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熱量あふれる場のつくり方:オフラインイベントでのファシリテーション4つのポイント

新型コロナウイルス感染症が2類から5類への引き下げられ、いよいよオフラインの活動が活発になってきています。

先日、久々にオフライン(会場開催)のイベントにてトークセッションのファシリテーションを担当しました。コロナ禍でファシリテーションはほぼオンラインイベントになっていたので、オフラインでのファシリテーションはかなり久々でした。
久々であるからこそ、以前はそれほど見えていなかったことが見えたりしたので、今回はオフラインでのファシリテーションについて考察してみたいと思います。

ファシリテーション/ファシリテーターとは

ファシリテーションとは、大まかにはトークセッションやディスカッションを円滑に進め、各参加者が最大限に貢献できる環境を作り出すプロセスや技法のことを示します。これは、イベントだけではなく、ビジネスにおける会議、プロジェクト計画、ワークショップなど、様々な種類のグループ活動で用いられます。

ファシリテーターとは、このファシリテーションのプロセスをリードする役割を持つ人のことを示します。全員が議論に参加できるように促していき、会話の流れをまとめ、話している内容が生産的でポジティブなものになるようにするのがファシリテーターの主な役割となります。

オフラインイベントにおけるファシリテーションのポイント

コロナ禍で突然イベントがオンライン化し、それまでオフラインでのイベントしか開催していなかった当時はオンラインでのファシリテーションに大きなチャレンジがあったことを覚えています。久々にイベントがオフラインでも開催されるようになってきた今、オフラインイベントでのファシリテーションのポイントを今一度考えてみたいと思います。

1. 五感の活用

オンラインイベントと比較して、オフラインイベントでは物理的な空間や視覚・聴覚・嗅覚という五感全体を活用できるという利点があります。これらの要素を上手く使うことで、参加者のエンゲージメントを高め、イベントの熱量を高めることにつなげることができます。

また、オンラインイベントでは、参加者の表情も見えづらいので、チャット機能を活用したり、スタンプなどのリアクション、ブレイクアウトルーム などで、コミュニケーションの濃度を上げるなどの工夫をしました。しかし、オフラインイベントでは、顔の表情や手の動き、体の動かし方などから直接反応を読み取ることが可能です。オフラインの場は、ファシリテーターが参加者の反応を正確に把握し、必要に応じて瞬時に対応するための重要な情報が詰まっている場であるとも言えます。例えば、登壇者の説明が難解で参加者が置いていかれているような場合、ファシリテーターはその反応を即座に察知し、簡単な注釈のコメントを挟んでみたり、登壇者に対していくつか質問をすることで、内容を分解し、参加者が理解しやすくすることができます。
会場で起こる微妙な反応を察知し、瞬間瞬間で適切に対応する能力は、オフラインイベントのファシリテーションでは特に重要なポイントとなります。

2. 事前準備

オンラインイベントでは目の前のモニターなどに登壇者情報を映すことで、目線をあまり動かさずに情報を確認しながらセッションを進めることが可能です。オフラインでもPCやメモを目の前に置き、情報の確認は可能ですが、目線が会場や登壇者からは外れてしまうため、高頻度での確認はあまりお勧め出来ません。

(オンラインイベント でも当然必要ですが)特にオフラインのイベントでは、ファシリテーターは、イベントのテーマや参加者、登壇者のこれまでの活動や思いを事前にしっかり理解しておく必要があります。

私の場合、登壇者が出ているメディアの記事や著書を一通り読んでおくようにしています。そして、参加者には"参加の理由"や"登壇者から聞きたいこと"などを申し込み時にアンケートフォームで、事前に聞いておきます。
しっかりと情報のインプットをしておくことで、会場で参加者の知りたいことと登壇者が発信したいことにブリッジを掛けることが出来ますし、状況の変化にも臨機応変に対応しやすくなります。

3.登壇者同士の事前のつながり作り

登壇者が複数いる場合、オフラインのイベントでは、登壇者同士の掛け合いが起こることでイベントの熱量が一気に高まりやすくなります。しかし、登壇者同士の関係性が構築されていないと中々そうした"良い掛け合い"は発生しません。

先日開催したイベントでは、登壇者の方のお一人の発案で登壇者とファシリテーターが入ったグループのメッセンジャーのスレッドを立ち上げました。そのことにより、イベント前にお互いの自己紹介から始まり、テーマに関連した持ちネタの共有、そこからのコラボレーションのアイデア、当日に向けての懸念などが次々に出てきました。そうした事前のコミュニケーションを通じて、イベント開催時までに登壇者・ファシリテーターの関係の質が上がり、心理的安全性を高めることができます。そしてイベント開催時には、登壇者とファシリテーターが1つのチームになっているのです。そうすることでイベント時の掛け合いのしやすさ、質が高まり、化学変化の確率がぐっと上がります。結果として熱量の高いイベントになるのです。

4.会場の環境づくり

オフラインイベントでは、音響、照明、座席配置など、物理的な環境も重要です。例えばスクリーンへの投影がある場合、登壇者・ファシリテーターの席の配置によっては画面に影がたくさん映ってしまったり、登壇者にプロジェクターの光が当たり、イベント中ずっと眩しそうになってしまうこともあります。うまく席を配置することで参加者はスクリーンが見やすくなり、登壇者は眩しくない状態でセッションに集中してもらえるようになります。
さらには登壇者とファシリテーターが左右に分かれる場合、お互いの顔が見え、目が合いやすくなるよう少し扇型に席の配置をすることをお勧めします。

また、席と席の間の距離を適切に取ったり、照明も参加者側を暗くしてステージの照度を上げるなど、環境の作りかたでイベントの空気感は大きく変わります。
出来る限り事前に会場を下見し、自分のコミュニティ・イベントに合う場であるか、どのように当日椅子などを配置すべきかを確認しましょう。

また、環境づくりという観点では、登壇者だけでなく参加者も多少緊張していることを前提に、いかに空気を和らげるかがポイントになります。セッション開始前に参加者に話しかけたり、セッションの最初にみんなで乾杯することで会場の空気をほぐすことも出来ます。

ファシリテーターは会場の環境をしっかりと整える部分まで考えておくと議論の中身だけでなく、会場の空気づくりをリードすることが可能になるのです。

まとめ

オフラインのイベントの場が増えている現在、ファシリテーターは会場だからこそ読み取れる空気を是非楽しんでいただければと思います。また、照明、椅子の配置、人の導線などをしっかりと考え、場の空気をセッションのテーマに合うように調整できることも物理的な会場だからこその醍醐味です。

そして、登壇者の持っている素敵な意見や経験、登壇者同士の熱い掛け合いを引き出し、参加者の反応や様子の変化に臨機応変に対応しながら全体として良い空間・良い時間をつくりあげていきましょう。

オフラインの場が増えてきた今だからこそ、ファシリテーターの皆さまは一度オフラインのイベントのファシリテーションについて考えていただき、皆さまそれぞれがお持ちの視点も是非発信していただければと思います。



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