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広がる画像解析技術:動脈瘤、アトピー、乳がん、微表情、精子_カンブリア大爆発

動脈瘤発見支援、乳がん検査、微表情解析、精子解析などの画像解析技術やサービスについて、カンブリアナイト登壇者をピックアップ。どのような「みえる」「わかる」「できる」「かわる」が社会実装されているのかをまとめました。

日本最初の医用画像解析ソフトウェアの2年半前

2019年10月15日に、医用画像解析ソフトウェア「EIRL aneurysm(エイル アニュリズム)」を発売した、株式会社エルピクセル。医療現場における深層学習(ディープラーニング)活用という世界を切り開いた東京大学研究室発のベンチャーとして注目されています。

遡ること2年半、2017年3月31日のカンブリアナイト5にて、エルピクセル代表取締役の島原さんに登壇していただきました。アトピー患者コミュニティのアンティクル野村さんと連携し、株式会社ホオバルのプロデュースで行なった解析実験について。アンティクルもまた世界的に注目を集めるコミュニティです。

アトピー性皮膚炎の患者さんの肌の状態は、人それぞれ。気候などの影響も大きく、これをすればよいという定型の介入がないそうです。患者さんたちは、自分が今行なっている介入が、自分の肌によいことなのか、どうなのか、一週間二週間と試してみないことには結果がわからない。結果が出てから、意味がなかった、やらなければよかった、と判明することもあるとか。

そうした状況を、もっと手前にわかることができないか。肌の状態をスマホで撮影し、画像解析をかけることで、少しずつ良い方向に動いているのか、そうでもないのか、ということを介入初期のタイミングで知ることができないものだろうか。そう考えました。

この時は、あくまでもプレ実験ということで、サンプルにも数の限りと偏りがありましたが、ある部位において解析アルゴリズムがつくれそうだ、というところまで見えた、との発表内容でした。

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この取り組みも、サービスを牽引してくれるパートナーが見つかれば、社会実装できそうだったのですが、このタイミングでは出会いがありませんでした。ご興味ある方は、ぜひご一報ください。

さて、カンブリアナイトでの画像関連では、他にもMRI(磁気共鳴画像)、表情解析、静止動画解析などが発表されています。

痛くない乳がん検査

2017年5月19日のカンブリアナイト6では、東海大学工学部医用生体工学科の高原太郎教授(放射線科専門医)に、MRIの専門家として、その最新事例と活用のカンブリア爆発的可能性について語っていただきました。

中でも注目は、ドゥイブス(DWIBS)法と呼ばれる、痛くない乳がん検診について。DWIBS(ドゥイブス )法は、「拡散強調画像(DWI)」を改良した方法で、がんを発見したり、治療経過観察に用いることができるのだそうです。登壇者の高原教授により2004年に考案されました。

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初期の2編の論文は、現在までに合計1000を超える論文に引用されています (Google Scholar)。さらに、実際に社会実装されており、この痛みのない乳がん検査を受けることが可能です。マンモグラフィを一度受けたけれど、痛くてその後検診出来ていない人や、インプラント(豊胸、乳癌術後)の方も受けているそうです。

こちらも社会的価値のとても高いものだと思います。ご興味ある方、検査を考えておられる方は、ぜひ下記をご参照ください。

あなたが嘘をついているか見抜けます

アメリカのテレビドラマ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」などで知名度が高まった「微表情」について。Microexpressionとも呼ばれる自発的および不随意的な表情筋などの動きから、感情的反応を読み取る技術があります。

この技術を適切に扱うためのサーティフィケートを得ている人は、日本国内では10〜20人程しかいないのだそうです。その一人である産業能率大学情報マネジメント学部の椎野睦准教授(心理学博士)に、微表情の画像解析がもたらす恩恵と危険性について語っていただきました。

表情という筋肉の動き、しかも微表情という微細な動きを機械的に画像解析にかけることは、人では見逃してしまうものを発見することにつながりそうです。しかし、前後の文脈や、表情としてのものではない単なる筋肉の反射のような動きまでもが、同一形状であるということで意味付けられてしまうという可能性も否定できない。人と技術が協力しあう未来の必要性を強く感じました。

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自分ひとりで自分の精子の状態を判定できます

もうひとつ、画像解析では、精子の動画解析サービスがあります。株式会社リクルートライフスタイルの提供するサービス「Seem」です。「カンヌライオンズ2017」のモバイル部門で日本初のグランプリを受賞し、世界的に注目を集めたものです。

スマートフォンアプリと専用キットを使って精子を撮影するだけで、精子の状態を自分で手軽に確認することができます。精液を採取し15分放置、付属のレンズに液状になった精液をのせ、スマホアプリで精子がぴよぴよ泳いでいる様子を撮影すると、クラウドにて動画解析してくれます。その結果として、WHOの下限基準値を超える濃度と運動量があるかどうかを判定してくれるのです。

当たり前のことなのですが、不妊原因の約半数は男性にあります。まず男性の精子の状態を確認することから始めるだけで、女性の負担や妊活にかかる時間やコストを抑えられる場合があるとのことです。また、入澤さんによれば、精子のコンディションは、日常生活によって大きく変化するとのこと。日常生活を見直す機会にもなりそうです。

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未来を見つめる眼

画像解析という軸で、過去のカンブリアナイト の登壇者を振り返ってみました。こうして眺めてみると、画像という外側から観察できる情報の解析ではあるのですが、その目的は、未来を知ることだったり、内面を知ることだったり、表からでは見えない何かを知るためのものでした。

センサーは、テクノロジーによって手に入れた「新しい眼」である。ゆえに、眼によって生命に多様性がもたらされたカンブリア大爆発になぞらえ、センサーによって世界をよくするサービスのカンブリア大爆発を生み出そうと、もう4年以上も飲みながらそんな話をしています。

我々は未来を見つめる眼を手に入れようとしているのかもしれません。未来は見つめている方向に進むように思えます。恐ろしい未来ではなく、在りたい未来を見つめ、そこに近づく努力をしたいと思います。



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