ポピュリズム台頭でドイツがリスクの芽に?
10月14日はドイツバイエルン州で、同28日はヘッセン州で地方選挙を実施する。
はじめに、ドイツ政党の解説をすると次の通り。CSUはキリスト教社会同盟、現在内務大臣のゼーホーファーが党首のバイエルン州を地盤とする地域政党。メルケル首相率いるCDUキリスト教民主同盟と組み、与党第一党となっている。ここにシュルツが党首となっているSPDドイツ社会民主党が連立して、連立与党を形成している。最近では、AfDドイツのための選択肢党が反EU、反ユーロを掲げて、支持率を上げているのがドイツ政治の基本的流れ、である。
現在の注目はバイエルン州選挙。ここでは、2015年の移民流入増大以降、CSUの支持率が低下し、極右AfDの支持率が上昇しており、ポピュリズムの流れが色濃く出る可能性が大きいからだ。10月14日の選挙でこれがさらに強調される場合、CSUやSPDが圧力をかけるというより、CDU内部で次期首相候補を水面下で探す議論が進む可能性が高いということになるのではないか。というのも、現状の連立政権では、どこが絶対的に強いというものでもないから、である。負けるとわかっている選挙を早期に行いたい政党はない。そのため、次期選挙(次の下院選挙は2021年秋)をターゲットにまずは安定を優先、その間に戦略が練られると見るのが普通であろう。
ドイツでは預金保険などの他国とのリスク共有に関する提案で合意を見出すのは常に困難だったが、地方選挙でポピュリスト政党が躍進する場合には、さらに困難を極めるに違いない。ブレグジットで騒がしくなる秋。欧州最大の国ドイツにおける政治力の弱まりは、欧州のリスクを高める芽になりつつある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36133550U8A001C1I00000/