これから欧州のことを書こうと思う。

日本のビジネスパーソンは欧州をどう理解し位置づけ、どう付き合っていくと良いのか。

20数年のイタリア滞在経験を踏まえ、これらに関する自分なりの考察を、執筆や講演などで語ってきた。欧州文化の敷居の高さと日本からの心理的距離の遠さが、欧州とのビジネスをとても「不便」なものにしていると感じている。

次のようなエピソードをぼくはよく使う。

米国駐在を命じられた人は、そのまま空港で飛行機に搭乗する。が、欧州駐在を命じられると、まず書店でローマの歴史や近代思想の本などを買い込み、そこから空港に向かう。この差は大きく、ひいては電子デバイスのユーザーインターフェースのローカライズのレベルに差が出る。米国市場向けユーザーインターフェースはどんどん進み、欧州市場向けのそれは「気がのらない」から遅れることになる。

こうした現実を目のあたりにして、10年前に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』を上梓して以来、ローカリゼーション、中小企業、デザインマネジメントなどをテーマにしながら、欧州のビジネスと文化について書いてきた。例えば、デザインマネジメントではEUのイノベーション政策におけるデザインの位置も視野に入れた。

一方、最近、日本のビジネスパーソンが「欧州を点として捉える傾向」はさらに進行している、と実感することが多くなった。電子政府で名をはせた感のあるエストニアも、欧州という面の一部で語られていないことが多い。欧州のコンテクストを踏まえていないために、どうも座りが悪い。

この場で欧州のことを書いていこうと思う。

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