ブロックチェーン業界「冬の時代」、海外情報の読み方〜コンセンシスが5〜6割人員削減か
ブロックチェーン業界の動向に関しては、仮想通貨相場(経済)、規制動向(法律)、ビジネス事例など、多くの動きがあり、個別に前向きなニュースもあれば、雲行き怪しいと感じる動向も多くあると最近特に感じます。国内のみならず海外のニュースにも同時に注目しておくことも大事になってくるのかもしれません。
コインチェックが金融庁から登録業者に認められる、という前向きな報道が先日あったと思えば、今朝一番のコンセンシス(Consensys)社の大量人員整理を示唆するニュースは驚きを隠せませんでした。
コンセンシス(ConsenSys)社はイーサリアムの共同創始者であるJoe Lubin(ジョー・ルービン)氏が私財を投じて2014年10月に設立された会社で、分散型社会のビジョンを実現するために採算度外視で技術基盤の構築やスタートアップ支援、エコシステム構築に尽力してきた会社です。
つい先日(12/6)にも全社員13%のリストラを発表し、持続可能で採算性重視の「ConsenSys 2.0」への方向転換をする、という報道があった直後にも関わらず、今度は「スポーク」と呼ばれる支援スタートアップのほとんどをスピンアウトさせる、とのことです。状況に詳しい関係者の話として、約1,200人いる社員の5割から6割が会社を後にするだろう、と示唆しています(イーサリアム開発者のためのコアとなるツール( Infura、Metamask、PegaSys、Alethio、Kaleido、Truffle)はそのまま整理の対象外と推測されています。
イーサリアムの仮想通貨ETHが2017年には13,000%の上昇を果たし、一時期1,417ドルの価格をつけ、現在はそこから93%を下げ、$102に下落してしまったことで、こうした経営を支える財務基盤に大きな影響が出ることは仕方がないのかもしれません(ルービン氏の個人資産はピーク時の推定保有資産額として、一時10億〜50億ドルと言われていました)。今回こうした人員整理を断行することでConsenSysとしては外部資金調達の路を探り、引き続きエコシステム作りに取り組むとのことです。
ConsenSysの支援企業、「スポーク」には、以前から注目していたジャーナリズム支援プロジェクトのCIVIL(シビル)、そして海外の注目事例としても折に触れて国内でも紹介されているuPort(IDサービス)、SingularDTV(音楽・映像配信サービス)なども含まれます。出版されてから時間が経ってしまっている「ブロックチェーン入門」のような書籍には、出版当時には注目事例として紹介されていても、実際にはプロジェクトが立ち行かなくなってしまっているケースも今後出てくるのかもしれません。
「ブロックチェーンを活用することで難民支援、金融サービスからサプライチェーンまで、全て解決」、という短絡的な「可能性」を語る情報や言説にはやはり慎重さを持って冷静に接しなければいけないのでは、と自戒を込めて感じます。
もちろん、先日もルービン氏がツイッターの連投で、またこちらのブログでも紹介されているように、仮想通貨価格に関わらず開発者コミュニティ、ムーブメントの進歩・進化は確実に進んでいることも確かと思われます。技術者コミュニティの動向も踏まえながら総合的にものごとを見る必要性が今までのどの分野よりも高いのでは、と感じるところです。
グローバルに展開しているクリプト業界の動向を理解するべく、国内メディアではあまり報道されてないニュースを少しずつでもご紹介していければ、と思ってます。
【参照:クリプト関連キュレーションニュースサイト】
速報性があり、シンプルに注目のニュースが丁寧にキュレーションされているニュースサイトの例としては、最近は以下の3つを頼りにしています。
■ザ・ブロック (https://www.theblockcrypto.com/)
■メサーリ (https://messari.io/)
■コインテレグラフ日本版(https://jp.cointelegraph.com/)
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