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マナーにこだわる就活選考の罪

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

通年採用の会社も徐々に増えてきており、これまでのような新卒一括採用がメインとなるのは今年、来年あたりで終わりになるのではないかという今日このごろ。10月が内定式という会社も多いので、就職活動も終盤になってきたと思います。

わたしはこれまで新卒・中途両方の採用に関わってきた経験もあり、現職がHR業界にも属することから採用に関する相談を受けることが多いです。また、個人的に支援しているスタートアップの採用のお手伝いもしています。

ふと最近の就活事情についてリサーチしていたら、以下の記事が目に止まりました。

講義を受けている最中に机にペットボトルを出しっぱなしにする。もはや大学の日常と言ってもいいでしょう。大学や講義によっては教員の話を聞きながら飲む学生も珍しくありません。

(略)

そこで学生はペットボトルを悪気なく、机の前に置くようになります。これを就活に引きずるとどうなるでしょうか。

企業からすれば、「初歩的なマナー程度すら知らないのか」と見てしまいます。「説明会で社長が講演しているときに、お茶を飲んでいる学生がいた。社長は降段後、『あの学生の名前をチェックして、必ず落とすように』と静かに怒っていた」(機械メーカー)

さすがに目を疑いました。とても21世紀の話とは思えません。いまだにこのような「マナー」という同調圧力によって学生が苦しめられているのだとすると、本当に愕然とします。マナーというのはコミュニケーションを円滑にするものであり、相手に極力不快感を与えないことが肝要だと言われています。ですので、もし本当に社長が不快に思ったのだとすると、たしかにマナー違反なのでしょう。

しかしながら、こういった企業は仕事中に水を飲むことを禁じているのでしょうか? また、先の社長はお茶くらいで怒るのであれば、相当権威的でしょう。意見を言うことすら認めないかもしれません。であればむしろ落とされたほうが学生も幸せなのかもしれませんね。

この記事をみていて、一時期話題になった企業広告を思い出しました。とても素晴らしいメッセージだなぁと感心した記憶があります。

アンケートをとると、前述の通り就活生の8割が企業に合わせて自分を偽った経験があった。背景には「売り手市場といっても、就職活動においては企業の立場が強く、学生の方が弱いことがある」(大倉さん)と考えた。

「学生に対して、『自由になろうよ』と呼びかけるだけでは状況を変えるのは難しい、と思いました。“パンテーン”が学生の代弁者になりつつ、企業を巻き込んで前向きに動いていけるメッセージを出したいと思いました」

学生アンケートと並行して、企業にも調査を行った。すると、意外な結果が出た。

「実は企業の7割は、服装や髪では個性を出し、自社の面接を受けることに賛成だったのです」(P&Gヘアケア広報の南部かおりさん )

偽りの自分で無理やり企業に合わせたとしても、もちろん幸せに働き続けることは難しいでしょう。実際、第二新卒と言われる層、つまり大学新卒者の離職率は約30%もあります(厚生労働省・新規学卒者の離職状況より)。企業も学生も多大な労力をかけた結果のミスマッチというのは、大変に不幸な状況と言えます。

さて、ところ変われば文化も変わると言いますが、日本の外ではどうでしょうか。20年弱日本企業で働き、1年半前に初めて米国企業で働いてみて驚いたことがあります。私は新卒時が1999年というロスジェネ世代なので、昭和文化の影響も受けています。ですので、先の「ペットボトルのマナー」についても、まぁそういう考え方をする人もいるよねと一定の理解もあります。また、上司と話すときは姿勢を正してしっかり聞いていることを表現するのが正しいと信じていました。

ところが、今の会社の上司(アメリカ人)からふと言われたことがあります。

「Shinはなぜいつもそんなに緊張しているんだ? リラックスして話そう。なにか心配事があるのか?? 仕事がうまくいっていないのか?」

なんと、良かれと思って気をつけていたことが、まったくの逆効果!たしかにアメリカの上司や同僚はお茶を飲んだり、お菓子を食べたり、足を自由に組んだりしながら話しています。彼ら・彼女らからすると、それは「リラックスして話せている証拠」であり「オープンに正直に話してくれて嬉しい」ということ。つまり良いことなのだそうです(笑)。

一方でアジア圏の同僚は日本と同じように捉える人が多いので、文化の違いはおもしろいなぁと思います。

みなさんは「就活マナー」についてどう思われますか? ぜひ↓にコメントしてくださいね。

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タイトル画像提供:ABC / PIXTA(ピクスタ)

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