何処がイノベーションスポットになる?
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何処がイノベーションスポットになる?

先々月、横浜のみなとみらいにあるホテルのカフェでミラノ工科大学のデザインの先生と雑談していたのですが、彼が外の風景を眺めながら、ふと、こんなことを言ったのです。

「高層ビルのなかで、社会に大きな影響を与えるようなイノベーションは起こしにくいよね」

今、欧州でイノベーションの拠点としてよく引用されるのはベルリンで、次のホットスポットはリスボンと言われています。不動産の値段が安く、使われないスペースがあまり余るほどにある都市に、それまでのゲームをひっくり返すようなイノベーションが起きる率が高い、という話なんですね。

トップにある画像は、ミラノ工科大学のデザイン学部の近くにあるイノベーションハブです。ここも郊外の古い工場の一階をすべて借り切って、スタートアップがいろいろと面白そうなモノを作っているのですね。そしてキッチンだけは綺麗で、みんなでコンペティター含め楽しく時を過ごせる空間になっているのです。

これはですね、昔、駐車場にもなっていない空地で、子どもたちが鬼ごっこをしたりしながら、新しい遊びを思いついたのと同じといえば同じなんです。どう使っていいのか分からないスペースがあると、それを何とか面白く使おうとするわけです。幼稚園や小学校のなかでより、圧倒的に楽しいアイデアが出たりする、と。

大人になったからといって、そう変わらないのです、こういうことは。

もう1つ、すごく大事なことがあります。そのスペースは、少々汚して散らかしてそのままにしておいても、誰も気にしない空気があるってことです。いちいち一日の終わりに作業を片付けていると、「あれっ、昨日の夕方、どこまで考えたんだっけ?」ということになるし、だいたい汚すことに注意払っていたら思い切ったことできないじゃないですか。

ベルリンのスペースもそうだし、ミラノの写真にあるようなところもそうですが、ほどほどに汚いのです。でも、不清潔なほどにすごく汚いってことではない。

日本ではキレイすることが倫理としてとても根付いているし、それもあって整理整頓が日本の製造業の生産性の高さに貢献してきたという話になっているのですが、新しい発想を育む場所で、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)にあんまりキリキリしないほうがいいでしょうね。

でもね、誤解しないで欲しいのですが、全体としてのムードはあるわけです。この上にのせた写真も、トップ画像の場所に距離的に近い、やはり元工場にあるレストランの入口なんですが、素敵でしょう?ぴかぴかにキレイにしないけど、それ風のムードがないと、人は寄ってきませんしね。だいたい、そこにいてちっとも心地よくないじゃないですか。

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モバイルクルーズ株式会社/De-Tales ltd. ミラノと東京を拠点に活動。最新著書『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?』、監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。訳にエツィオ・マンズィーニの本『日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化』