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従業員インフルエンサーによる企業のブランド構築

 社内のエンゲージメントが良好な企業では、従業員が自分のブログやSNSアカウントを通して商品やサービスを紹介する機会が増えるため、一般の消費者に対しても、良い口コミが立ちやすい。「Social Media Today」の記事によれば、消費者の52%は、企業のSNS公式アカウントでCEOが発信する情報よりも、一般の社員が個人的に発信する情報を信頼している。

そこで、企業のSNSマーケティングとしては、従業員をインフルエンサーとして起用することも注目されている。米百貨店の「Macy's(メイシーズ)」では、300人以上のスタッフを、従業員インフルエンサーとして認定して、個人のSNSアカウントでオススメの商品を紹介してもらう、「Macy's Style Crew」というプログラムを実施している。

このプログラムには、メイシーズの店舗で働くすべてのスタッフが応募することが可能で、自身が獲得しているフォロアーの数は問われない。メイシーズでは、従業員インフルエンサーに対して、自主的な投稿を促すだけでなく、ビデオ制作者をネットワーク化している「Tongal」との提携により、従業員がモデル役となった商品紹介動画の制作サポートも行っている。

メイシーズが、自社の従業員をインフルエンサーとして起用する理由は、外部のインフルエンサーと契約するよりも、マーケティング費用を安く抑えられることに加えて、消費者とのエンゲージメント効果が高いことが挙げられている。

一方、百貨店の仕事とは別に、プライベートでSNS上の活動も行っている社員にとっては、会社からインフルエンサーとしての認定を受けることで、店舗で取り扱う商品を、個人のSNSコンテンツとして扱いやすくなり、自身のフォロアー数を増やしていけるメリットもある。

このように、企業のブランド構築や販促マーケティングの目的で、従業員のSNS活動を支援する戦略は、「Employee Advocacy(従業員アドボカシー)」と呼ばれている。具体的には、会社の広報に役立つ内容であれば、勤務時間中のSNS投稿を容認したり、投稿に役立つ広告素材や商品サンプルを提供すること、新製品の紹介を促す従業員向けキャンペーンを実施して、SNSへの投稿頻度やシェアされた回数によって特典や報酬を支払うことなどがある。

従業員が個々のSNSアカウントを通して、会社の広報に貢献することに対して、正当な評価をすることは、会社と従業員とのエンゲージメントを高めることに繋がり、社内のインフルエンサー人材を育てることにも役立つ。

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