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消費増税を1年待つより強行するリスクが大

秋に消費増税が予定されていますが、これを1年延期して様子を見るべきだと思います。1年待った場合のリスクより、強行した場合のリスクの方が大きいからです。

私は増税自体に反対しているのではなく、リスクが最も小さくなるように、増税のタイミングを慎重に選ぶべきだ、と言っているのです。

増税額は年間で数兆円ですから、増税を1年待っても政府の借金が数兆円膨らむだけです。現在すでに1100兆円の借金を抱えている事を考えれば、それが数兆円増えても増えなくても誤差の範囲でしょう。「その数兆円によってインフレ懸念が高まったり投資家が日本政府の信用力を疑うようになったりする」というのは「海の水を一口飲んだら海の水が減る」と主張するようなものです(笑)。

一方で、国内景気を見ても、米中関係を見ても、増税を強行することのリスクは高まりつつあります。

国内の経済指標は、年明け分から急に悪化しています。これが景気後退につながるのか、一次的なものなのかは専門家の間でも意見が別れていますが、もしも景気が後退しつつあるのであれば増税すべきではありません。あるいは、増税が契機となって景気が後退を始めてしまうような事になれば、これも増税は失敗だった事になります。

そうであれば、増税を強行する事は大きなリスクだと言えるでしょう。増税を1年待って様子を見て、「国内の景気が比較的強く、増税しても大丈夫である」と確認できた場合に改めて増税を決定する、という方が遥かにリスクが小さいはずです。

米中関係も、対立が激化しつつあり、先が読みにくい状況です。米中関係は単なる貿易戦争ではなく、覇権争いのための冷戦という性格のものですから、お互いに妥協がしにくいのでしょう。米国は覇権を狙う中国を潰すために「肉を切らせて骨を断つ」覚悟でしょうし、中国も簡単に引き下がるわけには行かないはずです。

そうなると、今後の米中関係がどうなるのか、それが世界経済や日本経済に与える影響がどの程度のものになるのか、現時点で見極める事は困難だと言えるでしょう。

それ以外にも、欧米の景気の後退を予想する人が増えている等、日本の景気の先行きを考える上での懸念材料は事欠きません。

そうであれば、とりあえず増税を1年延期して、「日本経済への影響がそれほど深刻ではない」、という事が確認できた場合に改めて増税を決定する、という方が遥かにリスクが小さいはずです。

仮に増税自体の延期が現場の混乱を招くという事であれば、「増税は予定どおり実施するが、増税額と同額の景気対策を最低1年間は実施する」という事でも良いと思いますが。


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2005年まで、銀行員として、主に経済調査関係の仕事(景気の予想屋など)をやっていました。 現在は久留米大学商学部の教授ですが、堅苦しい理論の話より、景気や経済の話、資産運用の話など、役に立つ経済の話を中心に投稿していきます。よろしくお願いします。
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