれません。でも、結局それで出せる成果は個人で出せる成果でしかありません。個人で出せるのは、あくまでも「自分の限界値」。個人を掛け算したチームで出せる成果を超えることはできないと思います。

「一人でやったほうが早い」という考えに陥ってしまうメンバーがチーム内に出るのは、上長がメンバーの特性や強みなど「何でバリューを出す人なのか?」という理解が足りていないからだと思います。

例えば、野球の試合で、ここ一番の場面で中継ぎやリリーフに選ばれる選手は、その場面で最大限の結果を出せる特性をもっているわけです。監督がその特性を把握していて、ここで言う把握というのは、昨年のデータや今の選手の状況、相手との相性など、前提を知っているということです。

もし「一人でやったほうが早い」と思っているメンバーがチーム内にいたら、マネジメントやそれに気づいている他のメンバーが、どうすればチームでより結果を出せる状態にできるかという議論や対話の場に、その人を引っ張り出して巻き込むことです。そのメンバーも悪気があってそうしているのではなく、本当に「自分でやったほうが早い」と思っているだけだと思います。「チームでやったほうが早い」とわかれば、チームでやろうとするはずです。

「チームのほうが成果を出せる」とみんなが気づいて、それぞれの前提となる特性や状態を見える化することが大事だと思います。誰かと一緒にプロジェクトを動かし、人を巻き込みながらチームの中での自分の役割を考えられる人は、これからの時代は強いと思います。


▼本日より「NIKKEI STYLE 出世ナビ 【フロンティアの旗手たち】」で三浦さんの連載が開始しました。

▼「NIKKEI STYLE 出世ナビ 【フロンティアの旗手たち】」は、日経COMEMOのKOL(キー・オピニオン・リーダー)の投稿をもとにした連載企画です。

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