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ミドルマネジメント層を悩ませる「人の問題」を解決するかもしれない仕組み。

皆さん、こんにちは。

今日は以下の記事をピックアップさせていただき、「管理職層が考える組織課題」について書かせていただきます。

人事コンサルティングのリクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川)の調査によると、管理職層が考える組織課題の1位は中間管理職層の過重な負担となり、選択率は7割にのぼった。ビジネス環境が激変するなか、中間管理職の負担が各社で増大している。同社は意思決定の難易度が上がるなど複合的な内外環境の変化が背景にあると分析した。
事業本部長、部長、課長級の管理職層を対象に、会社の組織課題について聞いたところ、14項目のうち1位となったのが「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」で69%だった。次いで「中堅社員が小粒化している」(68%)、「次世代の経営を担う人材が育っていない」(67%)と続いた。
一方、社長や役員級を含め人事担当者に今後取り組む課題について複数回答で聞いたところ、首位は「新人や若手社員の育成、戦力化」で48%を占めた。次いで「人材の定着率向上」(39%)、「次期経営幹部育成」(35%)と続き、「管理職の負担軽減」は21%にとどまった。人事担当者と管理職の間に認識のギャップがあることがわかった。

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それぞれの組織課題について、細かく見ていきます。

①「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」問題


管理職は「ミドルマネジメント層の負担が過重になっていること」を組織課題として挙げ、「メンバーの育成」や「業務改善」、「目標達成のための業務推進」に悩んでいます。
一方で、社長や役員、人事担当者が取り組むべき課題は「新人や若手社員の育成、戦力化」や「人材の定着率向上」、「次期経営幹部育成」としていて、「管理職の負担軽減」はそこまで重要課題ではないという結果に。

たしかに、いろいろな企業の方とお話をする機会がある中で、それぞれの会社の組織課題を挙げる際、「中間管理職の負担軽減」と答える企業には出会ったことがありません。

記事には、
・意思決定の難易度が上がっている。
・リーダー経験を多く積まないまま管理職に昇進している。
・部下の働き方などの価値観が多様化し組織マネジメント機能を管理職層のみが担うことが難しくなっている。

ことも背景にあると指摘していますが、この調査で言う「中間管理職」が感じている“負担”が何を指しているかは人によって異なると思います。
物理的な業務量の負担、意思決定に伴う責任の負担、業務遂行の難易度からくる精神的な負担など。

「管理職なんだから負担が増えるなんて当たり前でしょ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自分がプレイヤーとしてならパフォーマンスを上げられたのに、管理職になった途端、急にパフォーマンスの上げ方が分からなくなってしまう人や、プレッシャーや責任の重さに耐えられなくなってしまい、業務量云々の前につぶれてしまう人など、様々な「負担」がいろいろな形で表れてしまうことは、ごく自然なことです。

一つ明確なのは、メンバーの育成や業務改善などは、直属のリーダーだけが担うものではなく、チーム単位で、または部署単位で、さらには会社単位で取り組むべき課題だということです。

人事の役割としても、管理職の仕事(主に育成)を現場に丸投げせずに、仕組みとして構築し、どのチームや組織にも展開できるものを作れば、それだけ属人的にならない勝ちパターンが増えていきます。

② 「次世代の経営を担う人材が育っていない」問題


この問題は、多くの企業が頭を抱えているであろう問題だと思います。

・日常業務と経営の仕事がかけ離れすぎていて、経営経験を積める人が限られている。
・優秀な社員がいても抜擢環境が整っていない。(抜擢の機会や適切なミッションがない)
・次世代の経営を担う人材の育成には時間がかかる。(途中であきらめてしまいがち)

など、課題を挙げるときりがありません。

サイバーエージェントでは、「CA8」「CA18」という、過去何度も様々なメディアに取り上げていただいた、幹部育成の仕組みがありますが(※どちらも現在は廃止)、現在は「CA24」「YM18」というものを中心に、その時々の経営課題に合わせた幹部育成プログラムを設計・運用しています。

※「CA8」:建設的な取締役会運営のため、取締役の人数を8名と定め、2年度毎に原則2名の取締役を入れ替える制度。
※「CA18」:「CA8」の8名に取締役に加え、執行役員10名を加えたもので、執行役員は1年毎に3名が入れ替わる。
※「CA24」:次世代のマネジメント層を発掘・育成するための取り組みで、毎年選抜される24人が経営への提言や課題解決の実行に取り組む。
※「YM18」:YMCAという20代の若手を引き上げるプロジェクトから生まれた次世代幹部育成プログラム。入社3年目までの社員から18名が選出される。

こういった取り組みは「次世代経営者の育成」を目的として実行されてきましたが、経営課題解決のためのソリューション提案を自ら行ったり、経営情報をリアルタイムに把握し、どのような意思決定が行われているか、どのような軸で経営判断がなされているかを知り、吸収していくことこそが、実践に活きる“経営経験”につながるのだと思います。

③ 「難しい仕事に挑戦する人が減っている」問題

足元の成果を上げることに一生懸命になるあまり、難易度が高い仕事やリスクを伴う仕事にチャレンジすることに前向きでない、または機会を創出できていない社員が多いのではないでしょうか。もしくは今目の前の仕事をきっちりやっていればそれで充分と考えている社員が多いというのが実態ではないかと思います。

・定期的にチャレンジする機会があるか。
・チャレンジすることに対して社員がワクワクしているかどうか。
・仮にチャレンジした結果失敗したとしても、それを良しとする雰囲気があるか。

こういったポイントを考えていくことは、社内のチャレンジの機会を増やすことに有効ではないかと思います。
サイバーエージェントの行動指針「Mission Statement」の中に「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。」という言葉があります。毎年多数の子会社や新規事業が立ち上がり、手を挙げた者に任せていく当社のカルチャーを象徴する言葉の一つです。

当社の「失敗事例」を検索すると、おそらく必ずヒットしてくるのが、何を隠そうこの私ですが(失敗を自慢しているわけではありません。反省はしています。)、子会社2社を立ち上げ、合計10億円の損失をたたき出した上に、まだ同じ会社にいながら別のチャレンジをし続けているというのは、一般的には非常にレアケースなはずです。

「チャレンジした結果のセカンドチャンス」という雰囲気を作っていくのは、一朝一夕でできることではありませんが、こういう風土を作らずしてチャレンジの回数だけを増やしていくことの方が困難です。

また、実際に私が所属する部署でも行っていますが、仕事がルーティンになりがちな部署ほど、「チャレンジ」の割合と「ルーティン」の割合を個別に定点的に追っていくと、自然と各々がチャレンジの割合を意識するようになってくるのではないかと思います。
トップダウンで「チャレンジしろ」とだけ言っても社員のモチベーションを上げることは難しく、毎月、毎四半期、どのくらいその期間でチャレンジを生み出せたかを自問自答する機会を増やすことも一つの工夫です。


以上、ミドルマネジメント層が抱える組織課題をいくつかピックアップしてその解決のためのヒントについて、ポイントを絞って書かせていただきました。

この内容を書いていた矢先、「#管理職は必要ですか」のテーマ企画がCOMEMOさんから発表されました。

YESかNOで言うと、個人的には「YES」ですが、従来型の「トップダウン型」「ウォーターフォール型」からオープンな情報共有を前提とした「コラボレーション型」「アジャイル型」にシフトしていく前提で、その場合においても、管理職というよりは意思決定に責任を持つリーダーの存在は必要です。
時間がとれれば(締め切りに間に合えば)このテーマでも書こうと思います。


#COMEMO #NIKKEI

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