見出し画像

自分の欲しいものを言語化できる人は実は少ない。だから強みになる。

コピーライターの仕事をしていて、最近改めて実感していることがあります。
それは「自分の欲しいものをうまく言語化できる人」は実は少ないということ。
「でもそれが私の手にかかれば魔法のようなコピーで言語化できるのです、わははは」と言いたいわけでも「言語化なんてしょせん無理です」という言葉の仕事の全放棄でもないのです。

提案に通らないのは何故なんだろうと

というのも、こちらの広告プランの提案が一度で通るというのがなかなか少なくて(威張れることでないです…)その振り返りがきっかけです。

分かっていたけど、最初(!)の依頼時に行き違いが起きている。でもその時は気付けない。
が、再提案に向けて依頼主と話を深めるうちに、資料の下の方に1行ちょろんと書いてあることが実は一番重要だったとか、書いてはあるけど、解釈がそれぞれ違っていたとか、雑談や悲痛な困り感の吐露にカギが隠されていた等々。
すなわち本当に欲しいものは決して書いてはない!これだとかなり旅は難航するわけなのです。

さらに依頼内容根本から再検討となるケースも多くあります。(マーケティングプランの練り直し)
決して依頼した方の能力が云々ではなく、仕事でも人生でも、適切な依頼する(=欲しいものを伝える)というのはとても難しいのかも思うようになりました。

だって欲しいものが見えている=解決策が大体見えている なんですもん。

冒頭を読んで「欲しいものなんてすぐ浮かぶよ」と思う方も多かったかもしれません。
でも例えばストレス解消に行う買い物や飲み会、実は紛らわしているだけで、本当に欲しいものは別のところにあったりしませんか?
別のところにあることすら気付かなかったり、色々な事情からあえて目を背けるときもあるかもしれません。万能に見えるお金ですら「お金があっても満たされなかった」という告白もよく聞きますよね。

形にしないと気付けないこともある

実は広告の教科書的には、オリエン(広告の依頼発注の場)こそ一番大事で、オリエン資料は「契約書」、その段階で全ての疑問を相手とクリアにすべきというのが大原則。なので見えてないズレまで私が見抜けなくてはならない。でも冒頭に書いたように、限度があるのかもと思い始めています。

過去の依頼主で「オリエンに命かけてる」と伝説があった人ですら、こちらが広告の形にしてみて初めて「依頼内容の問題に気付けた」と言ったこともあるのです。

形にしてみて、初めて分かることがたくさんある。
この記事のエピソードもそうかもと。

「(サービスの)変更をしたら、ツイッターなどSNSで『改悪だ』『利用を辞める』と大炎上しました。言い訳めいてしまいますが、私自身が忙しさにかまけてこのプロジェクトを責任をもって監督できていなかったことも原因でした。ただ、利用者が使いたくないというなら答えは見えていました。緊急会議を招集し、1日で元のサービスに戻しました」

記事から。1日で戻したのがすごい。

形にすると、何がYES でNOか浮かび上がってくる。
浮かび上がってきた何かから、少しずつ言葉を当てては外し、対話しながら試行錯誤を重ね、思いを掘り出していかねばの覚悟の帯を今締め直してます。そうコピーライターは「聞く」のが仕事。(でもね、毎度毎度白紙になるのはしんどい。避けたい。ほんとに…)

書いてみると、いいですよ

大変ではあるけれど「書くこと」は、おすすめしたいです。
自分が何が欲しいのか、誰かとの関係が煮詰まったり、どこに行きたいのか分からなくなった時は、特に。
まとまらなくていい。目の前を覆われてしまっている怒りも悲しみも弱さも、そのまま全部書き出してみると、何度も出てくる言葉、思ってもみない言葉がすっと浮かび上がって、本当に欲しいもののヒントになったりします。
欲しいものを言葉にできる人は、人生が幸せになる近道を知っている人。絶対に強みになると思います。人にも伝えられて、どんどん巻き込めるし。

私?まだ修行中です。私生活では特に!目先の喜怒哀楽の感情にすぐとらわれて迷子になります…。

さてまた来月も(いやずっと)書く修業は続きますっ。次は7月に! 


いいなと思ったら応援しよう!

近森 未来( コピーライター)
ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。