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インカムシェアによるハイテク職業訓練とニューカラーワーカー育成

これから高年収を稼げる仕事の条件として、新たなテクノロジーに対応したハイテクスキルを習得することは、どの業界でも求められている。IBMでは、従来のホワイトカラー職、ブルーカラー職とは異なる棲み分けで、ハイテクツールを使いこなせる人材のことを「ニューカラーワーカー」と位置づけて、サイバーセキュリティの保守担当者として育成しようとしている。

そうした中、米国では「インカムシェアリング」という方式による、職業訓練ビジネスが成長してきている。自己資金でプログラミングを学びたいが、経済的に余裕が無い学生に対して、カリキュラムを修了して就職が決まった後に、給料の何パーセントかを訓練業者が受け取る契約体系を「インカムシェア・アグリーメント(ISA払い)」と呼び、多くの訓練業者が採用しはじめているのだ。

2012年にニューヨークで創業した「Thinkful」は、インカムシェアリングによるプログラミング指導を行うオンラインスクールで、5~6ヶ月間でプログラマーや Web開発のスキルを習得できるようにしている。

受講料金には複数の決済プランがあり、マンツーマンの指導でプログラミングが学べる「Engineering Immersion」のコース(5ヶ月間)では、最も安い「前払い決済」のプランが14,000ドル(約150万円)、月払いコースは3,080ドル×5ヶ月(合計15,400ドル)だが、ISA払いを選ぶと、受講期間中の料金は発生しないが、就職をした後に、給料の15%を3年間にわたり払う契約になっている。ただし、就職先の年収が40,000ドル未満の場合には支払いは免除される。

資金面で余裕がない学生でも、ISA払いを選択すれば、プログラミングのスキルを習得して、給与水準が高い企業へ就職した後、授業料を払えば良い。その金額は、年収が50,000ドルなら、3年間の支払い総額は22,500ドル、年収が60,000ドルなら、27,000ドルの支払いになる計算だが、それ以上の高年収者でも、ISA払いの上限は28,000ドル(約300万円)までとなっている。Thinkfulが開示しているデータによると、卒業生の93%が正社員の職に就いており、平均年収は65,000ドルである。

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ただし、このビジネスモデルで職業訓練業者が成功報酬(インカムシェア)を得るには、生徒の能力も重要になるため、優秀者のみを選抜して集中指導するカラクリになっている。

Thinkfulの場合には、入学時に基本的なITスキルを確認するオンライテストが行われる。それに合格すると準備コースとして、JavaScriptの基本とHTML/CSSの構造を4週間のパートタイムで学ぶ。その修了試験に合格した者が、5ヶ月間フルタイムの本コースに進むことができる。

Thinkfulの指導はすべてオンラインで行われるが、本コースのカリキュラムは1日7~8時間(週50~60時間)のスケジュールが組まれており、15人前後のチームで行うグループ授業に加えて、インストラクターと1対1による個別授業の時間もある。各生徒には、授業でわからなかったことを質問できるメンターが付くため、ビデオチャットを通して、自分が書いたコードのレビューを毎日してもらうことも可能だ。また、生徒同士の交流ができるコミュニティも用意されている。

成功報酬型のプログラミングスクールは、高い学力と、やる気がある者にとっては、短期でプログラミングのスキルを習得できるため、効果の高い職業訓練といえるが、入学できる受講生はかなり絞り込まれるため、すべての労働者に適した教育とは言えない。大量のハイテク人材を育成できるわけではないため、企業側のニューカラー養成ニーズをすべて満たせるわけではない。

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