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ファシリテーションのプロが意図的に「答えづらい質問」を混ぜる理由

 Potage代表 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。やさしい組織やチームをつくるために、個性が表現できる対話を生み出すために、ファシリテーターとして様々な活動をしています。ファシリテーションについて講座を通じて教えていたりもします。

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 今回は「よい質問とは?」という問いかけをテーマに思考してみたいと思います。ファシリテーションの技術の基礎のひとつが「質問力」です。質問力は私を形作る大事な力でもあり、「良い質問とは何か」という自問自答を繰り返す日々です。

 さて、ネイティブスピーカーの方と英語でコミュニケーションを取った経験のある方なら「Good question」という返答に出くわしたことがあるのではないでしょうか。

 私がサンフランシスコのシリコンバレーで3年間新規事業を立ち上げていたとき、地元の人々や様々な国籍の人々とコミュニケーションを取る中で、「Good question」というフレーズは頻繁に使われました。そして、次第に私自身もこのフレーズを使うようになりました。(こういうマジックワード的な言い回しって、真っ先に伝染するものなのです)

 一見すると、池上彰さんがテレビでよくおっしゃっている「いい質問ですね」という表現に似ているかもしれません。しかし、文字通り相手の質問力を称える意味だけで成立していないのが面白いところです。

 実はこれは、相手が自分の質問に対して、少し考える時間を求めるための言葉でもあるのです。「Good question」という言葉には、答えるのに時間を要する質問に対して、自分自身に思考する余裕を作るために「ちょっと返答を待ってもらえますか?」という暗黙の意味合いが実は含まれているのです。

 そのことに気づいて以降、私も外国の方から難しい質問を受けた時、答えを考えるための時間を作るために「Good question」と返すというテクニックを使うようになりました。本当に便利なので、英語でコミュニケーションをする機会のある方はぜひ使ってみください。癖になります。

答えのない時代に大事なのは、対話を通じた考える力、という記事です

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親切な質問=いい質問?

 さて、ここからが本題です。冒頭で「Good question」について説明したのは、英語の便利な表現についてみなさんに伝えたかったからではありません。ここでお伝えしたいのは「答えにくい質問が必ずしも悪いものではなく、逆に良い質問となる可能性がある」という事実です。

 1on1やステージ上で対話相手に質問を投げる場面を考えるときに、簡単で答えやすい問いかけをする方が、会話がスムーズに進むので、相手にとって親切で、答えやすい「良い質問」だと思われる方は少なくないのではと思います。

 「答えやすい質問」は、もちろん、良い面も持っています。特に、初対面の人との距離感を縮める段階では、非常に有効です。私はよく「会話のリズムを作る」という表現を使いますが、まずは答えやすい質問を投げかけ、相手が話しやすい状態を作り出し、慣れてもらうために、答えやすい質問は効果的です。

 例えばイエス・ノーで答えられる「クローズドクエスチョン」は、会話のテンポ感をつくるのにとても有効です。タモリさんの物まねをするときによく出てくるフレーズ「髪切った?」はその典型です。

 しかし「これは〇〇ということですか?」という種類の質問に終始してしまうと、自分が話したい方向に無意識に対話の内容をむかわせてしまう「誘導」を起こしがちです。

 大事なのは、相手の選択肢が多い、開かれた状態の質問もきちんと織り交ぜることです。自由に言葉を選べる状態で質問を続けることで、、思考が言語化が進んでいくからです。

思考の言語化を促す「いい質問」

 思考の言語化に必要な要素は何か考えたことはありますか?私は「経験」と「時間」の2要素が必要だと考えています。

 経験は蓄積されるもので、私たちの中にすでに存在しているものです。しかし、しっかりと整理されておらず、散らかった状態で蓄積されている傾向があります。例えていうと、まったく整理整頓されていないデスクの引き出しのような状態で、どこに何が存在していて、蓄積されているかが、自分自身でも把握できない状態になっているのです。

 質問を通じて思考を言語化することは、言い換えると、その未整理の引き出しを開け、中にあるものを確認し、整理する作業です。思考の断片を質問を通じて可視化し、配置をしなおして整理し、ある問いかけに出くわしたときに、自分の引き出しの中から自分の「考え」をすっと取り出せる状態を作ることが大切です。

 その整理整頓のスタートラインとなるのが「Good question」です。

 前述した通り、思考が言語化されるためには「経験」と「時間」が必要ですが、いい質問には、思考の言語化を促進する効果があります

 私は自宅で手作り味噌をつくっているのですが、思考がまとまっていく過程は、味噌の発酵と似ています。味噌の発酵が進むほど味が熟成していくように、思考も熟成が進み、いい思考がひとたび走り出すと、時間が経つほどに自分の価値観の言語化が進行するのです。

 いい質問はその「発酵の促進をうながす」糀(こうじ)や常在菌のような存在です。本来時間がかかる思考の適切な言語化を加速させるために、第三者的な視点からその人の思考を熟成させる役割を果たすのが「良い質問」なのです。

 その際に重要なのは、答えやすい「クローズド・クエスチョン」ではなく「オープンクエスチョン」、つまりイエスノーでは答えられない「5W1H」に基づく質問です。

 思考を促す質問は、相手が「その観点はなかった」と思い、一瞬言葉を失ってしまうくらいがちょうど良いのです。

 質問による沈黙を恐れずに、沈黙の時間がもたらす思考の熟成の価値を理解することがコーチングやファシリテーションの成功の鍵となります。

 いい問いかけから生まれる沈黙や間は、1つの大切なツールなのです。ファシリテーターにとって大事なのは、相手がじっくりと考えて自己の思考を言葉にする時間を尊重し、見守ることです。質問に対して深く考え、自分なりの言葉で答えを探そうとするその瞬間こそが、その人の思考整理の入り口となるからです。

 もっとも、ステージ進行やプレゼンテーションのような「人前にさらされる対話や表現」において沈黙が走る場合、聴き手が不安に陥ることがありますし、その不安へのケアは大事になります。適度な間を埋める言葉をはさむ……例えば「ゆっくり考えて大丈夫ですよ」といった言葉を掛けることで、対話相手や聴き手をリラックスさせることが求められます。

 しかし、それは小手先の話でしかありません。大事なのは、対話相手の思考がより明確に深まるように、問いかけを通じたサポートを行うことなのです。

「いい質問」を通じた学習と成長

 「良い質問とは何か?」と考えた時「相手が答えやすい質問を使う」と答える人も中にはいるかもしれません。それはある種の親切心から来るもので、決して間違いではありません。

 しかし、目指すゴールが「相手の思考の整理」…例えば上司部下の1on1セッションや、思考を深めるファシリテーションやコーチングのような状況では、あまりにも答えやすい質問を投げかけ続けてしまうと、対話相手はどんどん楽な方向に流れてしまい、自分がすでに考えている、表面的な言葉しか表現しなくなるのです。

 こうなると、本当の意味での思考整理は行われません。思考の熟成を促すためには、相手が「これは良い質問だな…」と一瞬沈黙してしまうような、答えづらい質問を織り交ぜることが大切です。

 つまりここで言う「いい質問」とは、相手が一瞬、思考に没頭し、沈黙を必要とする質問なのです。

 沈黙を恐れず、相手が考えを言葉にする時間を尊重すること。それは表面的なコミュニケーションではなく、思考の熟成と真の意味での深いコミュニケーションを促す重要な要素となります。

 「答えにくいオープンクエスチョン」は、思考の発酵を促進し、コミュニケーションの流れを深め、対話を豊かなものにするための鍵となります。答えにくさは、課題を解決し、新たな視点を発見し、意見を共有し、更なる理解へと導く道を切り開く出発点なのです。

 質問は、用意された「答え」を得るためのものではなく、相手の思考を刺激し、深め、理解を広げるための触媒ツールです。私たちが自分自身の理解を深め、視野を広げ、成長を促すための武器であり、「いい質問」を通じた対話は、学習と成長のプロセスなのです。そのプロセスを味わいながら思考の交換を楽しむことが、ファシリテーターに求められる大事な素養だといえるのではないでしょうか。

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※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)

※この文章は、原文作成にChatGPT(GPT-4)を活用して執筆されています。

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