車中泊ユーザーを取り込むRVパークの開発商機
車中泊に関心のある潜在ユーザーが増えている様子は、車中泊の専門誌が多数発行されていることや、関連のグッズやパーツが売れていることからも確認できる。国内のオートキャンプで使われる車両は、95%が通常のマイカー(ミニバンやSUVが主流)を車中泊仕様にカスタマイズしたもので、残りの5%が専用のキャンピングカーとなっている。
日本RV協会の調査によると、国内キャンピングカーの総保有台数は、2005年には5万台だったのが、2016年には10万台にまで増えており、ニッチな市場ではあるが、車内に泊まりながら旅をする文化は、日本でも着実に広がりはじめている。
オートキャンプ場以外で、車中泊ユーザーが宿泊場所にしやすいのが、全国の一般道にある「道の駅」である。しかし、最近ではスペースの専有やゴミ問題などから、車中泊を禁止とする施設が増えている。平成23年に国土交通省の社会実験として、東北地方の道の駅で車中泊の実態調査を行ったところでも、具体的な問題点が指摘されている。その一方で、道の駅を運営する地域の自治体では、車中泊ユーザーを新たな観光客として大事にしたいという思いもある。
逆にみると、これらの問題点をすべてクリアーにした車中泊専用施設を有料で提供することはビジネスになる。車で旅をする文化が古くから根付いている米国には「RVパーク」と呼ばれる施設が各地にあり、そこを車中泊の拠点にすることができる。
米国には13,000以上のRVパークがあり、キャンピングカーが1日単位で車中泊ができるようになっている。地域の自治体が運営する施設に加えて、地元の中小業者が経営しているケースも多い。施設内には、電源と照明設備、上下水道、Wi-Fiスポット、トイレ、シャワー施設などが完備されている。料金は1泊あたり30~50ドルが相場で、長期滞在者には割引制度もあるため、低予算でも車中泊の旅を楽しむことができる。
たとえば、米モンタナ州にある「West Glacier RV Park & Cabins」は、グレイシャー国立公園に隣接した地域にあり、周辺にはショッピングセンターがあるため、食材の買い出しにも便利。施設内には、50アンペアの電源、Wi-Fi、コインランドリー、トイレ・シャワー施設などがあり、最大80フィートまでのキャンピングカーで車中泊ができる。
日本でも、RVパークの開発は自治体と民間業者との協業により開発することは可能で、過疎化に悩む地域では、都会からの移住政策と連携させた観光事業として有効策になりそうだ。
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