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「アニメを作りたい!」 クラウドファンディングだけでどこまで可能?

またまた時間が経ちましたが、前回に引き続き昨年11月に開催しましたCOMEMO xアニメビジネス NIGHT OUT vol.4「ファイナンスから考えるアニメビジネス」での質問からの話題です。

今回のテーマは「クラウドファンディング」です。

当日のトークでは、企画・製作や制作会社のファイナンスの話題が多かったのですが、ファンパワーを結集して資金を集めるクラウドファンディングは今日的です。
世界中でファンパワーが注目されるアニメにもぴったりにも見えます。

“ファンの多い既成作品のOVAをクラウドファンディングのみで制作する際の実現可能性はどれくらいでしょうか?”

クラウドファンディングでアニメ制作を実現する時に、まずハードルになるのは予算規模です。作品によりまちまちですが、テレビシリーズ1クール(3ヵ月)、長編劇場映画1本で出来れば3億円は欲しいところです。
よりサイズの小さなOVA(例えば30分1本)であればぐっと予算は下がります。それでも企画や設定などシリーズや長編と同じ程度の仕事が発生するパートも多く、ドラスティックに予算が下がるわけでありません。

となると億単位の資金が必要となります。しかも多くのクラウドファンディングは、完成作品のDVDやブルーレイ・キャラクターグッズのプレゼント、イベントへの招待などのリワードを用意します。
それを制作し、郵送し、運営するコストは小さくありません。集まった資金にそうしたコストの占める割合も大きいのです。
さらに運営会社への仲介手数料も含めると、実際に必要な資金の倍ぐらいはクラウドファンディングで集めなければいけないケースもあります。

しかしこれまで実施されたアニメ関連のクラウドファンディングで、1億円以上が集まったケースはごくわずかです。
87万ドル(約9500万円)超を集めて成功したとされる『Under the Dog』でも実際の運営は厳しかったと語られています。62万ドル(約7000万円)超を集めた映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』も制作会社自身の資金も大きかったと聞きます。

今後さらにクラウドファンディングの仕組みが知られるようになれば、大規模なプロジェクトも実現するかもしれません。
しかし現時点では多くのプロジェクトは実施に苦労しており、より多くの支援者を必要としています。
 
すでに知名度の高い作品であれば、多くの支援者とお金が集まるでしょう。続編や外伝はクラウドファンディング向きのプロジェクトです。
ただそこまで人気の作品であれば、クラウドファンディングでなくてもお金は集まるかもしれません。
逆に「なぜわざわざクラウドファンディング? 私でなくても他の誰かがサポートするのでは?」と意外に盛り上がらないこともあります。 

ここまで少しネガティブな話をしてしまいましたが、クラウドファンディングと相性のいいアニメ作品は確かにあります。少数だけど、熱烈なファンの多い作品(僕はよく「熱度の高い」と表現します)は、確実にクラウドファンディング向きです。
可視化されるファンの数が少ないためプロジェクト実行は無理と判断された作品が、ファンの熱い支援で復活します。そしてクラウドファンディングを通じて、その熱が広がっていきます。
成功例としてよく挙がる『この世界の片隅に』や「『少年ハリウッド』第26話完全版完成 プロジェクト」はそうしたタイプです。

この熱を広げる、認知度を上げるプロモーション効果こそが、クラウドファンディングの隠れた役割です。
必ずしも制作費の全てをクラウドファンディングで集める必要はありません。重要なのは作品を応援する熱心なファンの存在を世に伝えることです。それが次のステップにつながります。

アニメ関係でより実現性の高いクラウドファンディングは、アニメ制作全体の費用よりも目的を特化したものに大きな可能性がありそうです。
「ファンイベントを開催したい」「ムック本を刊行したい」「サントラを発売したい」「海外版をだしたい」といった数十万円から数百万円規模の資金で実現できるものです。必要とされる資金が抑えられ、同時に作品の盛り上げに一役買うことになります。
 
作品とファンがつながることがますます求められている現在。いずれにしてもクラウドファンディングの利用は今後もっと増えていくのでないでしょうか。
クラウドファンディングは単なる資金集めの手段だけでなく、ファンと作品のつながりを確認し、強化する場となっていくはずです。

 
さて好評をいただいているCOMEMO xアニメビジネス NIGHT OUT ですが、第5回が2月27日に開催されます!

テーマは「テクノロジー」。

ゲストに日本のゲームAI研究の第一人者である三宅陽一郎氏を迎え、アニメプロデューサーの平澤直さんと僕が、アニメ分野で気になるテクノロジーの最新動向を伺います。

お時間がありましたら、是非ご参加ください!
https://eventregist.com/e/comemo227


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ジャーナリスト。アニメーションを中心にエンタテイメント産業について、見て、聴いて、そして伝えています!
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