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世界で急騰するジャパニーズ・ウイスキー投資の楽しみ方

「信頼できるブランド=不正がない」という視点からすると、日本製品の評価は世界から高まっている。いまでは少なくなったものの、国内で 100%生産された製品は、原材料の調達から製造工程でも不正が行われている確率は少ないことから、世界でファンが増えている。

その中でも、ジャパニーズ・ウイスキーの評価は世界で急上昇している。サントリーの「山崎」「白州」「響」、ニッカの「余市」「宮城峡」「竹鶴」などは国内の酒販店でも品薄となり、ノンヴィンテージ品でもプレミア価格で取引されている。

国内のウイスキー市場は、2010年頃まではビールや焼酎に押されて低迷していたが、その後のハイボールブームや、2014年から放映されたNHK朝ドラ「マッサン」効果により人気が復活。さらに、世界でウイスキーが投資対象として注目されはじめたことから、需要が急拡大した。しかし、ウイスキーの原酒作りには時間がかかり、すぐに増産はできないことから、取引相場の高騰が起きている。

ウイスキー専門の投資情報会社「Rare Whisky 101」では、世界にある希少ウイスキーの相場動向をインデックス(指数)として算定しているが、日本製100種類の希少ウイスキーを対象とした「Japanese 100 Index」は、2015年から 2019年にかけて3.5倍以上に上昇している。

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ワインと比べると、ウイスキーはアルコール度数が高いため保存環境に気を遣う必要がなく、一般の個人でも自宅でのコレクションがしやすい。日本製の高級ウイスキーは、原酒作りの樽にミズナラの木を使っていることが、日本独自の風味を出していると言われる。世界的な酒類品評会でも、サントリー「山崎21年」、ニッカ「竹鶴25年」などは何度も優勝しているが、元々の供給量が少ないために、ネットでは定価の5倍以上で売買されている。

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趣味と実益を兼ねたコレクションとして考えるのであれば、日本人にとってウイスキーはワインよりも手掛けやすい。ジャパニーズウイスキーとして評価が高いのは、大麦麦芽(モルト)のみを原料して蒸溜された「ピュアモルトウイスキー」で、単一の蒸留所で作られた熟成年数が異なる原酒をブレンドした「シングルモルト」、複数の蒸留所で作られた原酒をブレンドした「ブレンデットモルト」に分類することができる。いずれも、信頼できる蒸留所で作られた原酒は品質が高い。

18年や25年などの酒齢表記は、ブレンドした中で最も若い原酒の熟成年数を示したものだが、コレクションとして価値が高いのは、メーカーが不定期に売り出す限定品のウイスキーである。たとえば、サントリーがミズナラ樽で18年以上熟成させた原酒だけでブレンドした「山崎ミズナラ2017 EDITION」は、2017年9月に1,500本限定、定価10万円で抽選販売されたが、2020年時点の売買価格は35~50万円で取引されている。

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サントリーでは、ミズナラ樽で50年以上熟成させた「山崎50年」を1本100万円、150本限定で、2005年、2007年、2011年の3回発売しているが、2011年版の山崎50年が、オークションハウス「サザビーズ」の香港会場に2018年に出品された時には、3,250万円で落札されている。2015年にも、山崎50年は香港のオークションに出品されているが、その時の落札価格は500万円台だったことから、中国のウイスキー投資はバブル的に加熱している。

ジャパニーズウイスキーの価値が上昇しているのは、サントリーやニッカ(親会社はアサヒビール)など大手メーカーの限定品だけではなく、国内の中小蒸留所が生産したものも該当する。日本全国には、大手メーカー所有の施設を含めて13ヶ所のウイスキー蒸留所があるが、その中の3ヶ所は既に閉鎖されている。中小蒸留所のウイスキーは、もともと生産量が少なく、閉鎖されると更に希少性が高まるためコレクター市場での価値が上昇する特性がある。

ただし、ウイスキーを本格的な投資として行うことにはリスクが伴う。高級ウイスキーの相場高騰に伴い、偽物も多数出回るようになり、実売価格が40万円以上する「山崎25年」の空き瓶は、数万円で取引されている。そのため、投資対象として熱くなるのではなく、希少性が高いウイスキーが発売された時には抽選に応募して、当選すれば定価で買い集めていくスタイルが、趣味と実益を兼ねた楽しみ方といえるだろう。

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