江原ニーナ
急斜面を、全速力で、自転車で駆け下りるような
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急斜面を、全速力で、自転車で駆け下りるような

江原ニーナ

ふと思い返すと、ここ数年のわたしの生活とメンタル不調は切っても切り離せない関係にあったと思う。大学二年生のときに初めて鬱だと診断されて以来、「いかに再発させないか」が人生のトッププライオリティの一つである。身近な人には伝えていたり、話の流れで時々ライトに話したりしているので、知っている人もいるだろうが、今回はわたしとメンタル(アン)ヘルスをテーマに筆を執ってみたい。

なぜこのnoteを書くのか

先日のnoteで、大坂なおみさんのツイートを取り上げた。彼女が、2018年のUSオープンからうつの症状に苦しんでいること、またそれらとどう付き合っていくかで苦戦していることなどを皮切りに、等身大の言葉で紡がれるメッセージからは、「ますます応援したい」とか「勇気がある」といった感情よりもうんと先に、どこからかしみだすような安心感と、画面越しに励まされるような気持ちが浮かんだ。

自分と同年代ながら世界的アスリートの一人である彼女と、世界的なアスリートでもなければ、彼女のような影響力もない私の間に見つかった共通点。そこに、完璧に自分をコントロールできないことを引き受ける強さを感じて、巡り巡って自分を肯定できるような気持ちになったんだと思う。

私と大坂氏では生きている世界も違うし、あらゆる点において天と地ほどの差があるけれど、これまではあまり表立って語られることのなかったメンタルの話や鬱の話を、もっと気軽に相談したり話したりできる空気を形成する一助に私もなれるといいな、と思って、これを書いている。加えて、Visibility mattersだと考えているので、わたしなりに経験を発信することで、まずは身近な人達や、たまたまこのnoteを読んだ人の周りから、スティグマを解いていき、「メンタルの不調?全然珍しくないし、まずはゆっくり休むの大事だよね〜」というバイブスを作れるとなお嬉しい。

(補足:もちろん、全員が公表しようという話ではなくて、話したい人は話せて、話したくない人は心に留めておく選択肢がある状態が望ましいと考えている。)

Z世代のインフルエンサーとメンタルヘルス

上記の記事には、「デジタルネーティブ世代が主流になる今後に向けて、SNS時代のメンタルヘルスにも対応していくべきだろう」と指摘する一文があり、私も同じ考えだ。SNSがメンタルに与えるさまざまな影響も明らかになりつつある一方で、SNSがなくなることは当分ありえないだろう。それを踏まえると、社会とメンタルヘルスは関係性を再編する必要がありそうだ。

ちなみに大坂氏以外にも、特にミレニアル世代・Z世代のインフルエンサーを中心にこの話題を抵抗なく語る人が増えている。前回のnoteにも引用した「コロナパンデミックで最も大きな影響を受けた「Z世代」の絶望と希望」では、ビリー・アイリッシュや、コナン・グレイといった人気アーティストがメンタルヘルスについて積極的に言及していると取り上げる。これまでの著名人のように「完璧なスター」であろうとせず、不安や精神の不安定さを率直にさらけ出すスターたちを見て育つ世代は、これらのトピックに対し従来のイメージとは異なる、ポジティブな意味付けをおこなうのではないだろうか。

またアメリカだけに限らずとも、日本国内でもタレントのりゅうちぇるさんがセルフラブ(自分を愛すこと)を発信して共感を集めていたり、パニック障害を公表する芸能人も増えていたりする。もちろん、まだまだ黎明期ではあるが、変化の兆しはあると思っている。

負の側面もあるが、SNSを通して誰でも自分を発信できる時代が持つ可能性にささやかな期待を抱いている。

急斜面を、全速力で、自転車で駆け下りているような

さて、私自身のお話。予め断っておくと、これまでに数回再発してしまっているので、こうすれば防げます!という話はできない。また、「鬱・・・とまではいかなくともメンタルが不調😭」というときもある。精神状態はグラデーションだ。ここでは私が鬱の時どんな様子なのかを書いてみた。「こういうことあるよね、不調って誰でもあるし、完璧じゃなくてもいいよね」と思う人が増えたら嬉しい。

私の場合、鬱になるとき、だいたいその手前に、"鬱に向かっているなと薄々感づく"みたいなフェーズがある。だんだん夜寝付けなくなって連日睡眠不足になったり、プレッシャーに追われるも解消できないままストレス状態が続き、「休む」コマンドも頭から消え去って(というよりむしろ目の前のことに手一杯になって)、こぼれていきそうなタスクを必死に拾い続ける、みたいな日々がそれだ。でも、それが「普通じゃない状態」だとなかなか自分一人では気づけないことが多い。

その時の精神状態をどうやって表そうかな、とここのところ考えていたのだが、「急な下り坂を、自転車で全速力で漕ぎながら駆け降りていく(というより落ちていく)感じ」というのが今の所しっくり来ている。(唐突に思えるだろうが、私の場合鬱の予兆は唐突にやってくるから仕方ない。)はたから見るとかなり危ないのだが、本人としてはここで急にブレーキをかけると、その方が事故になりそうで止まれない、そもそも進んでいるんだから良いじゃない、と思っている(むしろ絶好調!と勘違いしている時さえある)。その結果、ドンドン加速しながら落ちていって、結果石ころみたいなささいなきっかけで大惨事になってしまう。

最近はこんな風に解像度低くではあるものの傾向をつかめてきているので、少しずつではあるが成長していると捉えている。

ではその上で何ができるのかというと、気づいたときには走り出していて、しかもスピードも出ているので急には止まれないから、ゆるやかに失速する技術を高めていくことがまずは大事そうだと思っている。「毎日決まった時間は睡眠を確保する、できなくなったらそこで不調を疑って何が何でも睡眠の確保をマイルールにする」とか(言うは易し・・・)、自分のキャパシティへの解像度をあげるとか、まだまだ取りかかれそうな点は多い。そもそも走り出さないためにできることがあるだろう。リフレッシュのために何があっても30分は運動するとか(運動大好き!)、セルフケアについてもっと調べてみるとか。

おおよそそんな風に、自分のメンタルの主導権を自分で握り続けるべく、「わたし」と向き合う作業を日々重ねている。

無気力で身体が重たい。何をするにも億劫。このままずっと無気力なままだったらどうしよう、なんて頭をよぎる。洗濯も、皿を洗うのも面倒だし、なんならお腹もすかない(私をよく知る人ならこれだけで非常事態と分かるだろう)。夜になると、手を付けてないタスクとか10年前の失敗とかつい最近人から言われて気になったこととか、「あれ言わなきゃよかったな」とか、とにかくあれこれ考えてしまう。目をつぶろうとしても目がモゾモゾしてうまく閉じられない。そうすると当然早起きにも失敗して、次の日の予定が崩れる。情けなくて泣けてくる。

↑たまに、こんな感じになる。

周りのサポート

幸いわたしは自分のメンタルについて、スティグマに気を揉むことなく身近な人や会社のメンバーに伝えられている。うつとともにある自分を受け入れているし、「もっと自分と上手に付き合いたいな」とは思うし、何ならこの状態から脱したいなと誰よりも願っている一方で、まるっとメンタルの負のグラデーションを引き受けている。必要であれば病院にも行く。病院にも合う合わないがあるので、そこは難しい部分ではあるが、病院に行くことを積極的な選択肢として取れているのは良いことだと思う。

また、去年受けた「認知行動療法(CBT)」がすごく私には合っていたので、メンタルが不調っぽい友達にはよく勧めている。私はもともと人の言葉をすごく気にするタイプで、人から言われたことをすごく良く記憶している上に、それらを必要以上に深読みしたり、曲解してしまうことも多かった。"この人はこう思っているに違いない・・"というクセがいくつもあった。やや雑に言ってしまえば、こういった思考のクセを専門家の力をかりながら観察・理解し、それらとうまく付き合っていく方法を見つけたり、修正したりするのが認知行動療法だ。去年の夏から数ヶ月にわたり認知行動療法を受けた結果、自分のクセに気づくことができたおかげで、不要なネガティブ思考のスパイラルに入ることは大きく減った。

ちなみに、認知行動療法のカウンセリングサービスを昨年創業したとくさんこと徳政さんのツイッターや記事はとてもおすすめだ。

まとめ

なんだかとりとめのない文章になってしまったが、これがどこかの誰かにとってメンタルヘルスについて考えたり話したりするきっかけになればいいなと思う。そして、こころとの付き合い方に悩む人がいれば、私もちょっとその気持ちわかるよ!と寄り添うメッセージになれば嬉しい。

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ここからはおまけ。

ここまで挙げた他にも、アプリで感情を記録したり(サボりサボりだけれど)、ヨガをしたり(ジムが休業したことで滞ってしまっている)、Apple Watchの「呼吸」モードを活用したりもしている。あと、個人的なお気に入りは、Instagramでメンタルヘルスに関する情報を発信しているおしゃれなアカウントをフォローすることだ。私の場合、インスタはTwitterに比べると投稿があまり流れていかないし、一日数回チェックするので度々目にすることになる。

お気に入りのアカウントたち↓

@myeasytherapy

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@myselflovesupply

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@anxiety_wellbeing

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江原ニーナ

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江原ニーナ
1997年熊本生まれ。ANRIでベンチャーキャピタリストとして主にtoCサービスや女性の起業家への投資に注力する傍ら、スタートアップ業界のジェンダーギャップ是正に向けてあれこれ活動しています。ダイバーシティ&インクルージョン、SDGs、テクノロジーと倫理