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世界23万都市で展開中の「ご近所SNS」ユニコーンの「ネクストドア(Nextdoor)」、地域コミュニティ・ビジネスへの注目

地域コミュニティの重要性が高まる中、米国では9割の地域をカバーしている「地域情報共有サービス」の「ネクストドア(Nextdoor)」 が新規調達に成功、というニュースはとても興味を引くものでした。今回の調達額は1.23億ドルで、企業価値は21億ドルに。2015年からの4年間で企業価値が倍増しています。

Nextdoor Secures $123 Million to Continue Rapid Growth and International Expansion(NextDoor社のリリースページ)

カバーしている地域(都市)の数は世界10カ国で23.6万都市に登る、とのことです。米国の都市の9割は既にカバーされていて、米国以外でもオランダ、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、そしてイタリアで展開されています。日本版も予告ページのみ立ち上がっていてカントリーマネージャーの求人も募集中です。

「ご近所SNS」というと、国内でも今年の2月に月間利用者数100万人を達成し、16もの地方自治体との提携に成功しているマチマチ」や首都圏を中心に急成長中の「PIAZZA」というサービスを聞いたことがあるかもしれません。

要するに地域の子育て情報、サークルなどの地域コミュニティ情報や防犯・安全情報を共有したり、地域ならではのスモールビジネス情報のマッチングが可能になるサービスです。

[ネクストドアの紹介動画]

「地域コミュニティ」に注目が集まる背景、コミュニティへの注目というのは、人のつながり、ローカルビジネス、シェアリングエコノミーなど、数多くのトレンドからも伺えます。今回のネクストドアの新規調達で興味を持ったのは、昨年末に新しくCEOに就任したばかりのSarah Friar氏の前職での経験です。昨年末までは7年弱もの間、決済サービス「Square(スクエア)」のCFOとして活躍し、IPOも成功さた実績を持っている人物です。ローカルビジネスの決済サービス市場を知り尽くした経験は今後ハイパーローカルな地域での広告事業、決済事業などの展開につながっていくこと思います。FTの記事によると地域内での広告収益は昨年倍増し、2019年も更に倍増が見込まれているとのことです。

今回の資金調達に参加したある投資家はFriar氏はシリコンバレーにおける今までにない最高のCEOだ、と絶賛するほどです。以下のインタビュー動画をみてもその聡明さは伝わってきます。

地域におけるコミュニティ活性化、まちづくり、ミートアップなど、かつては新聞や地方紙などのクラシファイド広告が大きな役割を果たしていました。今日グーグルやフェイスブックのターゲット広告が取って代わり、更に地域のつながりを重視し「グループ」機能を強化しようとしているフェイスブックの動きなど、いろいろなプレイヤーがしのぎを削っています。そんな際、地域に特化した人のつながりの切実なニーズを出発点として防犯、防災、売り買い、出会いなどに注目して成長を続けているNextDoorの今後の展開はとても可能性があるような気がします。
[photo credit : David McBee at Pexel  ]

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