荒川和久/「結婚滅亡」著者
解決できない問題をさも解決できるかのように誤認させ続ける者こそ一番の癌
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解決できない問題をさも解決できるかのように誤認させ続ける者こそ一番の癌

荒川和久/「結婚滅亡」著者

私は一部の人からは疎まれているらしい。特に、少子化とか結婚に関する専門家といわれている人に。

なぜか?少子化について、私は「解決するわけない」という身も蓋もないけど、事実その通りの話をいつもするので。しかし、私からいわせれば、「ウソとまではいわないけど、曲がりなりにも専門家というならいい加減なこと言うなよ」と言いたい。

それ以外ににも、少子化対策の不備で政府や官僚を叩きたいだけの人とか、なんでもかんでも国に金を要求したがる系の人とかにとっても私は目障りだろう。

「少子化、解決しない」と本当の事を認めてしまうと自分たちの儲けのネタや社会的役割を失うからね。「お前、余計なこと言うな」という気持ちなんだろう。

しかし、解決できない問題を解決できるかのように誤認させ続ける人間こそが、一番の癌なのではないか?

実際、政治家とか官僚とかは、立場的に表向き「少子化対策なんて何やっても無理」とは言えないが、大抵の人達の心の中は「無理だよ」って思っているし、それは決して諦めではなく、正しい事実認識なのである。夢見る政治家、妄想好きの官僚では困るのだ。

彼らは本当はもう次のステージに移行したいはず。間違いなく到来する当然の未来としての、少子化前提、人口減少前提、多死化前提での制度やシステム設計をすべきだ、と。

いつまでもできもしないことをうだうだ言い続ける人がいるせいで、本当に検討すべき長期的な計画が台無しにされているという深刻さを忘れてはいけない。

…というようなことをずっと言い続けてきてるわけだが、WEBメディア系や雑誌では以前から私の説を取り上げて頂いていただいているところはある。ところが最近、潮目が変わった感がある。地上波テレビでも多くお声がけしていただくことも増えた。

「少子化ではなく少母化」という私の視点は、ずいぶん前から提示しているが、そもそも最初に書いたのはこのCOMEMOなんです。今から3年前の2019年9月に書いたこの記事。

https://comemo.nikkei.com/n/n857d9b6f6b61

いいね数712でも証明されているように、COMEMO的にも大きくアクセスを稼いで、ツイッターでもバズり、そのおかけで、さっそくこの記事をベースに「せやろがいおじさん」が2019年10月にはこんな動画を作ってくれた。これはTBSの「グッとラック」でも流れた。少母化の文字が「小」になっとるけども。

さらに、バズったのは2020年1月に東洋経済に寄稿した以下の記事。https://toyokeizai.net/articles/-/323969

2020年の11月には、テレビ朝日「グッドモーニング」の中の池上彰さんのニュース検定というコーナーに出演して、「少子化ではなく少母化である」という話をしています。本当は4月くらいに出る予定だったのがコロナのせいで11月に伸びてしまったという裏事情もある。

本日6/25の日本テレビ「ウェークアップ」でも、少子化特集コーナーに専門家として出演し、「出生減は少子化ではなく少母化なので子育て支援だけでは無理がある」という話をしました。

少母化の視点については折にふれて記事化していて、そのたびに否定的な反論する変な人もいたけど、地道にデータを通じてお話続けてきた甲斐があって、広く一般の人達にも認知されてきたように思う。


結論からいえば、1990年代に第三次ベビーブームが来なかった時点で、もはや子を産む対象年齢の女性人口自体が減っていて、ななかつ女性が全員結婚するわけでも全員出産するわけでもないのだから、出生数が増える以前の問題として母体の数が減るのだから少子化は解消されないという当たり前の算数の話ですから。

どれだけ不可能かといえば、1985年の39歳までの母親の数1000万人に対し、2015年は500万人と半減している。母親が半減しているのだから、子どもの数が半減しても当然。

 1985年の合計特殊出生率は1.76である。半減した母親の数でそれだけの出生数を補填するとしたら、母親ひとりあたりの必要出生率は3.5人が必要になる。3.5なんて出生率、今の先進国どこも達成できていない。アフリカくらいなものです。日本で戦後の第一次ベビーブームの時の記録と一緒だ。無理なんですよ。

もし、出生数を多少なりともあげるとすれば、それは母親の数を増やす、つまり現行非嫡出子比率の少ない日本では婚姻数の増加しかない。1婚姻増で1.5人の出生増につながるので(計算上は)。

だから昨今、急に少子化対策は婚姻増だみたいな論調が増えてきているわけだが、それとて残念ながら結論をいえば「結婚も増えやしない」という私からすれば抜本的に婚姻増なんて無理、無理。だってこういう本、出してるくらいだから。

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それでもこんな論を展開する人もいる。ご本人が本当にそう信じてるのか、そういう記事を書かされただけなのかはわからない。

簡単にいえば、少子化への打ち手としてふたつあげていて、ひとつは「結婚支援」をあげている。それは同意するのだが、その結婚支援が出産や子育ての不安を解消すれば云々と言ってる時点で的外れだと思う。別に結婚できない者は、そんなことの不安で結婚できないわけじゃない。もっと経済構造上の問題と社会環境システム上の問題だからだ。

もう一点は「家族関係社会支出(子育て支援への支出におおむね相当)の国内総生産(GDP)比の増大」とか言ってる時点でこれもまた壮大な的外れなのである。

記事にはこんな表が出ている。

相変わらず出羽守論法で、フランスやスウェーデンを見習って、家族関係社会支出を日本も今の倍にしないといけないというのだが、百歩譲って、倍にしたとしよう。それで、2021年の1.30という出生率が倍の2.6になるか?2.0でさえならないと断言できる。

日本の丁度2倍の支出をしているフランスの出生率も1.83であり、日本の出生率の1.4倍にしかなっていない。スウェーデンも支出1.9倍なのに、出生1.3倍にすぎない。イギリスに至っては、支出1.9倍なのに出生1.2倍どまり。お金かけた分成果があがっているとはとても言えない。関係ないのですよ。

そもそも論として、家族関係支出GDP比と合計特殊出生率に相関があるかといえば、何の相関もないわけです。家族に税金使うことは否定しないが、そこに使えば少子化対策になるみたいな嘘はやめていただきたい。


誤解ないように言っておくが、少子化があろうとなかろうと子育て支援は必要だしやるべき。しかし、子育て支援的なことをいくら充実させても出生数には寄与しない。ここのところを見誤ってはいけないと思う。

やってる気になって税金投入したあげく、なにひとつ成果をあげられなかったのが今までの少子化対策。それはすべて「的外れ」だからである。

子育てに限らず、本当の意味の民への支援というのは、真実を隠して民から奪い取った税を善人面して分配したフリをする事ではない。民が民の力で成長し経済を回せると信じられる舞台を用意してあげることではないかね?


あと、どうでもいいことですが、少母化という話をすると必ず「少父化じゃねえのかよ」という理解不足のツッコミが出るのですが、ぶっちゃけ父親の数が今より半減しようと出生数には何の影響もない。世の中そういう風にできている。

さらに、毎度その界隈筋では「女性を悪者みたいに言うな」的に沸騰される人がいるが、少子化は女性が産まないのではなくそもそも産む対象年齢の人口が減っているからなのであるという客観的構造を表現したものであり、何一つ誰かを責めてなどいない。


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荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。

荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。