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生産を止めるな!緊急経済対策への提言

新型コロナだけが問題なのではありません。新型コロナに起因する様々な経済活動の停滞に、もはや耐えられないほど日本経済の土台が脆くなっているのです。

あまり話題になっていませんが、昨年10-12月期は名目GDPの成長率もマイナスになっています。前回14年4月の消費増税の時、さらにその前の97年4月の増税時には、実質GDPこそ大きく減少したものの、物価変動の影響を調整する前の名目GDPはともにプラスでした。

今回の消費増税で失われた名目GDPは、年率で約8兆円。ざっくり言えば、国民の所得からそれだけの金額が失われたという事です。ちなみに雇用者報酬は増えていましたから、企業が8兆円の負担を一手に引き受けた可能性があります。中小企業が資金繰りに苦しむのは、新型コロナだけのせいではないのです。

政府の緊急経済対策ですが、せっかく先の消費増税対策でキャッシュレス決済を促した訳ですから、今回の新型コロナ対策では「現金」給付よりもキャッシュレス決済のポイント還元を拡充するほうが良い気がします。

ただ、現金給付にしろポイント還元にしろ、消費者が直ちに支出に回すとは限りません。景気が悪くなっていれば、支出は手控えられてしまいます。

いっそのこと現物給付にしてはどうでしょうか。政府が民間企業に製品を発注し、政府の負担で国民に製品を無償提供する。これなら支出が手控えられる心配はありません。マスクや紙の給付でも良いですが、生産波及効果の大きい耐久消費財(家具や家電製品など)のほうが景気押し上げ効果が高いと思います。

キャッシュレス決済に必要な設備を、中小零細企業に現物給付するという手もあります。子育て世帯には、リモート環境で教育・保育ができるための情報通信機器を無償配布しても良いかもしれません。

生産を止めてはいけません。感染拡大を防ぐため、一定の経済活動を自粛せざるを得ないのであれば、自粛する必要のない企業の稼働率を高める必要があります。自粛の影響が直撃する外食や宿泊、観光産業などには、営業停止中の資金繰りを支援しつつ、営業再開後にはポイント還元の優遇などの実質的な消費税の軽減措置を実施する事が望ましいでしょう。

「子育て世帯への現金給付策」は、学校一斉休校に伴う共働き世帯やひとり親世帯への支援なのでしょう。国民生活を守ることは確かに大事です。

それと同時に、企業活動を止めない、経営破綻の連鎖による信用不安を生み出さないという姿勢も重要です。政府には、子育て世帯の労働供給が止まることのリスクにも目配りしてもらいたいと思います。



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三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所シニアエコノミスト。日本経済の分析・予測を担当しています。

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