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景気後退の手前こそ長期投資の正念場

10年ほど前、投信会社のエコノミストとして、全国で資産運用セミナーの講師を務めていました。

株やREITなどの相場が上昇している時に、経済や金融の大きな話をしても、あまり手応えはありません

質問の多くは「〇〇ファンドの分配金は上がるのか」「〇〇ファンドは特別分配金で基準価額を下げないのか」という、セミナーとは関係ないもの。「豪ドルはどこまで上がるのか」「中国株をいま買って大丈夫か」という生々しい質問もありました。

もちろん、「下がります」「上がりません」「買わないでください」などとセミナー講師が回答しようものなら、販売会社からの冷たい視線を浴びることになりますし、なによりコンプライアンス上の問題があります。

価格や分配金の変動に言及できない代わりに、そうした変動に惑わされない運用手法をお勧めすることは、1つの正しい回答だと思います。代表的なものが、積み立て投資による長期の資産形成です。

私が運用会社にいた10年前は、性質の異なる複数の資産に投資する分散投資のほうが人気でした。いずれも、一時的な相場変動に惑わされないための投資手法といえます。

ただ、どの投資手法を選んだとしても、相場の変動を無くすことはできません。相場が変動する限り、投資家の不安は無くなりません。不安に耐えられなくなれば、途中で資産運用をあきらめてしまい、長期投資のメリットを享受することができません。

相場のサイクルを何度も経験しているベテラン投資家ならば、単に「安ければ買え」で済みます。しかし投資経験が乏しい個人投資家は、資産運用の不安とどう向き合うかが何より重要です。

以下の記事が指摘しているように、確かに景気後退期こそ投資のチャンスです。一方、長期投資を始めた個人投資家に対しては、まず「なぜ景気が後退し、相場は下落するのか」を、実際に景気が後退する前に理解してもらうことが、長期投資の不安を和らげるうえでの第一歩だと思います。



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お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。

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宮嵜 浩(エコノミスト)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所シニアエコノミスト。日本経済の分析・予測を担当しています。

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