見出し画像

先のリスクを恐れず「宣言」できる人々

SNS歴はもう20年になりましたが、振り返ると、イタい話や反省も多くあります。SNSの強みは、まわりを巻き込んだ「盛り上がり」を作れること。だから、ついやり過ぎてしまうことがあるんですよね。そして、やり過ぎたかどうかは、後から振り返ってみて初めて分かるものなのです… 怖いですね。

SNSは、2003年に起業してしばらくしたあたりから使い始めました。スタートは、Myspace、GREE、そしてmixiなど。(GREEの当時の創業モデルは、「ビジネスに強いSNS」ということでした)

そしてその後にFacebookが上陸し、日本のビジネス界隈でもちょっとしたブームになりました。周りの起業家やビジネスパーソンも、みんなこぞってアカウントを立ち上げていったことをよく覚えています。


私は、SNS黎明期からかなりの恩恵を受けてこられたと感じています。知り合いは増えるし、自分のやっていることも幅広く周知できる。スタートアップ経営という観点では、まさにこの上なくありがたい存在でした。

しかし一方、その威力ゆえに、自分自身のSNS上での行動が少し過熱してしまったことが何度かありました。(今となっては深く反省です)


たとえば新しいプロジェクトを始めるときなどに、「やります! みんな、一緒にやろう!」と投稿で宣言します。すると、自然に協力者や応援が増えます。とてもありがたいこと。しかし、それがそのまま順調に発展すればいいんですが、スタートアップの新規事業なんて「最初だけ」というものも多いのが実際のところ。

私もご多分に漏れず、立ち上げた後にしばらくしてフェードアウトさせてしまったプロジェクトもたくさんありました。そうなると、まわりからは「あれ、あの熱く語ってた件、その後どうなったの?」となってしまうんですよね。

皆さん優しいので、そういうことを直接に指摘してきたりしません。が、それを繰り返すと、当然ながら少しづつ自分自身の信用に響いてくるんですよね。SNSオオカミ少年、でしょうか。


そんな学習と経験を重ね、イタい思いと反省も繰り返してきた結果、今では自分が手がけるプロジェクトを大々的に喧伝するようなことは控えるようになりました。

たとえば、今でも複数のコミュニティを主宰したり新しいプロジェクトを立ち上げたりしていますが、基本的には「進捗をありのままに報告する」というスタイルを守り、大げさにならないように意識的に抑えています(基本は調子乗りだと自覚しているので)。


しかし、しかし。ここからが本題なのですが、

「だからこのような抑制的なスタイルが良いのだ」と主張したい訳ではないのです。逆に、こういう「バランス重視」の姿勢は、リスクを忌避する意識が強すぎるがゆえに、日和見主義に陥ってしまうというマイナス面があるのです。

失敗やフェードアウトしてしまうというリスクを恐れず、思い切って大々的にキャンペーンを打てば、もっと成長が早まるかもしれないし、その結果として大きく世の中が変わるかもしれません。

しかし自分は、長いSNS経験の中で、いつの間にかそういう道を避けるようになってしまいました。客観的に見れば、もしかして無難に生きてしまっているのかもしれませんね。


今でも、LinkedInをはじめ、いくつかのSNSを並行して使っています。それぞれのSNSで、新たなプロジェクトが生まれては、周りを巻き込んだ一大ムーブメントなどが起きているのをいつも見ています。

一部のものについては(行き過ぎていて)危ういなと感じる一方で、しかしながら、やはり世の中を変えるのはこういう動きなのだなとも思うわけです。

大々的に宣言して後でうまくいかなかったらどうしよう.. という恐れる気持ちは、量の多寡はあるものの誰もが持っていることでしょう。しかし、そういう恐れを跳ね返し、勢いと未来の可能性に全賭けする姿勢。これぞ、真のアントレプレナーシップといえるのだと思います。


勢いの度が過ぎて、コミュニティの中の圧倒的マジョリティとして独善的な存在になったりしない限りは、そういう個々の勢いはとても大事だと思います。世の中を変えるための大切な因子として。

ある界隈でメジャーになると、そのぶん批判やバックラッシュはだんだん増えてくるでしょう。それらを意見として取り入れるのもいいでしょうし、「妬みはスルー」という姿勢を貫くのもいいと思います。SNS上での行動や発信なんて、基本的には個人の自由なのですから。


人に何と言われようが、一度言ったことは、何が何でもずっと永遠にやり抜く。先の見通しを恐れたりせず、自分自身の美学を貫く。

そう決意した人々のことを、できるだけ応援したいと思っています。実際にやれる人は、本当にすごいと思うから。世の中を、少しでも良い方向に変える存在として。


いいなと思ったら応援しよう!