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「円はもう安全資産ではない」の嘘

世界的な投資家であるジム・ロジャース氏の以下のようなインタビューが出ています。

「円はもう安全資産ではない」というキャッチーなヘッドラインですが、本当にそうでしょうか、得てして人口減少や政府債務の大きさを理由に「円はもう駄目」だとか「ハイパーインフレになる」だとかいった言説は一般にひろまりやすいですが、どこか感覚的な主張に聞こえてなりません。

円が安全資産と言われてきたゆえんは「世界最大の対外純資産国」だからです。これは2018年末時点でも28年連続で世界最大であり変わっていません。円安を謳いたい証券会社や海外勢を中心に「海外では円はもう安全資産として見られていない」という話が頻繁に展開されて久しいですが、「今まで何故円高になりやすかったのか?」、「ではその理由は今は変わったのか?」というロジカルな説明が殆ど見られていないように思います。

敢えて言えば勢いに衰えは見られていますが、それは対外直接投資、端的には日本企業による海外企業買収Iが急増してアウトライトの円売り(戻ってこない円の売り切り)比率が高まったからだと私は思っています。それ自体、対外純資産の増加要因です。この点は以下のようなコラムに過去、まとめました:

もちろん、日本経済や日本円には課題が山積しており、どこかで「頭を下げても円高にはならない」という局面が来ないとも言い切れません。しかし、現時点でファクトが変わっていないのに大仰なことを言うのは慎重になりたい所です。

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