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生命保険の生涯利回りと保険金前借りの人生設計

 新入社員が職場に入ると、必ずと言っていいほど訪れるのが、生命保険の勧誘である。会社によっては、取引先との付き合いで、保険会社の営業マンが必ず紹介されるケースも少なくないだろう。

たとえば、24歳の新入社員が、死亡保障が1000万円の終身保険に加入すると、払込満了が65歳までの場合で、月々の保険料は 約1.3万円になる。初任給の中から毎月払う負担額としては決して軽くはない。

しかし、日本人の生命保険加入率は世界で最も高くて、20代で50%、30代以降では80%を超している。年間の保険料は平均で約20万円。生命保険だけで、毎月2万円弱を支払っていることになる。

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人生の中で、生命保険に加入するタイミングとしては、就職、結婚と子どもが産まれた時が多く、収入の状況によっても選ぶ保険の種類は変わってくるが、貯蓄も兼ねた「終身保険」は、できるだけ若いうちに加入したほうが、生涯を通したトータルの利回りは高くなる。

《加入年齢による終身保険利回りの違い(例)》

●加入年齢:24歳─→払込満了期日:65歳
・保険金契約額…………1,000万円(死亡時)
・月々の保険料………… 13,220円
・65歳までの保険料払込総額…………………6,504,240円
・65歳直後で解約した場合の返戻金…………8,089,200円(返戻率124.3%)
・払込満了後も解約せず死亡した時の利回り……1,000万円(153.7%)

●加入年齢:35歳─→払込満了期日:65歳
・保険金契約額…………1,000万円(死亡時)
・月々の保険料………… 19,690円
・65歳までの保険料払込総額…………………7,088,400円
・65歳直後で解約した場合の返戻金…………8,089,200円(払戻率114.1%)
・払込満了後も解約せず死亡した時の利回り……1,000万円(141.0%)

●加入年齢:45歳─→払込満了期日:65歳
・保険金契約額…………1,000万円(死亡時)
・月々の保険料………… 32,180円
・65歳までの保険料払込総額…………………7,723,200円
・65歳直後で解約した場合の返戻金…………8,089,200円(払戻率104.7%)
・払込満了後も解約せず死亡した時の利回り……1,000万円(129.5%)

現在の生命保険は、低金利の時代を反映して、加入者が払い込む保険料の予定利率を1%前後で運用することを前提に設計されている。しかし、バブル景気で高金利だった1980、90年代に契約された保険は、予定利率が5~6%に設定されているため、上表よりも大幅に高い利回りになる。それらは“お宝保険”と言われている。

終身型の生命保険は、正しい知識で加入すれば、万が一の保障+資産形成にも役立つ。ただし、数十年先の払込満了期日まで契約を続けなくては、その恩恵を受けることはできず、それより前に中途解約をすると払込元本の7割程度しか返金されないのがネックである。そのため、若い頃に加入した終身型の生命保険は、払込満了を迎えるまでは解約せずに、保険料を払い続けること。できれば、死亡時まで解約せずに、家族に保険金として渡すこと。それが、生命保険の生涯利回りを高める上では賢い。

しかし、人生は計画通りに行かないことも多い。満了期日前に月々の保険料が払えなくなり、契約を失効、中解解約する加入者は年間で 5~10%ある。また、これからの老後は、公的年金だけには頼れないため、貯蓄を切り崩しながら生活していくことになるが、長生きをすれば、最終的に「生命保険」しか資産が無くなってしまう高齢者も増えてくる。

生命保険は、契約者が亡くなった後に払われるものだが、それでは本人が資金を使えないため、生命保険として蓄えた資金を、柔軟に活用できる仕組みが求められている。日本国内では生命保険の契約残高は「約680兆円」という巨額な規模に膨れあがっている。これを、生きているうちに使える資産として再構築することが、新たなビジネステーマとして浮上している。

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