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(ほぼ)4年に一度、TEDxでトークをしてみて気づいたこと

9月23日(祝・月)に開催されたTEDxKobe2019で、ひとりめのスピーカーとしてbeの肩書きの話をさせていただきました。まだその余韻が抜けきらず、何だかふわふわしている。

連休中は台風が近づいていたこともあって、前日まで開催が危ぶまれ、当日も午前中のウェルカムセッションは中止。とはいえ、昼前あたりからは天気もだいぶ落ち着き、午後からのプログラムは通常通りに開催できる運びとなった。

開催? 中止? というソワソワ感は漂っていたけれど、その非常事態を何よりスタッフのみなさんも楽しんでいて心地よかった。


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本を書くときにかなり考え抜いたし、beの肩書きの話の組み立てはスムーズだったけれど、それでも当日までに3回の事前リハを経て、原稿の手直しは4回。完成した5校は、初稿の1/3くらいになった。

もっとも伝えたいことはどこなのか。それが伝わるにはどういう順番がいいのか。TEDxのスタッフによるドンズバなコーチングは貴重な経験だったし、もう100回以上も話しているのに、まだまだbeの肩書きに飽きるどころか、もっと工夫して伝えたいと思っている自分も、妙に誇らしく感じられた。

〈 beの肩書き@TEDxKobeのあらすじ〉
①イントロ「自己紹介って難しい」
②起「doの肩書きとbeの肩書き」
③承「勉強家を名乗ったきっかけ(&僕の肩書き史)」
④転「バスの運転手」
⑤結「beの肩書きを探求する3つの問い」


それでも、前夜祭で手話エンターテイメント発信団oioiのみなさんと出会い、"勉強家"の手話を教えてもらったので、プレゼンの最後に入れようとしたり("勉強"は本を開く感じ+"人"は「いいね」のように親指を立てる)。やっぱり本には書かなかった話を盛り込もうと、直前に同時通訳の方と調整したり。

TEDxKobe2019の今年のテーマ「EX」(実験から引き出そう)という雰囲気にも後押しされ、自分も少し背伸びをしてみることにした。


少しの失敗と人生初のスタンディングオベーション

リハーサルもリラックスできていたし、直前まで余裕もあったのだけど、いざ舞台袖に立つとちょっと緊張している自分に気付く。

普段の講演や場づくりの仕事は参加者と一緒につくるもので、「多少の失敗はあるもの」という前提でやってきたから、TEDxのように純度高くつくりこむ舞台はかなり久しぶりだったのだろう。こんなふうに緊張できる自分に気付けたのはものすごく新鮮だったし、もっと緊張できるところにいたいのかもしれない、と思ってしまった自分がいたのも興味深い発見だった。

そんな感じで、前日リハよりは小さくまとまってしまったかもしれないけれど、大きなミスもなくトークは終盤へ。そして、締めの「勉強家の兼松佳宏でした」のところで手話を試みたのだけど... "家"のタイミングを間違い、親指を立てたままお辞儀してしまうことに...

まあ、そんな苦笑いで終わった拙いトークでも何とか温かい拍手をいただいた、だけでなく、中には立ち上がってくださる方も! 「スタンディングオベーションなんて欧米の文化だ」と思い込んでいたし、「サクラかな?」みたいな意地悪な思いもよぎったけれど、実際そんなことはなくて。

まるで優しい光を浴びているように全身に鳥肌が立ちまくる。涙が出そうになる。人生初の感動は、今でもその感覚をありありと思い出せるくらい深く刻まれたのだった。

(そして他のスピーカーのときには、初めて自然と立ち上がって拍手できるようになった気がする。スタンディングオベーションはしてもらう方だけでなく、する方も感動するものなんだとやっと気づいた)


ほぼ4年に一度のTEDx

ちなみにTEDxでトークをさせていただくのは、2010年のTEDxTokyo yz(※TEDxTokyoのYouth版)、2015年のTEDxSophiaUniversity(※上智大学)につづいて3回目だった。オリンピックのように、ほぼ4年に一度のペースで貴重な機会をいただいてきたことになる。

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いま見ると、肩書きがすでに"クリエイティブディレクター/勉強家"だった2010年テーマは「R水素によるエネルギーコモンズ」。まだgreenz.jp編集長になる前、R水素ネットワークのメンバーとして、再生可能エネルギーや水素を広めることに注力していた時期だった(懐かしいなあ...)。

あれから約10年たち、TOYOTAのような大きな会社がR水素に取り組むなど、「R水素=遠い未来」から「R水素=近い未来」になりつつあるように思う。

重要な後日談としては、TEDxTokyo yzの中心メンバーが企画した3ヶ月後のxyz Actionという合宿で、のちに結婚することになるサンタのよめの真紀さんと出会うことに。それくらい30代の僕を決定づけるきっかけとなったのが、TEDxTokyo yzだった。


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京都精華大学に着任する1年前だった2015年の肩書きは、"勉強家 兼 お父さん"。わが母校・上智大学での開催で、僕が話したテーマは「Reunion with Past Myself(かつての自分と再会する)」だった。空海や文学など、人生の伏線を回収する、という話。

学生時代はフランス文学よりもウェブデザインに浮気してしまったこともあり、大学生活で語れるような思い出はあまり残っていない。四谷のキャンパスをじっくり訪れたのも実に13年ぶりだったけど、こうして母校に錦を飾れたのはとても嬉しかった。ずっと置きっぱなしにしていた忘れ物を取りにこれたような。

そして、やっと親に「大学に行かせてくれてありがとう」と心から言える気がしたのも、人生の大きな区切りのひとつとなった。

この日のプレゼンではすでに空海のことも話していて、その後"ソーシャルデザイン教育の体系化"という成果を生み出しつつあるけれど、このとき描いていた"人文系ソーシャルイノベーター"というビジョンついては、まだまだ宿題として残っている。

それは僕自身が、自分の言葉が見つかる機会をつくる人="ことば活動家"として、40代をかけてやっていくことなんだろうと思う。

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4年後の自分は、必ず予想の斜め上を行く

2010年(30歳)のときは、まさか京都に住むなんて考えたこともなかったし、2015年(35歳)のときは、「beの肩書き」という言葉とワークを生み出すことなんて想像できなかった。だから2019年(39歳)のいま、4年後にどこで何をしているのかはわからないし、必ず予想の斜め上を行くのだろう。

そのひとつの予感が、急遽トークに追加して同時通訳の方を困らせた、高野山でお坊さんになることかもしれないし、"冥利"をテーマにしたスナックを始めることかもしれないし、言葉遊びの塾をはじめることかもしれない。

勉強家を生きた30代の置き土産を残すために、いま神戸という場所に呼ばれた気がするのだけれど、果たして。きっと10年後の自分が、その答え合わせをしながら笑っているんだろうな。


ということで、TEDxKobeのみなさん、本当に貴重な機会をありがとうございました! ひとまずは御礼まで◎


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はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎

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勉強家の兼松佳宏

1979年秋田県生まれ。元greenz.jp編集長。 2016年にフリーランスの勉強家として独立し、京都精華大学人文学部特任講師に着任。"ワークショップができる哲学者"を目指して「スタディホール」などの手法を開発中。著書に『beの肩書き』、連載に「空海とソーシャルデザイン」など。

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