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電力小売りは2016年4月から、ガス小売りは17年4月から一般家庭も含めて全面自由化されています。
ただし、消費者保護の観点から、大手電力・ガス会社は従来の「規制料金メニュー」(法律で定められた方法で料金が決まる)も当面残すことが義務付けられています。

その規制料金メニューですが、自由化以前の平成8年から、「燃料費調整制度」というものが設けられておりました。燃料費の変動を電気料金やガス料金に自動的に反映させる制度です。つまり、大手電力・ガス会社は「規制料金メニュー」を燃料費調整制度という共通の制度に基づいて作るように規制されているので、各社が足並み揃えて価格を変更しているように見えるのは当たり前で、毎度毎度申し上げるのですが、この燃料費調整制度によるコスト修正は「値上げ」「値下げ」ではなく「値上がり」「値下がり」と言ったほうが正しいと思います。

さて、全面自由化されたのですから、消費者は燃料費調整制度を使わないメニューを選ぶことも可能です。しかし、そのようなメニューを提供している新電力はあまり聞きません。このようなメニューを提供するには、燃料価格の変動をリスクヘッジする必要があり、リスクヘッジはただではできませんから、長期的に見れば、燃料費の変動を自動的に反映した電気料金の方が原理的に安くなることもあるでしょう(ローンの変動金利と固定金利も同じですね)。
他方、電気料金単価を固定することにメリットを感じる消費者もいるでしょう。そういうニーズが高まれば、そのようなメニューを作る新電力も増えてくるのではないでしょうか。

公共料金制度は、単なるモノの値段ではなく、歴史的には福祉政策的な意義(例えばなぜ「農事用電力」などといって、農業用の電力料金を割り引くメニューがあります。農業政策の一端をエネルギーに担わせることは、自由化された世界では説明がつきません)を背負わされていたりするので、非常にわかりにくいのだろうと思います。
このコメント欄を見ると、いかに理解されていないかがよくわかります。政府や電力会社ももっと伝えなければなりませんが、イメージでモノを言うのも避けないと、と思います。


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