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「自分が顧客だったらそれでいいのか」を問い続ける

プレイドの川久保(@kawatake)です。

最近、顧客の視点や立場で考えて、商品/サービス開発をしているという話が多くなった気がしています。真新しい手法ではないので、今になって急に増えたというわけではないと思うのですが、目にする機会が増えた気がするんですよね。

たまたまというか、もしかすると、そういう記事を好んでみているせいかもしれません笑

例えば、この記事も同じように顧客視点で開発した2つの製品の話でした。

日本コカ・コーラの檸檬堂の開発では、世の中のお酒のトレンドを見つめなおすために全国にある人気の居酒屋やバーに足しげく通い、レモンサワーのトレンドが来ていることを肌で知ったそうです。

関口氏ら開発チームが取った行動は、全国にある人気の居酒屋やバーに足しげく通うこと。その数はメンバー1人当たり数十店舗。そこからまず、アンケートなどのデータ分析だけではおぼろげだったレモンサワーのトレンドが「確実に来ている」(関口氏)と実感できた。

地道に現場を回るうち、発見したのがレモンサワーの豊富なバリエーションだ。素材や製法にこだわって1杯1000円で提供する店があれば、1店舗で10種類出している専門店もあった。しかも「こうした独自の進化を消費者が楽しんでいる」と関口氏。「レモンサワーに特化する」という檸檬堂のコンセプトが固まっていった。

もともとお酒の開発をやっていなかった日本コカ・コーラの方々だからこそ、居酒屋やバーを巡り、生の情報を直接知る。これから開発しようとしている製品を飲む人々は、家以外では何を飲んでいるのか、どういうものがいま好まれているのか、そういったことを居酒屋やバーを巡りながら情報収集していったと想像できます。楽しそうですね笑

「市場調査は重要だが、それだけでは見えてこない」と関口氏。徹底的なデータ分析を駆使するイメージが強い日本コカ・コーラだが、檸檬堂が成功した背景には「データに頼らない」という戦略があった。

この言葉からは、顧客の視点での気づきを得るためには市場調査ではなく、お客様の実際の生活を知ること、体験することの重要さがわかります。


また、もう一つの事例で掲載されているバルミューダでは、「開発者自身が消費者として『驚き』や『面白さ』といった感情が動かされるかどうか」が開発される際の基準にあるそうです。

プレゼン資料を用意する必要はなく、市場調査などのマーケティング活動は一切しない。必要に応じてモックアップ(試作品)を作成する程度だ。「自らが消費者目線で、現状の不満を解消していくアイデアが求められる」(半澤部長)という。

単なる改善では意味がない。アイデアを出した後、実際に開発するかどうかを決める上で重要な基準は「開発者自身が消費者として『驚き』や『面白さ』といった感情が動かされるかどうかにある」(半澤部長)。そうした感情が、最終的に多くの消費者に共感を呼ぶことができれば、商品は売れる。

この原点には、バルミューダの寺尾社長が自分の感動を人に共有したい、届けたいという部分から始まっていると以前ラジオ(J-WAVE「KARTE CX VOX」)にて、話していただきました。

バルミューダ全体のクリエイティブや私自身の創作活動は、自分が何かに感動して、それを人に共有したい、人にオススメしたいということに尽きますね。

多くの企業は、ビジネスを始める前に市場を分析して自分にできることと掛け合わせて商品やサービスを作り始めます。ただ、最先端のプロダクトで世界中を虜にするAppleやパタゴニアなどは好きなことをやっているようにしか見えなかった。それって、「ロックバンドと同じだな」と思ったんです。バンドメンバーが集まって出てきた音を、自分たち自身がすごく良いと思う。「だからこれを他の人にも聴かせない?」というバンドの原点に近いなと。

自分の感動を誰かに共有し、届けることで、新たな感動が生まれる。そして、その体験で感じる価値は知識よりも上位にくる。寺尾社長のこの言葉は心に残っています。

体験して感じた価値は、知識よりも上位にくる。自分自身でも感じていたし、お客様の反応を見て確信しました。私たちが作るべき価値は、五感で感じられる良さをフルに体験できること。

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顧客の視点を考える時に、私は以前より2つのアプローチの仕方があると考えていました。

一つは、自分がN=1となって、自分の視点で欲しいものや感動するものを考える視点。これはバルミューダさんのやりかたですね。熱量を持って事業を進める起業家や事業推進者に多いと思います。この時には、自身の感動や欲しいという視点を他の人にも伝播させることができるくらいの熱量を持つ必要があると思います。

もう一つは、自分の視点ではなく、「あの人は絶対これを喜ぶ」という具体的な人のN=1まで解像度を上げるというやり方です。具体的に使う人や生活のシーンを思い浮かべることができるのが大事な気がします。これは檸檬堂の開発のストーリーに近いと思います。おそらく、「あのお店のレモンサワーを飲んでいるあの人は、きっとこれを好きになってくれるに違いない」という思いを持って開発したのではないでしょうか。

顧客の視点で考えるという時に、単に顧客側の視点に立つだけの顧客視点では顧客の期待を超える商品やサービスの提供は難しいかもしれません。自分でも他人でも、とにかく顧客の顔を解像度高く思い浮かべることのできる、この想像力を持つことが顧客視点で考える時に大事だと思っています。

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先日公開した私が関わっているメディア「XD(クロスディー)」での記事でも同じような話がありました。花と観葉植物のEC「HitoHana(ひとはな)」の森田様へのインタビューです。

顧客からのレビュー投稿は1万件以上。各商品のページに「過去に発送した商品の写真」をすべて掲載しており、その写真がレビューに紐付けられているそうです。カタログの写真を見ても実際のアレンジはどうなるかわからないという、お客様がECで花を買うときの不安をなるべく減らすような工夫がされています。

こういう部分を含め、会社のカルチャーとして「自分が顧客だったらそれでいいのかを起点に考える」という姿勢を徹底されていて、顧客中心主義という言葉を実践されている良い例だなと思いました。

顧客視点、顧客中心にというと少し難しく聞こえるかもしれませんが、ここにあるように「自分が顧客だったらそれでいいのか」を問い続けるというシンプルなことなのかもしれませんね。


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CX(顧客体験)にフォーカスしたビジネスメディア「XD(クロスディー)」を運営しています。企業が顧客体験をよりよくするためのヒントを、様々な観点から発信しています。


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Photo by 🇸🇮 Janko Ferlič on Unsplash


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博報堂を経て、2015年よりプレイドに参画。現在はコミュニケーションディレクターとして、CXプラットフォーム「KARTE」のコミュニケーション領域を担当する傍ら、CXカンファレンス「CX DIVE」統括とCXにフォーカスしたメディア「XD(クロスディー)」副編集長を務める。