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国民の生活に無関心で、選挙に勝つことしか関心がない政治家たちの言葉って…

ツイッターでも話題となった総裁選岸田氏の「出産費用ゼロ」の話題。

岸田氏は「出産費用を実質ゼロにするような後押しも大事だ」と語った。正規分娩の場合、分娩費などは自己負担で、健康保険から支給される出産育児一時金で全額を補えない場合もある。受診や入院などの費用の支援を検討する見通しだ。

岸田氏はこの提言については下記のツイートのリプ欄を見て頂ければ一目瞭然で、一斉に「違う! 違う! そうじゃない! 」の大合唱です。

出産費用実質ゼロと言っても現段階で出産一時金で解決している所もたくさんあるし、一時金とは別に上乗せ給付でもない以上あまりメリットは感じられないでしょう。そもそも、実際に、子を生もうとしている母親なり世帯が「金がないから産めない」などという人達はそんなにいなくて、むしろ、大部分が産む費用より育てる費用の負担の方を重く考えています。要するに、出産費用ゼロ提言をやっても子どもの数が増えるというものではないということです。

また、低年収世帯にとっては、貧乏で子どもを産めないところも多いのではないか?という誤解もありますが、世帯年収別の子どもの数を比較したグラフをご覧ください(15歳未満の子を持つ夫婦と子世帯のみ)。

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世帯年収400万円未満で若干一人っ子世帯が多いですが、全体からみれば「子が1人」「子か2人」に世帯年収による違いはほぼありません。「子が3人以上」に至っては、むしろ高年収世帯の方が少ないくらいです。

貧乏子沢山ということもなければ、「金がないから子を産めない、産まない」なんてことも実際あまりないのです。支援が必要なのは、出産という瞬間的な支援ではなく、出生後続く子育て期間への支援ですし、そこに対しては明らかに世帯年収の違いによる格差は存在します。フォーカスすべき課題が違うと思います。


岸田氏はこんなことも言っています。

岸田氏は地方で自治体とNPOが協力して結婚を後押しする仕組みも提案した。「都市部は少子化対策の環境が整わない中で人口が密集している」と指摘し、人口集中の解消を訴えた。

確かに、結婚促進した方が子どもの数は増えます。これは理論上正しい。結婚した女性は平均2人の子どもを出生するからです。しかし、もう遅いのです。完全にタイミングを逸しています。やるのだったら、本来第三次ベビーブームが来るはずだった1990年代後半にやるべきでした。まあ、当時はバブル崩壊でそれどころじゃなかったかもしれませんが。

今後は結婚数が増えません。対象となる若年人口が少ないうえに、晩婚化と生涯未婚のままの女性も増えている。つまり、結婚する絶対数が少ないということは、母親となる可能性の女性の数が足りないということです。少子化ではなく「少母化」が問題なのです。結婚した女性がどんなにがんばっても少子化は解消されません。というか、結婚した女性たちは1970年代と変わらず同じように子どもを産んでいるのです。

いい加減、この事実について、皆真摯に向き合った方がいい。いつまでできもしない少子化対策を議論しているのでしょうか?

何度も言ってることですが、少子化は絶対に解消できません。解消させようとするなら、多産化(一人の母親が産む子どもの数を増やす)しかありません。そんなこと本当に目指しているのですか?それこそ以前どこぞの政治家が発言して炎上した「女は産む機械」思想と何が違うのでしょう?



岸田氏だけではなく石破氏も変なことを言っている。

石破氏は海外の事例を挙げて「男性が家事に費やす時間が長いほど第2子、第3子が生まれる」と説いた。男性が家事を分担する社会づくりを進めると話した。石破氏は「東京一極集中の是正」を主張している。子育てしやすい地方に移住を促す政策が重要だと強調した。

「男性が家事に費やす時間が長いほど第2子、第3子が生まれる」なんてエビデンス、どこにあるの?見たことないけど。

そもそも論からいえば、夫婦の家事時間は、子の有無に関わらず、専業主婦か共働きかにも関わらず、絶対時間として減っています。これは、別に個人の意識の問題ではない。家電などの発達(お掃除ロボットなど)によって、家事をいちいちしなくてもよくなったからという要因です。

一方で、育児時間は夫婦とも増えている。本来、夫婦で育児を分担するのであれば、夫婦の合計総育児時間は同じであるはずだ。しかし、事実はそうなっていない。

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共働き夫婦でも夫の育児が25分増えると、妻の育児も59分増える。専業主婦でも夫が育児を10分増やすと妻の育児が70分も増えている。ぶっちゃけ夫がなまじっか育児に手を出せば出すほど、妻は「違う。そうじゃない」「なんか気に入らない」と1からやり直しをする場合も多いんじゃないか、とも思うわけです。結局、夫が手伝えば、意味なくダブルで育児の時間負担が増えていくというわけのわからない構造に陥ってないだろうか。

もうひとつ、夫婦のどちらがやってもいいのだが、総量としての家事育児時間というものは、むしろ夫婦役割分担を明確にした方が効率的だという考え方もできないだろうか。

いずれにせよ、育児が楽しいと思う夫がいればそれは自由にやればいい。しかし、育児が不得意だったり、やったらやったで子どもを怪我させてしまう危険のある夫だっているだろう(故意ではなく)。人によって能力は違うし、夫婦によっても育児に対する考え方は違うのだから(育児はすべて自分だけでやりたいという母親もいる)、イクメンだとかの言葉を使ったりして、どこの家庭もすべて夫の育児時間を増やせというのは、大きなお世話だとしか思えない。

一事が万事、もう少しファクトに基づいた発言をしてもらいたいものだと思います。単に勉強不足なのか、そもそも関心がないのか?


麻生氏が語った「若者が政治に関心がないことは、悪いことではない。それだけ日本で平和に暮らしているということだ」というのは、まさしく正しい。たまにはいいこと言います、麻生さん。むしろ、暇だからと政治にいちいち口出しをし始めているジジババの方が平和を乱している。

政治家の仕事なんてものは、国民が政治なんてものに関心を払わなきゃいけない世の中を作ることではない。最悪なのは、むしろ国民の生活や意識を全く理解もせず、勉強もしようとせず、国民に無関心な政治家だらけになること。関心があるのは、選挙に有効な高齢者に向けて何が刺さるかしか考えていない政治家が政治を行うことの方だ。

国民が政治に関心を持つのではなく、政治家こそが国民の生活全体に関心を払うべきなのだ。


※本記事で、菅氏の言葉をとりあげていないのは、別に彼に賛同しているわけではなく、取り上げるほど明確で具体的なことをあまり言っていないからです。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。