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NPOの新規事業開発事情

こんにちは! 認定NPO法人フローレンスの前田晃平です。昨今、いわゆるインパクト投資の機運が高まってます。財務的リターンと合わせて、社会的に良い影響(=インパクト)を出せる組織に対する投資のことです。

もちろん、インパクト投資といっても慈善活動ではないので、その投資先の多くは、相応の利益を見込める事業を展開する企業です(テスラとか)。でも、最近はこの「インパクト」の質をさらに追求し、私たちのような公益性の高い事業を展開する非営利法人にまで投資しようとする動きが出てきています。例えば、英国の大学で構成されるインパクトファンドは、貧困対策に取り組む非営利団体への投資も検討しているとか。頼もしすぎる。

ただ、繰り返しになりますが、インパクト投資といっても慈善活動ではありません。公益性が高いからといって、投資に対するリターンを蔑ろにはできません。私たちも、普通の企業と同様に、必死に利益を確保しにいっています。

でも、「公益性の高い事業」と聞いて、そこで働くスタッフが日々どんなことをやっているのか、イメージできる人は多くない模様。実際、前職の友人と話をすると、「どうやって食ってるの?」って言われますもの。

そこで今回は、フローレンスの事業開発を担うチームの責任者をやらせていただいている私が、普通の事業開発と、公益性の高い事業開発の違いを、わかりやすく紹介しちゃうぞっ✊

前職はリクルートホールディングスの新規事業開発室でゴリッゴリの事業開発してたので、どっちの事情もわかるのだ。

👪 顧客の不が起点、は変わらない

違いの話をする前に、まず、変わらない要素を共有します。リクルートの新規事業開発では、100万回くらい「顧客の不」という言葉を聞かされました。どんな事業開発をするにせよ、その事業に価値があるのは、顧客の不、すなわち、困り事を具体的に解決できるからです。

だから、とにかく現場に出て、顧客となりうる人の話を聞きまくってました。オフィスでエクセルを叩いてたら、怒られたもんです。「データと向き合う前に、人と向き合わんかい」と。

フローレンスの事業開発でも、ここは全く同じでした。公益性がどうだろと、そもそも顧客のニーズがなければ事業に価値はありません。「いいことをしてるつもりです😋」はダメなのです。


🛠 事業を成長させる手段が多様

次に、弊会がやる事業開発の特徴です。まずあげられるのは、事業を成長させる手段が多様、ということ。ここは、私自身、驚きました。

普通の株式会社の事業開発だったら、よほど特殊な事情でもない限り、事業の成長は、自社のサービスを通じて市場からの売り上げを見込みます。しかし、私たちはその他にも、本当にあらゆる手段を使います。

例えば、寄付、そして、行政の補助金などです。ちなみに、既存の制度の中で使える行政の補助金がなかった場合、それをゼロから作ってもらうための政策提言までやります。いわゆる、ロビイングというやつです。

「こども宅食」の事業展開が良い例です。貧困に苦しみ、社会から孤立して「助けて」を言えない親子に対し、こちらから食料を届けて、しかも、必要な社会資源に接続することを目的としています。

いうまでもありませんが、このサービスを実施するにあたり、食料を届けるご家庭からお金をもらうわけにはいきません。なので、事業を始める時の資金はクラウドファンディング(ふるさと納税!)で調達でしたし、その後、文京区にアプローチして、事業に予算をつけてもらいました。

地域で成功事例を生み出した後は、この動きを全国に広めるべく、国に対して政策提言を行います。有志の国会議員各位に議員連盟を設立していただき、政府にアプローチ!令和2年度には厚生労働省で国策として予算入り!

こんなスケールのさせ方は、普通の企業ではまずないでしょう。


💕 競合は仲間……!?

私たちを悩ませる存在、競合他社。民間では、潰し潰されの仁義なき経済戦争が繰り広げられています。しかし、私たちの業界では、そうとは限りません。場合によっては、一緒に事業を成長させてくれる仲間となります。

先にあげた「こども宅食」が典型です。厚生労働省が予算化してくれたからといって、それで一気に事業が全国展開されるわけではありません。この事業の目的に共感し、志を共にしてくれる団体が、各地域で手をあげてくれないといけないのです(そこでこの予算を使う)。

私たちは主に首都圏で活動をしているので、独力では全国展開できませんし、むしろ、する必要もないと思っています。真に大切なのは、私たちの組織としてのスケールではなく、事業のスケールだからです。

社会課題の形は地域によって異なるので、地元のプレイヤーの方が上手くやれることが多々あります。自分たちは、事業や政策提言を通じて社会課題解決にイノベーションを起こし、法制度などを通じて型化。後は、それを如何に他のプレイヤーに活用してもらえるかが重要です。

私たちにとって競合とは、志を同じくする仲間でもあります。


🔥 顧客の不を背負う覚悟

どんなに素晴らしいサービスでも、事業として成立しないと(黒字にならないと)持続できません。時には、撤退せざるをえないこともあります。

私たちの手がける事業の顧客は、本当に、困っています。「このサービスがなくなったら不便」とかじゃなくて、ないと生活が困窮してしまう、みたいなケースが少なくありません。事業開発にあたっては、そういう親子と何度も話をしているので、それぞれの厳しいリアルを、よく理解しています。

だからこそ、新規事業であったとしても、撤退は胸が押し潰されるほど苦しいです。こんなにサービス開発に協力してもらったのに、喜んでもらえたのに、自分たちの力不足で、継続できない……、本当に申し訳ない……、と。

「でも、絶対諦めん!もっと強くなって帰ってくる🔥」という、鬼滅の刃の主人公たちのようなメンタリティが求められています。


🍎


ざっくり、こんな感じであります! NPO(というか、フローレンス)の新規事業開発事情、ご理解いただけたでしょうか。普通の企業と基本的なことは同じですが、事業の目標に到達するまでのHOWが少し特殊かもしれません。

この話をすると「興味あるっ!私もやってみたい」という嬉しい反応をいただくことがあります。でも、大抵、その後「でも、こんなのやったことないからなぁ。不安だ」と続きます。

大丈夫です✊ 私も、やったことありませんでした(ドヤッ

大切なのは、本気で「社会を変えたい」という思いだけです! 私たちは、チームで仕事をしています。やり方なんて、仲間がいくらでも共有してくれます。もし、本稿を読んで少しでも弊会にご興味を持ってくださったなら、いつでもご連絡ください。

社会課題の最前線で、あなたと一緒に戦えることを、楽しみにしています🔥



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前田晃平 / 著書『パパの家庭進出が ニッポンを変えるのだ!』🔥

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認定NPO法人フローレンス代表室長。政府「こども政策の推進に係る有識者会議」委員。著書『パパの家庭進出が ニッポンを変えるのだ!』 ▶︎ http://amzn.to/2QTNtCn 。前職はリクルートHDの新規事業開発室でプロダクトマネージャー。妻と娘と三人暮らし。