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「24時間選挙のことを考え、実行できる女性少ない」発言の3つの残念ポイントを未来に向けて赤ペンしてみる

お疲れさまです。uni'que若宮です。

今日は女性の政治参画について書きたいと思います。


「24時間選挙のことを考え、実行できる女性少ない」

先日、こんな記事が出ていました。

(選挙における女性候補の擁立について)選挙は非常に厳しい戦いだ。女性の優先枠を設けることは、国政でも地方議会でも我が党としては全く考えていない。衆院選でも、選挙区でたった1人が当選するという厳しい選挙の中では、私自身も1年365日24時間、寝ているときとお風呂に入っているとき以外、常に選挙を考えて政治活動をしている。それを受け入れて実行できる女性はかなり少ないと思う。

 女性が政界に進出するのはウェルカムだが、今の選挙制度が続く限り、女性枠を設けてもなかなか女性が一定数、国会や地方議会に定着することは難しいと思う。選挙制度、定数削減とともに考えていく。

主旨としては「政党として国政や地方議会において女性の優先枠を設けることに否定的である」ということで、その理由として「選挙は厳しい戦いなので女性には難しい、だから女性優先枠を設けてもあまりなく、選挙制度そのものを変える必要がある」と。

このニュースを読んで残念だなと思ったポイントが3つくらいあるのでその点を以下に書きます。

ただし、これは馬場さんの発言の是非を言ったり、個人への批判を意図したものではありません。馬場さんの発言の裏にあるバイアスやそれを生んでいる社会構造こそが問題だと思っていて、そのケーススタディとして読んでいただけると幸いです。


残念ポイント①:「常に選挙を考えて政治活動をしている」

まず、一点目の残念ポイントは、

衆院選でも、選挙区でたった1人が当選するという厳しい選挙の中では、私自身も1年365日24時間、寝ているときとお風呂に入っているとき以外、常に選挙を考えて政治活動をしている。

という部分です。

政治活動で一番大事なのは「選挙」なのでしょうか?政治活動は、国民の生活や社会のことを考えてするべきものであり、選挙のことだけを考えて活動するものではないでしょう。たった一言の発言に細かく突っ込んでいるように思われるかもしれませんが、こうした発言が出るのは馬場さんに限らず議員にとって選挙がトッププライオリティになってしまっていることの現れだと思います。

もちろん、選挙は大事です。当選しなければ政治活動もできません。しかしそれは政治活動を行った結果として選ばれるという意味で副次的ですし、「手段」ではないでしょうか。

このような本末転倒は、政治の世界に限らず、勉強や企業にもある構図です。

例えば、学びという本来の目的を忘れてつい「入試のための勉強」になってしまったり、企業においても、売上や利益が至上命題いなり、社会に価値を届けるという本来の目的が見失われていることは結構あるあるだと思います。

「企業にとって利益は酸素である。酸素は生きるために不可欠だが、人間は酸素を吸うために生きるわけではない」

という言葉がありますが、政治活動も選挙のためのものではありません。

なので「寝ているときとお風呂に入っているとき以外、常に選挙を考えて政治活動をしている」は、「常に選挙のこと以上に国民の生活と社会の課題を考え政治活動をしている」だったらいいですよね。

そして、政治では国民の生活や社会のあり方について考えることが重要なのですが、そのためにも生活や社会との近さが必要で、だからこそ(家庭や生活から遠い議員ばかりではなく)女性参画やダイバーシティが必要だと思うのです。


残念ポイント②:「受け入れて実行できる女性はかなり少ない」

そして続いて馬場さんは

それを受け入れて実行できる女性はかなり少ないと思う。

と言っているのですが、ここにも残念ポイントがあると思います。

まず、これを「女性」のキャパシティや実行力の問題のように語っているのは明確な誤謬だと思います。

これは裏返しで考えてみるとすごくよくわかります。「なぜ男性はこれを受け入れ、実行できるのか?」ということですね。

言うまでもなく、男性は女性と比べて、家事や育児の負担が少ないため、政治活動に専念できる時間が(現状)多く、有利だからです。

政治活動をするためには、単に個人のタフネスや精神力が必要なだけでなく、パートナーシップや家族、地域のサポートが必要です。男性は(育児や家事を家庭に押し付けることで)それをほとんど無条件に享受しています。そうしてチーム的な助力を得てできているのに、「男性ならできる」と個人の問題にすり替わってしまっているのですよね。

女性が現状、政治活動をするのが難しいのは、キャパや実行力の問題ではなく、社会構造の問題です。女性が家事や育児をすることが当然視されている現状が変わり、いま男性が受けているような家事や育児のサポートが夫や家庭、地域で受けられるようになれば、「それを受け入れて実行できる女性」はかなり多くなるでしょう。

なので「それを受け入れて実行できる女性はかなり少ないと思う」は、「女性がそれを受け入れて実行できない環境があると思う」だったらいいですよね。


現状肯定か課題か?それが問題だ

ところで、こうした取材の記事は本人がどういうトーンで話したのかがわからないですし、部分的な切り取りもあるので「馬場さんは古い!」と決めつけるのもやや問題があるかもしれません。

「選挙は厳しい戦いで女性には難しい」というのが現状としてはたしかにあります。問題は、馬場さんがこれを「課題」だと捉えて発言しているかだと思います。

たとえば、

(選挙における女性候補の擁立について)選挙は非常に厳しい戦いだ。女性の優先枠を設けることは、国政でも地方議会でも我が党としては全く考えていない。衆院選でも、選挙区でたった1人が当選するという厳しい選挙の中では、私自身も1年365日24時間、寝ているときとお風呂に入っているとき以外、常に選挙を考えて政治活動をしている。それを受け入れて実行できる女性はかなり少ないと思う。

のあとに

こういう現状があることが何よりの問題だ

という一文がもしあったらどうでしょう?その後に

 女性が政界に進出するのはウェルカムだが、今の選挙制度が続く限り、女性枠を設けてもなかなか女性が一定数、国会や地方議会に定着することは難しいと思う。選挙制度、定数削減とともに考えていく。

とつながっていたら、「そうだよね」となる感じがします。「選挙は厳しい戦いで女性には難しい」のがそもそも間違っているんだ、と。選挙のことだけ考えなくてよくなればちゃんと本質的に政治活動できるし、女性も活躍できる。だから「女性枠」だけの話ではなく、選挙制度そのものを考え直す必要があるのだ、と。


朝日の記事ではつい馬場さんが「女性には厳しい」という現状を肯定をしているように思えてしまいますし、もしご本人がそう思っているのなら、先に述べたようにしっかり認識を改めてほしいと思います。しかしもし、馬場さんは現状肯定ではなく課題として挙げているかもしれません。

いずれにせよ、選挙や政治活動において、女性にはやりづらさがあるのが問題であり、現状を変えていかなければならないというのは間違いありません。そして馬場さんのいうように「選挙制度を変える必要がある」としても(むしろだからこそ)、僕は「女性枠」の必要性をちゃんと考えてほしいなと思います。


残念ポイント③:「女性の優先枠」

最後の残念ポイントは「女性の優先枠」という発言です。こうした言い方にはジェンダーバランスの話になるとよく男性から出される「女性を優遇せよというのか」「下駄を履かせる」というニュアンスが感じられます。

そもそも、すでに述べたように男性と女性を比べれば、これまで圧倒的に「優先」「優遇」されてきたのは男性の方であり、その多くの部分を女性からのサポートに依っています。「受け入れて実行できる女性がかなり少なく、受け入れて実行できる男性はかなり多い」のだとしたら、不公平があったからです。そうした偏りを少しでも直そうという時に「優先」という言い方をして、ジェンダーバランスを考慮する必要がない、というのは残念です。

そして馬場さんがもし、「選挙制度、定数削減とともに考えていく」必要があると思ってらっしゃるのなら、だからこそ女性の参画を増やすべきではないでしょうか。


なぜなら、課題を感じている当事者が参加しなければ、変革を進めるモチベーションが十分に生まれないからです。

これは政治に限らず、どの分野でも起こりうる問題ですが、困っている当事者が不在で議論すると、マジョリティだけでは課題が見えなかったり、課題が見えても、それを変える必要がないと判断されたりしまいがちです。(選択的夫婦別姓や緊急避妊薬の問題もまさにそうですよね)

こうした課題を解決し、変革をしていくためにこそ、困っている側の当事者の参画を増やすべきではないでしょうか。


そう考えると、「選挙制度の問題だから女性枠はいらない」のではなく、「選挙制度の問題なので、将来的にそれを変えるためにまず自党から女性枠を設けていきます!」という考え方が必要なのではと思うのです。ジェンダーバランスをまずわが党から始めていきます!と。


馬場さんの発言は、残念ながら一定「現状」という意味ではその通りです。しかしだからこそ現状を肯定して再生産するのではなく、それを変えるためにぜひ党から出来るアクションを取って行ってほしいと思います。


24時間、常に選挙を考えないといけない政治活動を受け入れて実行できる女性がかなり少ないから、女性枠なんて必要ない

を未来に向けて赤ペンするなら、

24時間、常に選挙を考えないといけないような政治活動のあり方は見直すべきだし、それを受け入れて実行できる女性がかなり少ない環境も改善していきたいから、まず自党からジェンダーバランスに取り組み、女性枠なんて必要ないと言えるよう最終的には選挙制度も見直していく

だったらすばらしいですよね。


今回の記事も、若干炎上気味になっていますが、「炎上」や「失言」として馬場さんを批判して終わりにするのではなく、そうしたバイアスを生んでいる社会構造を変えていこう、そのために何からはじめようか、という前向きな議論につなげていけるといいなと思います。



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