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ビデオ会議ツールで変わる士業の集客ルートとワークスタイル

 企業のテレワーク形態として最も普及しているのは、じつはビデオ会議である。 労働政策研究・研修機構が、国内で社員数100名以上の12,000社を対象に行った「イノベーションへの対応状況調査(2017年)」によると、ビデオ会議を導入している企業の割合は46.8%で、本支店間の会議や打ち合わせに活用されている。

ビデオ会議導入の具体的な効果は、出張の減少に伴う交通費の削減や、会議時間の短縮などが挙げられており、リアルに対面して行う会議と比較したデメリットを感じているケースは少ない。

社員数が多い企業ほど、ビデオ会議の導入率は高いのが特徴で、社内向けに活用しているのが特徴だが、顧客先に対してもビデオ通話で遠隔商談を行う「インサイドセールス」で業績を伸ばす企業は増えてきている。こうしたビデオ会議の効果的な活用は、スモールビジネスにも応用が効くものである。

たとえば、税理士、司法書士、行政書士などの士業は、ビデオ会議システムを活用することで、関与先に対する相談サポートを厚くしたり、顧客開拓の商圏を広げることができる。

会計事務所を例にすると、一般的な顧問契約では、定例の訪問アドバイスを設定しているケースが多い。しかし毎月訪問できる件数には限界がある。そこにビデオ会議システムを導入することで、面談件数を増やすことができる。また、訪問可能なエリアも限定されないため、全国から顧客を獲得することも可能になってくる。

最近では、会計ソフトのクラウド化が進んでいるため、そこに月1回のビデオ面談も加えると、税理士が遠方の顧客と会計データを共有しながら経営アドバイスを行うこともできるようになっている。これにより、「製造業専門」「飲食業専門」「不動産大家専門」というように、各業界に特化した税務アドバイスで付加価値を高めていくことができる。

会計や税務の作業は、同じ業界や職種の顧客が集約されるほど、詳しい経営指標が算定できるため、一般的な税理士よりも専門性の高いアドバイスができるようになる。

さらに、海外では、会計士や税理士の仕事がリモートワークの職種としても注目されるようなっている。特定の場所にオフィスは作らずに、フリーランスとして会計業務を受託して、必要に応じてビデオ会議でクライアントとの打ち合わせや経営相談に応じるスタイルである。「AccountantList」は、米国内のリモート会計士に特化したマッチングサイトで、税理士や公認会計士が遠隔で働ける求人案件が多数掲載されている。

会計士の仕事は、確定申告や決算の時期に仕事が集中する特性があるため、会計法人でも、繁忙期に限定してリモートで働ける専門人材を採用したいというニーズがある。会計士=堅い職業のようにみえても、リモートワークとの相性は良く、新しいワークスタイルを切り開く会計人材が、海外では増えてきている。

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