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"カルチャーフィット"から"カルチャーアド"の時代へ - 不確実な時代に必要なカルチャーづくりとは

先日ファシリテーションをさせていただいた『採用力を高めるスタートアップHRの情報発信とは』をテーマにしたイベントの中で、登壇者の幸村 友美さんから、「採用において重要なのはカルチャーフィットではない」という話がありました。

これまで私自身もメンバーを採用する際「カルチャーフィット」は重要な要素だと考えていました。しかし、その考え方はこれからの時代のチームづくりに最適でないということを知り、大きな衝撃を受けました。

これからはカルチャーフィットではなく「カルチャーアド」を考えるべきだと言うのです。今回は、チームづくりにおいて必要なカルチャーアドという考え方について掘り下げていきたいと思います。

企業カルチャーとは

そもそも企業におけるカルチャーとは何なのか。Wikipediaによると、下記が企業文化、すなわち企業カルチャーだといいます。

企業文化(きぎょうぶんか)とは経営学用語の一つ。ある企業が有している独特の価値体系や行動規範のことを言う。

そのベースとなっているのは、創業時から積み重ねられてきた歴史や実績、創業者の考え方となります。その内容は企業によって大きく変わります。また、企業カルチャーは、企業活動に大きな影響を与えます。経営学の父とも言われるピーター・ドラッカーは「カルチャーは戦略に勝る」という有名な言葉を残しています。企業カルチャーの醸成や変革にいかに取り組んでいくかは、企業の未来を左右するといっても良いくらいであると人事ポータル “HR pro”にも書かれています。

カルチャーフィットとは

カルチャーフィットとは、ビジネスの場においては企業文化に対しての適応性を示しています。チームに加わる人が企業文化に対しての適応があると、企業理念が浸透しやすく企業の目指す方向を目指しやすくなります。迎え入れる側のメンバーとしても同じ価値観を持つ人がチームに参加することは安心感があります。なので採用をする際にカルチャーフィットがあるかどうかというのは重要な要素となります。カルチャーフィットがない人だと、企業風土に合わず早期に離職してしまうリスクも高くなります。

カルチャーフィットが求められる理由について、人事・採用担当者向けWebマガジン「採用アカデミー」に、下記のように記載されています。

仕事の進め方が周囲と異なりチームとして機能しない
環境に適応するまでに時間がかかり、その間にモチベーションが低下してしまう
思うように人材が定着せず結果として生産性が低下してしまう

このような理由から採用面接の際にカルチャーフィットをしっかりと確認することは理にかなっていますし、それ故多くの企業で重視されているのです。

カルチャーフィット重視の落とし穴

カルチャーフィットを重視して採用を進め、チームづくりすることは理論上は正しいアプローチだと思われます。しかし企業カルチャーにフィットした人だけでチームを構成していった場合、同質性が高まりチーム全員が同様の考え方をするようになり新しい視点でビジネスを考えることが難しくなります。

カルチャーフィットを重視し採用を進めることで、自分と似たところがあり、好意を寄せているチーム(人物)の『価値・能力』を実際よりも高いものとして過大評価してしまう「親和性バイアス」が働いてしまいます。この親和性バイアスによってビジネスにおける革新性が高まりにくくなり、危機が発生した際に乗り越える力もつきにくくなるのです。

また、同質性が高まることで組織の硬直化も起きます。企業のカルチャーはその時代、状況に応じて変加が求められますが、硬直化した組織ではカルチャーの変革が起こりにくくなります。

WiLパートナー小松原威氏は記事の中で、カルチャー変革のポイントは3つあると述べています。

1. 健全な危機感の醸成。
2. 顧客のために遂行すること。
3. 多様性。

同質性の高いチームではこうしたカルチャー変革の促進に必要な障壁が自然と生まれてしまいます。その点の認識を常に持った上でチームづくり、企業カルチャーづくりをしていくことが大切です。

チームに新たな視点をもたらす「カルチャーアド」という考え方

カルチャーフィット重視のチームづくりがもたらすリスクについては上述のとおりですが、では企業カルチャーをどのように考えていけば良いでしょうか。

これからは企業カルチャーにフィットした人だけを採用するのではなく、チーム・組織に新しい視点をもたらしてくれる人、すなわちカルチャーアドできる人材を採用していくべきなのです。

Perkins+Willというblogに最初に書かれた内容ですが、The Zweig Letterにカルチャーフィットとカルチャーアドの比較について分かりやすくまとまっています。

上記を簡単にまとめると
カルチャーアド」は、実行困難性は高いが、多様性に富み、理念を元に積極的に動き、革新をもたらす組織をつくる
それに対し、
「カルチャーフィット」は、実行困難性は高くないが、同質性・適合性が高く、曖昧で一貫性のない受け身になりやすく、結果、現状維持となる組織をつくる
となります。

不確定な時代に必要なアクション

先行きが見えづらいこの時代において、同質性の高い組織は変化に対応しきれずに荒波を乗り越えられない可能性がより高くなっていきます。この時代に必要なのは、変化に対応し革新をもたらす多様性に富む組織です。ベースにある企業カルチャーに新たな視点を加え、チームに多様性をもたらす人の採用、すなわちカルチャーアドをしっかりと考えてチームづくりをしていくことこそが荒波を乗り越え、社会に変革をもたらす強い組織を醸成していくのです。

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