日銀展望リポートが示した可処分所得の伸び悩み

 「可処分所得の試算値の推移」。日銀の展望リポート(2018年10月)には興味深いグラフが付されています(39頁)。それによりますと、11年度を100とした可処分所得は、足元で105くらい。11年度を100とした賃金・俸給が、足元で111くらいになっているのに対し、伸びが鈍いことがハッキリ見てとれます。

  「ここ数年、可処分所得と賃金・俸給の間で乖離が拡がっているのは、賃金・俸給の増加を受けて所得税の支払が累進的に増加していることや、年金保険料の引き上げに伴う社会保険料負担の増加などを反映している」。所得税の支払い増は各種控除の見直しも影響していますが、要するに所得税や社会保険料の負担増が重しになり、賃金の伸びほどには実入り(可処分所得)が増えないーーという訳です。

その一方で、個人消費(実質ベースの年換算値)といえば、14年4月の前回消費税の引き上げ前の14年1~3月期が305兆8696億円でした。これに対して直近の18年4~6月期は301兆3164億円。消費増税に伴う家計の負担が尾を引き、消費はいまだに増税前の水準を回復し切れていないのです。仮に13年10~12月期(駆け込みの影響が小さかったと見られる)の消費額300兆380億円と比べても、5年半経ってもほぼ横ばいです。

①所得税や社会保険料が可処分所得の伸びを抑えている、②前回の消費増税の後、消費は回復の足取りが重い。19年10月の消費再増税に当たっては、こうした点をきちんと押さえた経済論戦が期待されるところです。

http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1810b.pdf

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日本経済新聞編集委員・WBS解説キャスター。主にマクロ経済や金融をフォローしていますが、テレビでは様々な分野にチャレンジしています。

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