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教育のデジタル化で躍進する中国とインドのスタートアップ

新型コロナウィルスの影響で全国、全世界の学校で休校措置を余儀なくされたことで、学習格差やデジタル化の重要性やインフラ整備の動向について見聞きすることも増えているのではないでしょうか。今朝の日経新聞の記事では「日本の学校のデジタル対応は世界から20年近く遅れている」と衝撃的な表現が使われていて正直驚きました。社会人になってからの生涯学習も大事ですが、次世代を担う小中高生の学びの環境となると、国や社会としても危機感を持って真剣に考えなければいけない大きなテーマであることを感じます。

上智大の相沢真一准教授(教育社会学)によると「日本の学校のデジタル対応は世界から20年近く遅れている」。2000年代前半は日本の学校のコンピューター整備状況は各国と大差がなかった。しかし09年には授業中のデジタル機器の利用状況が経済協力開発機構(OECD)加盟国で最低水準となり、18年も同様だった。「日本の学校は情報機器を遊び道具とみて遠ざけたが、世界は鉛筆やノートと同じ文房具にした

公的な教育現場でのデジタル化導入となるとパソコンやタブレット端末の導入などの環境整備や教員への教育など、状況を改善させるには時間がかかるかもしれませんが国内でも知名度がある「スタディサプリ」のような補完的な教育コンテンツやサービスを提供する企業にとっては大きなチャンスとなるかもしれません。

ちょうど6月末にはインドの教育系スタートアップ「Byju's(バイジューズ)」が最新の資金調達を実施し、企業価値が100億ドルを超える「デカコーン」と呼ばれる規模にまで成長したことが話題になってました。直近の投資は「インターネット・トレンド・レポート」を長年公表してきた抜群の目利き力を持つことで有名なメアリー・ミーカー氏が昨年設立したボンド・キャピタルによるもの、という点もとても注目です。

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Byju'sは2011年に数学の家庭教師だったByju Raveendran氏によって設立されたオンライン学習プラットフォームで、アニメーションなどを活用した分かりやすい指導ビデオ、ライブ授業、そして練習問題などを提供しているサービスです。現在無料の利用者数は5,700万人、年間購読料150ドルを支払う有料ユーザー数は350万人もいるとのことです。

ベンチャーキャピタルの投資状況で全てが分かるわけではないですが、7月上旬時点で世界中には教育系のスタートアップで企業価値10億ドル(約1,070億円)を超える未公開企業である「ユニコーン」と呼ばれる企業が19社もあるそうです。そしてその多くが中国、米国の企業です。中国、インドなどのアジア諸国の家庭では子供の教育を補うための追加的な支援にお金を払う意欲が非常に高くなっているとのことで、テスト対策、家庭教師、宿題の支援などのサービスへの注目が高まっているようです。

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グローバルのエドテック系ユニコーンのリスト(Holon IQ)

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上記のユニコーンリストの3番にランク入りしているのが『作業幇教育科技(Zuoyebang:ゾウイエバン)』ですが、百度(Baidu)が2015年に設立し後に独立した「宿題」を意味するサービスも、6月末に7億5千万ドル(約800億円)を調達し、急速に成長していることが分かります。

中国の教育ユニコーン(企業価値10億ドル=約1100億円=以上の未上場企業)、作業幇教育科技(北京)は29日、投資ファンドなどから7億5千万ドル(約800億円)の融資を受けたと発表した。新型コロナウイルスでオンライン教育の需要は増えており、資金調達で技術開発を進め、規模拡大を狙う。「作業」は中国語で宿題の意味で、主力サービスはスマートフォンで生徒の宿題を支援するアプリだ。生徒が分からない問題のページを撮影してアプリで送信すると、ビッグデータから人工知能(AI)で類似の問題を探し、解説付きの模範解答を返信する。生放送による授業も提供しており、生徒はチャット形式で講師に質問できる。同サービスを頻繁に利用するアクティブユーザー数(月間)は現在約1億7千万人。19年10月時点と比べると、約5千万人増えた。調査会社のIT桔子によると、企業価値は約72億ドルに上る。

日本のオンライン教育が20年遅れているという記事を目にすることで残念な気持ちにはなりますが、一方でアジア地域では「教育xテクノロジー(edtech)」分野の大きな成長の波があることに気付かされます。

調査会社のiResearchによると、中国のオンライン教育市場は2年後には810億ドル(約8兆7000億円)規模になる可能性があるとも指摘されています

Byju's(バイジューズ)」や『作業幇教育科技(Zuoyebang:ゾウイエバン)』はその存在や読み方すら知らない人も(自分含め)多いとは思いますが、テクノロジーを活用した教育の未来を考える際、注目してもよいトレンドかもしれません。

*2020/7/8 Byju's の読み方を最初「ビージューズ」と記載してましたがK.KさんからLinkedinで指摘いただき、他の記事やYouTubeなどでも確認して「バイジューズ」に修正しました。ありがとうございました。

Photo by sunrise University on Unsplash

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