選挙DX―ネットの前にマインドセットの変化から
こんにちは!グローバルでDXの調査・支援をしている柿崎です!
先月から「選挙」をテーマに書いています。
現在、私は「#横浜STARTUP」という今年8月の横浜市長選に出馬表明した福田峰之氏を支援する団体に所属し、実際の選挙現場でDXに取り組み、実験と学習を繰り返している立場にあります。そして、日本全体の政治・選挙活動のDXをしなければ真の変革には至らないという思いから、他の現職議員・候補者にも勉強会を開催しています。
日本国民は自らの考えを発信することをためらう
7月26日付の日経新聞朝刊に「コロナ下の選挙、ネットは有効か」という記事が掲載されました。
この中で私が注目したのは明治大学専任教授 清原聖子氏のコメントです。
「米国民は自らの考えを発信することをためらわない」とありましたが、これは「日本国民は自らの考えを発信することをためらう」ということでしょう。私はこれを現場で実感しています。
米国民は日常会話の中で政治的な発言をするのが普通なので、対面かオンラインかを問わず、自らの考えを発信することをためらわない。
発信するほうがむしろ自然では?
私は今でこそ発信することに慣れましたが、最初は心理的な抵抗がありましたので、多くの方々がためらう気持ちがよく分かります。
ほとんどの人が「私は中立です」「私は選挙・政治活動へは関与しないことにしています」と言います。ただ、私がいざ発信してみると、発信しないほうが不自然であることに気づきました。
例えば、DXのサービスを提供する企業の経営者や従業員は、DXを推進する現職議員・候補者を応援するために発信することが自然ではないでしょうか。中立の立場を貫いてDXを推進しない候補者が当選して良いのでしょうか。DXを推進する候補者が当選すれば、新たな仕事を得られるチャンスが生まれるはずです。そして、DXにより役所のサービスが向上すれば住民にも感謝されるでしょう。
また、8月の横浜市長選ではIR誘致が争点になっています。IR誘致が決まると建設会社、警備会社、宿泊会社などにとって多くの仕事が生まれます。このような企業の経営者や従業員は、中立の立場を貫いてIR誘致に反対する候補者が当選しても問題ないのでしょうか。一概に仕事が生まれるからIR誘致賛成とは言えませんが、自分の考えを発信したり、候補者と対話する余地はあると思います。
ネット以前にマインドセットの変化から
前述の記事は以下で締めくくられています。
日本のDXが立ち遅れていたのは、政治の担い手がネットにあまり関心を払ってこなかったからだ。キーボードは打てず、SNSは秘書の代筆という国会議員は少なくない。所詮はひとごとだったわけだ。
政治家の最大の関心事である選挙がネット中心になれば、彼らのマインドも変わらざるを得ない。選挙後の永田町がどうなっているかが楽しみだ。
ここでのマインドの変化とはネットの活用を指すと思いますが、私はもう少し深く考えたいと思います。
SNSは一方通行で拡散するツールではなく、双方向なコミュケーションのためのツールです。簡単にいつでもどこでも政策について議論できたり、現職議員・候補者と一緒に政策をつくることが可能になります。政策、つまり世の中の仕組み・ルールを現職議員・候補者と一緒に創造する、これこそが選挙DXです。
現在の政治活動(選挙カー、駅でのビラ配りなど)をネットに置き換えるのではなく、有権者と対話するマインドセットへの変化が必要に思います。
私が取り組んでいる政治・選挙活動でもSNSを活用していますが、拡散ではなく、有権者から政策提言を頂いたり、有権者同士が関心のあるテーマで議論できるようにしています。
https://liny.link/r/1656045928-bv65Ek3x?lp=zy5f8u
有権者(特に中高年層)のマインドセットの変化も大事
現職議員・候補者がマインドセットを変えることは大事ですが、有権者がマインドセットを変えることも大事です。
SNSの登場により、有権者が自分の考えを発信をすることが簡単にできるようになりました。
ただ、先述の「日本国民は自らの考えを発信することをためらう」ことが大きな障害になるでしょう。
ミレニアル世代(1981年から1995年に生まれた世代)、Z世代(1996年から2012に生まれた世代)はSNSを当たり前のように使いこなして自分の考えを発信します。この点で、マインドセットの変化が求められるのは、特に中高年層と言えるのではないでしょうか。
企業のDXはデジタルツールを使いこなすミレニアル世代・Z世代が担うとよく言われますが、政治・選挙におけるDXも同じことが言えるでしょう。
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