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なぜ今、ビジネスにおいてコラボレーションが重要なのか

はじめまして!EDGEofのco-CEOをしています、小田嶋 Alex 太輔と申します!

記念すべきCOMEMO投稿第一弾を書くにあたって、どんなことを書こうかと考えてみました。普通に自己紹介で終わらせるのもアリかとも思ったのですが、それじゃ誰のためにもならないし、EDGEofの紹介をしても宣伝にしかならないし。私の事業に関する基本的な考え方を知って頂きつつ、読者の方に多少なりともお役に立てるような話は無いかなということで、今回は「なぜ今、ビジネスにおいてコラボレーションが重要なのか」という点に関して、思うところを書いてみます。

ビジネスにおけるコラボレーションというと、最近ではオープン・イノベーションという言葉が流行りですよね。もともとは、2003年に米バークレイ大学のHenry Chesbrough助教授によって提唱された概念で、「社内資源だけに頼らず、大学やスタートアップとの連携を活用することで、研究開発の効率を高める手法」を意味します。基本的に大企業を念頭に置いた考え方ですが、ここで重要なのは、連携を活用することで効率を高めるということ。つまり、何でもかんでも自分でやろうとする「自前主義」から脱することが、企業を進化させる上で重要であるという発想が根底にあります。

20世紀において、企業に新しい価値をもたらすイノベーションのための研究開発体制は、リソースの希少性に基づいて構成されていました。新しいアイディアの実現に必要な設備、新商品の製造に必要な資材、長年の研究により蓄積されたデータ、そうしたイノベーションを構成するリソースはすべて希少なものであり、それらリソースをいち早く所有して囲い込むことこそが、イノベーション競争において重要でした。結果的に、多くのイノベーションは大企業から生まれ、その企業に富が集まることでより希少なリソースを囲い込み、また新しいイノベーションがそこから生まれる。そのようなスパイラルがあったのですから(少なくともそう信じられていた)、企業があらゆるリソースを囲い込み、何でも自分で開発しようとする自前主義に走るのはごく当然の結果です。

ところが、様々な技術の飛躍的進歩、とりわけITの進歩により、イノベーションには希少なリソースの囲い込みが必要であるという前提が少しずつ崩れ始めます。その大きな要因は、ITのイノベーションには人材以外のリソースはいらないという点です。自動車も繊維も、それこそ医薬品なんかは特に、極めて高価な開発用機材や設備、貴重な原材料などの希少なリソースが研究開発においては重要です。しかし、基本的にはパソコン一つさえあれば足りてしまうITの世界においては、そのような物的リソースは一切必要ありません。優秀なエンジニアさえいれば、驚くような革新的技術が開発できてしまう。

それはまた、エンジニア個人が時間さえかければ、大企業のような資本力などなくともイノベーションを起こせるようになったことも意味しました。事実、インターネット黎明期には、どこの企業の後ろ盾も無い個人が開発したプログラムが大きなインパクトをもたらしています。さらには、そうした優秀なエンジニアがインターネットを通じてつながることで、それまでは大資本でなくては行えなかったような開発プロジェクトも出現するようになりました。開発に何億ドルもかかるコンピューターのOSを、有志が協力しあうことで開発してしまったLinuxなんかはその最たる例ですね。

そして、技術の進歩によるイノベーション構造の変革は、少しずつソフトウェア以外の分野にも及び始めます。あらゆるテクノロジーにコモディティ化の波が押し寄せ、垂直的な技術進歩の相対的な価値はどんどん低下していきます。言い換えると、莫大なお金をかけて死ぬほど頑張って作った製品が、1年そこらで普通のものになってしまうという、技術力を売りにしてきた日本のメーカーにとっては悪夢のような時代が訪れます。

イノベーションに必要なものが、希少なリソースから優秀な人材へとどんどんシフトし、さらにそうした人材が限られたリソースでアイディアを製品化できるようになると、希少なリソースの囲い込みというそれまでの開発競争のルールは通用しなくなります。そのような時代において企業に必要となるのは、いつどこに現れるか分からないイノベーティブな人材と柔軟にコラボレーションできる能力です。

何でも自分でやろうとする自前主義では、現代のイノベーションのスピードには決してついていけません。それよりも、自社の強みと弱みを冷静に見極め、自分達が求める技術をすでに持っているスタートアップや研究者と連携すること。その連携から学んで自社の強みを伸ばし、また新しい連携を模索していくこと。そのような、コラボレーションを前提とした開発体制こそが、これからの時代を生き抜く上で不可欠だと考えています。

私がEDGEofという会社で実現しようとしているのは、まさにそのような時代に求められる、コラボレーションのためのプラットフォームです。それも、単に大企業にスタートアップを紹介して終わりといったものではなく、様々な形で共創をお手伝いする仕組み。さらに、スタートアップと大企業という限られた軸ではなく、アーティストや研究者、学生、行政、投資家、あらゆるプレイヤーをつなげることでイノベーションを創発する仕組みを構築したいと思っています。

そのためには、そのプラットフォーム自体を、コラボレーションを通じて作り上げていくことが重要です。幸い、私達が拠点を置く渋谷には、Plug & PlayやAgorizeを始め、多くのプラットフォーマーが集まっており、東急のように外部プレイヤーとのコラボレーションに極めて積極的な大企業もいます。何より、渋谷区という自治体自体がイノベーションを重視する革新的な自治体です。そのような環境に恵まれたこの渋谷という街そのものを、巨大なオープン・イノベーションのプラットフォームとすることも、私が最近目指していることの一つです。

ということで、なぜ今コラボレーションが重要なのかに合わせて、私とEDGEofという会社の根っこにある考えがどういったものなのか、ご紹介できたのではないかと思います。

イノベーションの軸が希少性から離れてきているという話は実はもっとずっと複雑で、その先にはディープテックというまたややこしい概念が見えてきたりするのですが、さすがに長くなってきたのでその話はまた別の機会に。

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小田嶋 Alex 太輔(EDGEof co-CEO)

事業立ち上げの専門家として、数々のスタートアップや大企業の事業部立ち上げに従事。現在は、株式会社EDGEofのco-CEOとして、日本のイノベーションエコシステムの国際化に邁進、20カ国以上の政府と様々な取り組みを進めている。J-Startup推薦委員。

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